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話しても話さなくても。

元々饒舌な方ではないのだけど、さらに口数が減った実感がある。居酒屋やバーで気の置けない友達と他愛のないことをしゃべるとかいう機会がほとんどない日々が続いて、雑談の感覚が鈍っているというのは、ある。


それもあるのだけど、年を重ねて経験を踏んでたくさんのことを見聞きしたせいか、その場の話されていることについていろんな考えが巡ってしまって、一言まとめられなくて、考えている間に次の話題に流れていってしまう感じ。


で、僕が話さなくてもみんなが面白おかしくその場を盛り上げていて、まあそれを聞いてればそれで満足したりして。静かにだれかと対話するのは苦ではないんだけど、複数人の雑談、特にお酒の席での話術は以前にも増してヘタクソになった。


ニューシネマパラダイスという名画で、青年になったトトが老いた映写技師のアルフレードの寝室を訪ねて「引きこもって、あまり話もしないと聞いたよ?」と聞くシーンがある。アルフレードは「話しても話さなくても同じことだ」と答える。


昔はそれを、人生を感じさせる渋いセリフだなと思ったけど、今なら実感を伴って理解できる。僕も老いたよな。

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