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昆虫の謎を追え!

K.S.R.C ResearchReport FileNo.010004
オリジナル公開日 1998/12/27 報告
  報告者:KS

2022/5/31筆者注
本リサーチは初期のころのリサーチであり今見ると非常に拙い内容で再公開することを悩んだが、あえてそのまま公開することとした。
昆虫がどうかはともかく生命の起源を考える一助となれば幸いである。

2022/6/6筆者追加
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂から、アミノ酸が20種類以上見つかったというニュースが入ってきた。
パンスペルミア説を後押しする結果とも言えそうだ。


 この地球上にはさまざまな生物が存在する。しかし、その中で最も特異な生物は昆虫であろう。

昆虫とは動物分類学上は、節足動物門昆虫網Insectaに属する小動物の総称である。(一般に「虫」と呼ぶ場合は昆虫以外のクモ類などの小動物も含まれる)
現在までに記録された昆虫の種類は80万種を超え、全動物の4分の3を占めている。地球上にすむ昆虫は未記録のものも含めれば、全種類は約300万、総個体数は10の18乗にも及ぶともいわれている。

 それほど地球上に存在している昆虫たちであるが、海にすむ昆虫が極端に少ない(ウミアメンボの仲間やユスリカの仲間しかいない)。昆虫は陸上はもちろん水中、空までも制覇しているというのに。
生物というのは海から生まれやがて陸に上がって繁栄していったとされているにもかかわらず、これは何故か。

 昆虫の最大の特徴は「変態」である。
変態の形態は次の二形態に大別される。

①完全変態
 鱗翅類や甲虫類などのように卵、幼虫、蛹、成虫と著しい変態をするもの
②不完全変態
 卵から若虫(幼虫)となったとき、すでに成虫とかなり似ており若虫の中期から羽の芽が現れ、脱皮するごとに大きくなり最後の脱皮で羽が完全に伸びて成虫になるもの

 いずれにしても、哺乳類や鳥類などとは異なり生まれたときの姿と成長したときの姿が異なるのが特徴である。

 また、昆虫はこの地球上において数少ない自力で飛ぶことのできる動物である。(昆虫の他には鳥とコウモリだけである)

このような他の生物と著しく異なった特徴を昆虫が持つのは何故だろうか。

 実は、昆虫の起源は他の生物とは異なり、宇宙から飛来した一つの種子から発生したのである。一般にパンスペルミア説と呼ばれる生命の起源を他の天体に求める説があるが、昆虫こそその説の通り他の天体を起源にもつ生物だったのだ。

 ある種の昆虫は環境が厳しくなると、耐久卵というふつうの卵より耐久性がはるかに強い卵を産み、次の世代を生存しやすい環境まで卵のかたちで残すという能力がある。地球上の昆虫の祖先はその故郷の惑星で何らかの環境変化に遭遇し、耐久卵を産んだに違いない。
 その耐久卵は何らかの作用により(おそらくは火山爆発)宇宙空間に放出された。その耐久卵は長い時間をかけ宇宙空間を旅し、おそらくは宇宙に点在する岩石に付着しこの地球に降り立ったのだ。
しかもその到着地点は海ではなく陸上だった。

 これが、海にすむ昆虫が極端に少ない理由である。

 また、彼らの故郷の惑星環境はあまり住みよい環境ではなかったであろうと想像できる。餌をとるために変態し、羽をもって移動していたのであろう。それが地球でも受け継がれ変態という特異な生命形態をもっているわけだ。

今、彼らの故郷の惑星では、昆虫型の生物が高等生物になっているかもしれない。(映画「エイリアン」はそれを予感させるに十分な作品であったし、「スターシップトゥルーパーズ」はまさにそんな昆虫達と戦争する映画であった)

このまま人類が地球環境を破壊し続ければ、昆虫は地球を見限り、いつの日かまた、宇宙へと羽ばたいていくかもしれない。

そんな日が来ないように我々人類に課された課題は重く、急を要す。


<解説>パンスペルミア説

20世紀初頭、スウェーデンのノーベル賞受賞科学者のスヴァンテ・アレニウスは、その著「揺籃の世界」で、地球生物の起源は他の天体で生まれた生物の種子が、宇宙空間を旅して地球にたどり着いたことから始まったという説を述べた。

こういう考え一般を総称してパンスペルミア説(胚種普遍説)と呼んでいる。

パンスペルミア説はパスツールによって否定された生命自然発生説に代わって登場したのだが、1920年代にオパーリンらによって批判され衰退していった。

このときのオパーリンの批判は次の3点からなっていた。

 第一に、惑星から生物がその重力を振り切って飛び出すということはありそうもない。

 第二に、長期間、宇宙線を浴びる旅行に耐えられるとは思えない。

 第三に、パンスペルミア説は生命の起源の問題を地球とは別の惑星に移しただけで、生命発生の起源という問題をすり替えただけで無意味である。

 しかし、このオパーリンの批判は現在ではかなり考え直されている。

 ます第三の批判だが、これは生命発生の起源を考えた場合、地球上より地球外の方が生命が発生しやすい条件があるのかもしれない。生命が発生する条件と進化していく条件と違う可能性は十分にあるのである。

 第一の点に関しては、あのカール・セイガンによって再検討された。
惑星の表面から火山爆発などによって宇宙空間に微粒子が放出されることがある。通常の場合、放出された微粒子は重力によってその惑星に舞い戻るか、さもなければ親である恒星に落下してしまう。
しかし、微粒子の大きさが0.2~0.6ミクロン、すなわち光の波長とほぼ同じ程度である場合に限り、その恒星が放つ光圧の力が重力の効果に打ち勝ち、恒星系を離脱することができるという。

 この現象をポインティング・ロバートソン効果というが、この0.2~0.6ミクロンという大きさこそ胞子やヴィールスのような生物の大きさなのである。

 ところが、このセイガンの考えにも穴があって、ポインティング・ロバートソン効果は両刃の刃で、別の恒星系に着陸しようにも、その恒星の光圧ではじき飛ばされてしまう。
そこで、日本の山田博はセイガンの考えを修正して、放出された胞子が宇宙空間を漂っているあいだに、宇宙塵の表面に付着し、それら宇宙塵のいくつかが集まって団体の微粒子を作ると仮定する。そうすれば、光圧ではじき飛ばされることなく、また、惑星大気圏に突入する際の発熱からも保護されるというのだ。
この考えは、はからずもオパーリンの第二の批判に対する答えにもなっているわけだ。

 事実、隕石の中に多数の有機化合物が存在することはすでに知られているし、火星からの隕石に生物らしき破片が付着していたというニュースも記憶に新しい。

昆虫宇宙起源説はパンスペルミア説の局所採用説なのである。

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