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ネクストソサイエティ/最適化社会・自律社会

〜歴史の中で現代の位置付け〜

今回は、社会からでなく、技術からみた目線から。狩猟社会時代から、農業革命、産業革命があり、情報革命となることを第3の革命と言われています(狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会の次をsociety5.0と言ったり)。これらは文明史から紐解いた考え方。文明史の詳細な解説は、ホモ・サピエンス全史など多くの出版物に譲るとして、圧縮して理解するには、SINIC理論とそれが書いてある「最適化社会へ〜社会・生活・産業を変えるもの」立石義雄、が非常にわかりやすいと思います。

著書には、産業革命以降の工業革命の最終段階を情報革命と捉え、社会は2005~2025年の最適化社会(つまり変革・変容の時代)を経て、自律社会に移行するという予測が書いてあります。なんとなく、僕も感じている肌感とあってるように思います。(驚異的なのは、50年近く前、1970年にSINIC理論が書かれたということであり、現在でもオムロンは、中長期を考える際に役立てておられるようです。)この本は本当に一読お薦めします。

*オムロン社ホームページより転載https://www.omron.co.jp/about/corporate/vision/sinic/theory.html

「国民生活に関する世論調査」平成30年度
 今後の生活において、これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさかについて聞いたところ、「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」(以下、「これからは心の豊かさ」という。)と答えた者の割合が61.4%、「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」(以下、「まだ物の豊かさ」という。)と答えた者の割合が30.2%となっている。

https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-life/2-2.html

私たちは、工業化社会によって物質的欲求を満たすと、テクノロジーの進化によって20年にわたるアジャストメントの期間を経て、自律社会に入るという予測です。彼はそれを2005年から2025年と予測していました。つまり、概ね2025年以降は、自律社会になると考えても良いということです。

では、その時代は、どういう時代でしょうか?例えば、内閣府では、向かうべき社会を価値デザイン社会として発表しております。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizai_vision.pdf

RPAなど、既存の作業のオートメーションや、ロボティクスの進化によって、企業の業務改善は進みます。効率は増し、人は少なくて済むようになるため、利益率は増す傾向にあるでしょう。100万人を雇用しながら、利益を上げていた企業が、AI、ロボティクスの進展により1万人の雇用で同じ生産高を発揮できるようになると、政府、企業、個人ではどのようにその富を配分すべきでしょう?

現状をベースに考えると、仕事がない人が増え、企業に利益が溜まる。現状以上の内部留保を企業が溜め込んでも資本家への配分が増すばかりです。それでは、バランスを欠くので(企業にとっては重要だが、社会全体にとってはもっと重要な課題がある)、課税により社会分配率の調整が必要となります。残りの99万人の方々のために、法人税率を上げて政府が再配分するか、企業がこれまでの延長の市場に向けてではないことを実施させ給料を払うかいずれかとなるでしょう。

現状の資本主義(行き過ぎた金融資本主義)の逆効果

・トマ・ピケティの21世紀の資本論にあるように資本主義は格差を広げる(資本主義のこれ以上の追求は社会の調和を損なう。)
・先進国では物質的幸福はピークを迎えつつあり、次の幸福のあり方を探さねばならない。(=資本主義社会での成功すら、個人を一層幸福にはしない)

イギリスの孤独担当相や、UAEでの幸福担当大臣などは、まだ特殊な例とも見られているかもしれませんが、新しい時代のテーマへの対応を模索する政治的動きであり、萌芽とも言えるでしょう。となると私たちが社会的、個人的に幸福を求めるなら、資本主義の次の仕組みを検討せねばなりません。最適化社会はまさにそのために与えられた時間です。その次の自律社会においては、

資本主義の逆効果として生まれた経済格差を縮小し、人間生活における幸福感を増加するための社会システムとは何か?

ということが重要な視点となり、あらゆる施策およびその組み合わせはこの両方もしくは最低でもどちらかを満たすことが政治的正しさとなるでしょう。

次回は、それはどういった指標を元に判断していけば良いかをみなさんと一緒に考えたいと思います。


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