見出し画像

デヴィッド・ボウイの映画見ました

新作「ムーンエイジ・デイドリーム」です。

以下、いちおう詳しいネタバレにならないよう書いたつもりですが、未見の人はできれば見てから読んでほしい〜。

デヴィッド・ボウイとしては初の、本格的公式ドキュメンタリー映画、という触れ込みもあったんですが、見てみたらドキュメント映画ではなかったね
コラージュアート・ムービー。

ぼくがこないだ、マリメッコ・ブランドのデザイナーの映画を見て書いた感想と同じことを書かないといけなくなったワケですが。

さすがにデヴィッド・ボウイはスーパースターだから、膨大なテレビ・インタビュー映像が残っていて、すべて本人の肉声で本人の気持ち、芸術への思いや家族の記憶などを哲学的に語っている様子が時系列に重ねられてはいくんだけど、それが具体的に何年のどこで誰がインタビューしている、などのテロップが出るわけではない。まあ今まで見たことない貴重な映像ではある。

そして、やはり頻繁にいろんな国を訪ね、実際に暮らす、旅人的な面が強調される。日本で京都に滞在していた時期も出てきて、鋤田正義さんの写真や「ヤングおーおー!」で川村ひさしと話してる様子もチラっと映るよ。

で、合間にボウイが出演した「地球に落ちて来た男」とか映画の断片的なカットや、いろんなMVの映像など、さらに新たに制作されたCGによるイメージカット(マトリックス的な)などがどんどん挟まれていく。

代表曲のライブシーンなどは長めに見せてくれるんだけど、やっぱり一切の説明テロップなしなので、曲名も、バックをつとめるメンバーなどもスルーしたまま進行する。曲の途中で映像の時期が代わったりとか。

だいたいアルバム・タイトルとか、ジャケットなども一切出てこないんだよね。なんとなく1970年代の初頭から、中盤、終盤、になってたのかな〜と雰囲気で追っていくしかない。ボウイの人となりを語るゲストとかも一切出てこない。他のミュージシャンとの交流も描かれないからエルトンやミック・ジャガーやイギー・ポップも出てこないよ。

ひたすらボウイ自身の言葉が綴られていくんだけど、それも静かな語り口で淡々としているし。やっぱ前半少し眠くなったw

しかしジギー期のミック・ロンソンとか出てこないのに、ベルリンに行く段になると急にブライアン・イーノについてはけっこう詳しく描かれるし、カルロス・アロマーやエイドリアン・ブリューもアップで抜かれるカットが多く使われてる。ココと、80年代のレッツ・ダンス期の最初だけが、やや説明的な展開があってドキュメントぽさはある。

しかし70年代末のサタデーナイトライブでスパーズ・アタックとクラウス・ノミを従えて歌ってるとことか、戦メリとかビギナーズやラビリンスも、すべてコンマ秒単位のカットアップ素材なのです。

さらにボウイの作品ではなく、ボウイが影響を受けてきたような作品、キューブリックやフェリーニやベルイマンやバスター・キートンや「メトロポリス」や「アンダルシアの犬」とか古い名作映画のカットも瞬間的にバラバラに押し込まれている。めまぐるしい。

後半の、年取ってからのほうがホントは素材はたくさんあるはずだけど、それほど見せてくれない。老いや死についての向き合いはサラっとしていて、やっぱ美しいボウイの全盛期世界のまま締めている。ロックンロール・スーサイド。エンドロールはスターマンとチェンジスです。

なんつうか、ボウイの脳内世界をどっぷり表現というか、再構成されたボウイの作品を見せてる感じ? なので、これを見たらボウイについて知識が身につくとか詳しくなる感じじゃない。そんなのwikiで見てろ!ていう。
もうボウイの生涯や作品について、わかったうえで見に来てるよね? じゃあ知らないとこ見せるよ、て感じですよね。

これは伝記映画の作り方の新しいトレンド、スタイルになっていくんだろうか?

おまけ:ボウイを描いた映画

もう25年前、1998年に「ベルベット・ゴールドマイン」という映画があって、これは明らかにデヴィッド・ボウイをモデルに1970年代〜80年代のグラムロックシーンを描いた作品なんですけど、ボウイの許可を得られなかったようで、ボウイの楽曲は一切使ってない。他の当時のバンドの曲は出てくるんだけど! 違和感! なわけで、よけい奇妙なカルトムービーになりました。

ジギー時代から、レッツダンス時代への変遷を、ハッキリ、他のキャラ、変名で再デビューする、みたいな描き方でした。

ぼくは試写会で見ていたんですが、ちょうど真後ろの席に鋤田正義さんがいらっしゃってて、横に座ってたアシスタントの女性に「あの頃、ぼくがボウイにね〜」とか昔話を聞かせていたので、ビビったよ!

2020年、最近ですが「スターダスト」とという作品もありました!
これも70年代、ジギー時代前の若きボウイをモデルにした作品ですが、やはりボウイ関係者、遺族の許可を得られず、ボウイの曲は一切使ってません!違和感! なんで作っちゃうんだろうね!

やっぱ作るんなら1985年のライブエイドのステージをクライマックスにした作品にしないと意味がないよな〜。。つて。

でジギー時代の本人のライブ、80年代にVHSでしか出てなかったやつがリマスターで蘇った! という「ジギー・スターダスト」も最近、劇場でやってました。やっぱり本人映像だよな〜。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?