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大学は試験期間に入りました。暑さ厳しく、学生はたいへんそう。だけど…

 私の専門である環境学のいくつかの授業では、毎回、直近に報じられた環境問題に関するニュースを取り上げます。
 「とにかく暑い」と学生はエアコンの温度に不満があるようですが、ヨーロッパやアメリカの現状を説くと、なんとなく気を引き締めているような感じがします。というのは、熱波が押し寄せて、日本の暑さの比ではないからです。

 ここ最近では、イギリスで気温40℃、スペインでも43℃、アメリカでは46℃を記録して熱波による山火事で大変な状況になっています。アメリカのバイデン大統領は20日、「これは非常事態だ」と警告し、自治体に対し3000億円規模の支援を実施すると表明しました。

 さらに深刻なのは、北極圏の氷がものすごい勢いで溶けていることです。CNNが報じていましたが、グリーンランドの氷が1日当たり60億トンも水として流れ出てしまっています。これはオリンピックで使用する水泳プールの720万杯分になるとか。グリーンランドからの映像では、女性が半そでシャツでレポートしていました。気候変動がここまで来ていると空恐ろしくなります。

 これまで小さく変化していたことが、急激に変化することを「ティッピングポイント」と呼びますが、そろそろそうした時点にさしかかっているのでは、と感じています。そのポイントを過ぎれば雪崩を打つように、破滅に向かう…。もはやもとに戻れないとの意味もあります。

 暑さは、季節が移り替わればもとに戻るのでしょう。そのたびに私たちは過去の苦しみを忘れ、重大な課題を後回しにしていきます。そして、目の前にある事象にばかりとらわれ、長期的な、大局的な視点を持つ意義を失っていく。

 学生がいまとらわれている事象は、定期試験です。単位を取れるか落とすかの重要な局面に奮闘するのも分かりますが、将来の地球が、未来の人類が、どうなっていくかについても、思いをはせてほしいものです。


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