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「ジュラシック・ワールド」が問いかける人類の行く末。「共存」をないがしろにする「地球の支配者」

 絶滅した生物に対する礼讃があふれていました。恐竜をモチーフにした映画では最高傑作の「ジュラシック」シリーズの最終作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」を観ました。映像美の美しさや、リアルな恐竜の動きはもちろんのこと、見事に、物語として完結していました。これまでのシリーズに出てきた出演者が勢ぞろいしており、過去作に対するオマージュが随所にあらわれ、最後までハラハラドキドキ。映画館でこそ見る価値がある貴重な映画です。

 6500万年前に絶滅した恐竜の遺伝子を使って、現代によみがえらせたものの、トラブルやハプニング続きで、恐竜を意のままに操れず、目指した「人類との共存」が達成されず、破滅に終わるというストーリー。計6部にわたったジュラシックのシリーズが一貫して訴えていたテーマでもあります。

 ひるがえって、私たちの現実世界を見渡せば、6度目の「大絶滅時代」を迎えています。大絶滅とは、生物種の7割以上が地球上からいなくなることを指します。5度目の大絶滅時代はまさに、恐竜が絶滅したころです。恐竜の絶滅は、隕石によるものだという説がありますが、6度目の大絶滅は、人類の活動そのものによって引き起こされています。食物連鎖のピラミッドの頂点に立つ人類の「地球の支配者」としての驕り(思い上がり)なのです。

 地球上には約3000万種の生物がいるとされます。そのうち約170万種が発見されている生物。そして、1年間に4万種以上の生物が絶滅に至っていると推測されています。つまり、毎日100種以上が、この地球上のどこかで終焉を迎えているのです。どの生物種が死に瀕しているかは、国際自然保護連合(IUCN)が公表するレッドリストに詳しく、見るたびに憂鬱になります。

裏から見ると、エイリアンのようなカニ

 「人類も恐竜も地球の長い歴史の一部でしかない。支配しようとするのではなく、互いを信頼し、頼り、共存していくことだ」。人間は生き延びることができるのか。人間はなぜかくも傲慢な種に成り下がったのか。ジュラシックシリーズ最終作のエンディングで登場した科学者が、そう問いかけていたのが最も強く印象に残りました。

 私の研究テーマも大きく言えば、「地球で人類は生き延びることができるのか」というものです。その解決策のキーワードも「共存」です。もっとそこを探究していかなくてはと、心を動かす力となった映画でした。

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