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35mmレンズの旅|NOKTON classic購入編

50mmはSummilux 2ndで落ち着いたので次は35mmの迷いの旅が始まりました。旅の第一歩としてVoigtländerブランドの人気レンズであるNOKTON classic 35mm F1.4 II SC VMを購入して試すことにしたので、その話をします。

球面ズミルックスの誘惑から35mmで迷いが発生

現在はMマウントの35mmレンズとしてライカのSummarit-M 35mm f/2.4 ASPH.を使っています。このレンズはM (Typ 262)購入時にセットで付いていたものです。ライカのレンズとしては安価なラインのレンズではありますが、シャープネス、コントラストの高い現代的な写りに加えて、角形フードのかっこよさもあり気に入っているレンズです。

ただ、最近はSummilux 50mm 2ndが一番のお気に入りレンズということもあり使用頻度が落ちていました。画角の好みやレンジファインダーでの使い勝手から50mmレンズを選んでいたことが大きな理由ではありますが、描写の良さからSummiluxを選ぶことが増えていたというのも事実です。昔は現代的な写りのレンズが好みでしたが、最近はSummiluxの絞り開放での僅かな柔らかさと絞った時のキリッとした描写の二面性に魅力を感じています。また、F1.4という大口径ならではのボケ量を楽しめるのもSummiluxの良いところです。というようなところから、35mmでもそのような描写を味わえたらとても楽しいのではないかという気持ちがじわじわと強くなっていました。

そうなってくると興味が出てくるのが、癖玉として名高いオールドのSummilux 35mmです。球面レンズのみの構成から球面ズミルックスとも呼ばれるレンズですね。ちょうど最近初代が復刻され話題にもなっていました。このニュースを見てから復刻版が欲しい!! いや、オールドの第2世代も良いかも!! などなど、無駄に気持ちが盛り上がっていました。

とはいえ復刻版にしろ、オールドにしろ、欲しいと思ってすぐに手を出せる価格ではありません。でも柔らかさのある大口径35mmレンズへの興味が大きくなってしまっていたので、とりあえず他の選択肢も含めて色々と調べ出してしまいました…

お手頃な大口径Mマウント35mmレンズを調査

お手頃なMマウントレンズを探す上でまず気になるのがコシナのレンズです。Mマウント互換のVM, ZMレンズで現行の大口径35mmレンズは以下になります。

大きさ的にNOKTON F1.2やDistagonはとりあえず選択肢から外します。最近新しく発売されたVintage LineのNOKTON 35mm F1.5も良さそうなのですが、今の自分の嗜好を考えるとやはり球面ズミルックスの引き合いに出されることも多いNOKTON classicの方が気になります。こちらの方が値段もお手頃ですしね。NOKTON classic 35mmは2008年発売のI型と2019年発売のII型があります。I型の方が絞りリングの形状が球面ズミルックスを強く意識したようなデザインでこちらの方が好きなのですが、今買うならフォーカスシフトの問題が改善されているII型でしょうか。また、どうせ買うなら新品でという派閥の人間なので、その点でもII型が優位ですね。ただNOKTON classicは定番すぎて今更どうなんだろうという気持ちも… 定番の何がいけないんだって話なんですが…

そんなことを考えていたところで目にしたのが、MS-OPTICS(宮崎光学)のAPOLLON 36mm F1.3です。ちょうど昨年の12月に発売されたばかりのレンズで、非常に小さく大口径、開放では癖が強く柔らかい描写でありながらも絞ればキリッと写るという、今求めているものに非常に近そうなレンズでした。実際Twitterなどで作例を見ていると描写はかなり好みに見えます。ただ宮崎光学は個人制作のメーカーなこともあり、色々と苦労しそうなところが少しネックでした。とはいえ描写がどうしても気になり一度えいやっと注文をしてみたのですが、ピントがオーバーインフだったりヘリコイドが少しシャリシャリした感触だったりしていたので返品させていただくことに… 修理などサポートはしっかりしていそうなので根気強く付き合っていけば楽しめそうではありますが、やはり不安は拭いきれず断念してしまいました。またレンズが小さいのは良いのですが、その分絞りリングの操作性はかなり厳しいものがあったことも諦めた理由の一つです。

その後気になったのはLight Lens Labの35mm F2.0、いわゆる周八枚です。ライカの八枚玉を復刻したレンズで見た目は当然かっこいいのですが、品質的に多少当たり外れがあるようなレビューを目にしたのと、高めの価格、開放F値は2.0という辺りの理由でとりあえず検討から外すことに。

周八枚が気になったところで、八枚玉とレンズ構成がほぼ同じと言われているNOKTON classicが再度気になり、やっぱり一度このレンズを試してみたいという気持ちが膨れ上がったので最終的に購入に至りました。MCかSCかも迷いましたが、どうせならSCの方が楽しそうというのと、買取価格はSCの方が高い店舗が多そうということもあり、SCの方を購入することに。

NOKTON classicを購入

ということで、NOKTON classicを購入してみました。

F1.4でこのサイズなのが魅力的です。
大口径レンズは覗いて楽しいのが良いですね。
ボディに付けてみてもやはり良いサイズ感。
COLOR-SKOPAR 21mmと並べると兄弟のようにそっくりです。

コシナフォクトレンダーのレンズはこれで3本目になりますが、どれもしっかりした作りで絞りやフォーカスの操作感も良いので気持ちよく使えるのが好きです。ただ個人的にはヘリコイドが少し重めなこともあり、フォーカスレバーはもう少し大きめで指の引っかかりを良くしてくれた方が使いやすかったかもという気もします。今の所の不満点はこれくらいで他は基本的に満足しています。

余談

余談ですが、以前NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 IIを購入した時と同様、今回も返品交換が発生しました… 新品でもチリの混入くらいはもう妥協する気でいたのですが、絞り値の墨入れの欠けが5箇所欠けている+僅かに塗装ムラがあったのはさすがに気になってしまい、購入店に連絡したところ交換していただけました。なお、今回も交換前・交換後の両個体ともに多少のチリは混入していたり、交換後の個体も1箇所は墨入れの欠けがあったりしたのは残念ポイント… コシナさんはせっかく良いレンズを作っているんだからもう少し細かいところまで気にしてくれても良いのになと…

少しだけ撮ってみた

まだ使い始めたばかりではありますが、現状はかなり好印象です。最短0.7mで使いやすいですし、F1.4の明るさは夜に撮影するときには心強いです。肝心の写りの点についてもとても良く、絞り開放は柔らかいのですが柔らか過ぎず十分な写りだし、絞ればかっちり写してくれます。その辺りの匙加減が愛用しているズミルックス50mm 2ndにそこそこ近いような気がしており、もともとズミルックス50mmのような描写の35mmレンズが欲しかったのでこのレンズで正解だったかも。しばらくじっくり使ってみてもこの印象が変わらなければ、このNOKTON classicが35mmの終着点になるかもしれないとも思いました。

おわりに

ということで、NOKTON classic 35mmを購入してみたという話でした。Summaritも愛着があるレンズなのでずっと使っていきたい気持ちがあるのですが、1焦点距離1レンズという自分に課した制約を守るためにもどちらか1本に絞りたいと思っています。となったときに、35mmだと50mm以上に最短0.7mの利点は大きそうなのと、開放F2.4だとなかなか夜に持ち出す気になれないのがSummaritのネックで、現状NOKTONに気持ちが傾いてしまっており、Summaritの今後やいかに、という… とはいえ結論を急ぐつもりもないので、これからじっくり両レンズを検討していきたいと思います。

今の所NOKTONがかなり優勢ですが35mmのポジション争いの結果やいかに…



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