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NOKTON classic 35mm vs. 40mm ⑤|距離3mで壁撮影

NOKTON classic 35mmと40mmを比較していきます。今回は壁を撮影して描写を比較してみます。

これまでのNOKTON classicに関する記事はこちら。

前置き

これまでの比較記事ではほとんど最短撮影距離付近での比較をしていました。tada
近距離だけでなく中距離での描写も比較してみたかったので、今回は被写体から約3m離れた状態で撮影を行い比較してみます。

撮影条件

今回もカメラはM (Typ 262)を用います。カメラを三脚に固定し、35mm、40mmそれぞれで絞りをF1.4, F2.0, F2.8, F4.0, F5.6, F8.0と1段ずつ変化させながら各6枚の写真を撮影しました。これらの写真をクロップして拡大して比較していきます。今回は中央だけでなく周辺の描写も合わせて比較してみます。

今回の撮影対象はカメラから約3mほど離れた位置にある壁です。前回のメジャー同様なんの面白みもないですが、比較自体はやりやすいので… 以下では、クロップした領域をそれぞれ赤枠で示しています。壁の面積的に3m離れると画角の周辺ギリギリまでは壁がなかったので、中央からそれぞれ縦横1/8、1/4画素離れた領域のクロップで比較することにしました。また、余計なものが見えないように左右を白塗りしてあります。

M (Typ 262), NOKTON classic 35mm F1.4 II SC VM
M (Typ 262), NOKTON classic 40mm F1.4 SC VM

なお、撮影時は露光量が一定になるように絞り値に合わせてシャッタースピードも同時に1段ずつ変化させています。感度はISO200です。

結果

それでは結果を見ていきます。各画像では、上で示した3つのクロップ領域を、中央から周辺まで順に並べてあります。また1枚ごとに絞り値が変わっており、F1.4から順に載せています。

35mm

35mm, F1.4
35mm, F2.0
35mm, F2.8
35mm, F4.0
35mm, F5.6
35mm, F8.0

まずは35mmから見ていきます。開放F1.4では中央ですらやや甘い描写で、周辺に行くほどぼやぼやになっていますが、絞るにつれて順当に解像していっています。中央ではF2.8まで絞った段階で十分シャープに写っており、それ以上絞ってもあまり変わっていません。中央から縦横1/4の範囲をシャープにしようと思うとF4.0まで、さらに周辺まで解像させたい場合はF8.0まで絞ると良さそうです。

40mm

40mm, F1.4
40mm, F2.0
40mm, F2.8
40mm, F4.0
40mm, F5.6
40mm, F8.0

次に40mmです。こちらは中央から順に見ていきます。まず絞り開放でも意外と解像しているように見えますね。35mmよりも画角が狭い分拡大されて写るので、それもあって解像して見えるのかもしれませんが、それを差し引いても若干35mmより良く写っているように見えます。F2.0になるとさらにシャープになりますね。ただ、F2.8に絞ってもあまり改善しておらず、むしろ若干甘くなっています。これは前回の記事でも検証したフォーカスシフトの影響でしょう。比較的フォーカスシフトが小さい35mmでは3mまで離れるとほとんど影響を感じませんでしたが、40mmではこの距離でもしっかりと影響が出て、ピントが後ろに抜けてしまっているようです。このせいで、F5.6まで絞っても甘いままになっています。F8.0まで絞るとようやくマシになるといった具合です。最短撮影距離付近だった前回検証時よりは多少マシですが、それでもフォーカスシフトの影響は大きそうです。

続いて2番目のクロップ領域を見ていきます。絞り開放では中央よりやや甘いですが、F2.0まで絞るとほとんど差はなくなります。またこれ以降の絞り値では面白いことに、中央とは違ってちゃんと絞るほどに描写が改善され、F2.8~F8.0のすべてで中央よりも解像しています。憶測ですが、これは像面湾曲の影響で、湾曲して前ピンになっていた領域がフォーカスシフトにより後ろにずれてちょうど良いピント位置になっているとかなのかなと想像しています。

最後に周辺領域ですが、こちらも絞るにつれて描写は改善していき、F5.6くらいからはかなりしっかり写っているように思います。

なお、フォーカスシフトを補正するために、軽く前ピン気味に撮影するのも一緒に試してみました。中央の描写はこちらの方が良くなりますが、周辺については若干悪くなっておりそのまま撮った方が良さそうでした。なので、前ピン気味に撮ると中央が良い、距離計ピッタリで撮ると周辺が良い、といった感じです。F8.0くらいまで絞ればあまり差はなくなりますが、それでも若干の差はありそうです。適当に少し前ピン気味にずらしただけなので、ちょうど良い位置に合わせれば両方とも良くなる可能性はありますが、なかなか難しそうです。

まとめ

今回は、被写体からの距離が3mくらいの時の描写を35mmと40mmで比較してみました。40mmは単純な解像性能は良さそうなのですが、フォーカスシフトや像面湾曲が大きいせいでピント合わせの点に難がありそうです。これは前回のフォーカスシフトの検証の時点からわかっていたことではありますが、今回の検証もそれをさらに裏付ける結果になったのかなと思います。ということで、今のところ描写的に使いやすいのは35mmということになりそうです。ただ最近は普段使いの画角的には40mmの方が自分に合っている気がするので、それも考えると選ぶのが難しいですね… ひとまず引き続き検討を続けていきます。



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