臍帯血を提供したら手紙をもらった

5年前と3年前、同じ病院で出産したが、その病院では臍帯血を採ることができた。

臍帯血というのはへその緒にある赤ちゃんの血で、出産したときに必ず取り除くものなので、献血や骨髄バンクのように提供側には何の負担もなく、病院がそれをうまいこと取って、臍帯血バンクに送ってくれればよいものである。やることとしては、これまで病気をしたかや渡航歴など、簡単なアンケートだけでよい。

私は二度の出産をしたが、両方とも臍帯血を提供することに同意した。どうせ捨てるものなんだから、誰かにあげればいいと思った。

一度目の出産では、理由はわからないが臍帯血は採れなかったようだった。何が悪かったのかはよくわからない。二度目の出産では「しっかり採れましたよ」と言われたので、そうなんだ、と思っていた。それが三年前のこと。

そして三年後、日本赤十字の臍帯血バンクから、封筒が届いた。

あなたの臍帯血はある患者さんに使われた。そしてその患者さんから手紙が届いている。あなたがSNS等でその手紙の内容を公表しないと約束するなら、その手紙をあなたに届けることができる。

臍帯血のことなどすっかり忘れていたのと、手紙がもらえるということにびっくり&大喜びの私は、すぐに同意書を返送し、そして今日、患者さんから手紙が届いた。

約束通り公表することはできないが、私と娘の臍帯血が無事使われ、日本に住むどこかの少年に無事適応し、その少年は元気に暮らしているということ。そして私たちにとても感謝しているということが綴られていた。その少年の母親は、おそらく私とおなじくらいの年の女性だろう。

こんなすごいことってあるのかい、と思った。私と私の娘の臍帯血が、知らないどこかの少年の病気を癒し、その家族を幸せにしているだなんてことが。子供が病気ということがどんなに辛いことか、その子供が元気になることをどんなに願っていたことか、同じ子供がいる私にもよくわかる。私の子供は元気で、元気な子が生まれたときの臍帯血が誰かを元気にしたのだから、2つすごいことがあった、みたいな。2個分の命。二重のハッピー。

私も返事を書きたい。今が人生で最も幸せなときかもしれない。

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