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ウルトラセブン全話紹介Part4

至高の特撮「ウルトラセブン」
ウルトラセブンのすばらしいところは、アイデアに満ちたストーリーとその奥に隠されたメッセージ、それと人間同士のドラマだ。

では、そのすばらしきウルトラセブンに触れていただくことにしよう。
(内容の詳しい紹介ではなくストーリーを見たあとに気の合う仲間との雑談のつもりで見ていただきたい)

第37話「盗まれたウルトラ・アイ」

久しぶりに盗まれるウルトラアイ(笑)
そんな茶化しも払拭されるような渋い話だ。
ファンの間でベストエピソードに数えられるのも解る作品だ。

この回には怪獣も宇宙人も登場しない。
いや、宇宙人は登場するのだが、その姿は人間の少女の姿なので宇宙人らしくない。
その宇宙人はマヤというマゼラン星人だ。
このマヤもダンも、ともに同じ宇宙人なのに、マヤは地球に住むことを拒絶し、ダンはその地球を守ろうとする。
マヤは言う。
「こんな狂った星を侵略する意味があって?」
マゼラン星人は地球をミサイルで攻撃してくる。
その理由は全く不明だが、マヤの言葉から察するに、地球を宇宙のガンとして見ているのだろう。

マヤはマゼラン星に「迎えはまだか」というメッセージを送り続ける。
しかし、マゼラン星からの応答は、「迎えに行く時間がない」というものだったのだ。
マヤは自分の星に見捨てられたのだ。
ダンはその事実をマヤに伝え、「一緒にこの星で生きよう」と言う。
ダンはマヤに自分と同じ立場の孤独さを感じていたのだ。
そんなマヤはダンにウルトラアイを返すのだった。

地球に向かってきていたミサイルを破壊し、アングラバーに戻ってきたダンは愕然とする。
マヤはジュークボックスに仕込んだ装置で死に、そこにはブローチだけが残されていたのだった。
「なぜ、他の星ででも生きようとしなかったんだ。僕だって同じ宇宙人じゃないか・・」
雑踏の中に歩いていくダン。

これはもはや、子供向け番組ではない。
こういった作品が、セブンが単なる怪獣番組ではなくSF作品と呼ばれる一因だ。

第38話「勇気ある戦い」

鉄を奪うために地球にやって来たバンダ星人のロボット・クレージーゴン。
しかし、鉄なんてありきたりの鉱物は、そこら辺の小惑星にいくらでも含まれてると思うのだが。
わざわざ、地球くんだりまで遠距離をやってこなくてもいいのに。

アンヌが心臓移植の権威ユグレン博士を空港まで迎えに行った車に付いてるステッカーに注目。
FISCO(富士スピードウェイ)のステッカーだ。
車を飲み込むクレージーゴンは、発展しつつあったモータリゼーションへの警告とも取れる。
そんな話の中、FISCOのステッカーをわざわざ見える位置に貼るというのも意味があってのことだろう。
モータースポーツへの理解の足りなさが伺いしれる。

クレージーゴンがドッキングした宇宙船の写真をみて思わず
「これはバンダ星人の宇宙ステーションじゃないか!」
と言ってしまうダン。
「お前どうしてそんなことを?」フルハシ隊員の突っ込みはもっともだ。
「いや、ちょっと・・」じゃないだろ。ダン。
そして、もっと突っ込めよ。みんな!

何故か今回もウルトラホークじゃなく、普通の戦闘機で出撃するウルトラ警備隊。
そのせいか撃墜され大けがをしてしまったダン。
そのまま、今まさに心臓手術をしようとしているオサム君の手術室へ入っていった。
そんな汚れたカッコのまま手術室に入って良いの?

ラストシーン。
車椅子のダンがオサム君のお姉さんと握手するのを見てやきもちを焼くアンヌ。
カワイイねぇ。
当然、最終回への布石です。

あと、夕日にシルエットを浮かばせるクレージーゴンの残骸は、猿の惑星のラストシーンのパクリらしい。

第39話「セブン暗殺計画 前編」

久しぶりの前後編ストーリー。
かなりの力作で娯楽性に富んだ作品に仕上がっている。

セブンを徹底的に研究し、地球に侵略してきたガッツ星人。
半透明のガッツ星人という特撮や、独自のBGMによって気味悪さを強調している。
ガッツ星人自体のデザインはオウムをモチーフにしている。
もともとはスラッガ星人という名前の宇宙人を考えていたようだ。
スラッガというのはガラスを逆から読んだもので、ガッツ星人の宇宙船にそのイメージは残っている。

さて、この回ではウインダムが登場しているが、なんとガッツ星人に壊されてしまった。
ホントに使えないヤツだ。

セブンのエネルギーが尽きるまで翻弄し、セブンを十字架に張り付けてしまったガッツ星人。
その計画性は今まで出てきた宇宙人一であろう。
また、その神出鬼没さ、分身するところなど、バルタン星人の発展型宇宙人とも言える。

みんながセブンを心配する中、アンヌだけが行方不明のダンの心配をしている。
アンヌにとってセブン(地球)よりダンが大切になっている現れだ。

十字架に張り付けられたセブン。
これだけでもショッキングなのに、謎の怪電波まで入ってくる。
早く続きが見たくなるラストシーンだ。

第40話「セブン暗殺計画 後編」

謎の怪電波の正体はセブンの脳髄から発信されたものだった。
マグネリュームエネルギーが無いと体を動かすことが出来ないというメッセージだったのだ。
そのためにはダイモード鉱石が必要なのだ。
このダイモード鉱石はアフリカの原住民しか持っていないのだが、たまたまフルハシ隊員の女友達ナツさんがアフリカ土産で日本に持ってきていたのだ。
それを巡るガッツ星人との攻防が後編の要になっている。

ガッツ星人に追いかけられるダイモード鉱石を持ったナツさん。
あんなヤツに追いかけられたらマジでイヤだ。しかも夜だし。
映像もその怖さを非常にうまく表現している。
影だけでガッツ星人の存在を匂わし、最後には突然ガッツ星人が現れるという演出は、本当にうまい。
ガッツに襲われた彼女の叫びは、演技以上のものを感じる。
マジで怖かったのかもしれない(笑)

手に入れたダイモード鉱石で強力なエネルギーを得たウルトラ警備隊。
そのエネルギーを光線で照射すると、非常に堅いサンプルもうち砕いた。
そんな高エネルギー光線をセブンに照射していいのか?
セブン、死なないのか?

ガッツ星人をおびき出すために発信器を持たせたナツさんを車で走らせる。
民間人をそんな危険な作戦に利用して良いのか?
ちなみに、ナツさんが乗っていた車は、帰ってきたウルトラマンのMATカーのマツダ・コスモスポーツだ。

ウルトラ警備隊の活躍で無事よみがえったセブン。
前編の苦戦がウソのように、あっさりとガッツ星人をやっつけてしまった。
まぁ、そんなもんだけどね。

この話、暗殺計画といいながら、暗殺じゃないと思うんだけど。
意外と、律儀かも。ガッツ星人。

第41話「水中からの挑戦」

古来から言い伝えられている妖怪、カッパ。
そのカッパは宇宙人だったかもしれないという説のハシリがこの話だ。
しかも、その説を非常にそれらしく描いている。
個人的に、非常に好きな話でもある。

最初にカッパを目撃した人がカッパに似ている(笑)
これは、カッパ=人間を見間違えた説をも彷彿とさせ、おもしろい。

導入部のカッパ目撃の調査をしているウルトラ警備隊を、カッパと見間違えるカッパ倶楽部の面々の描写は、その後のストーリーの伏線としても見事でおもしろい。

湖を調査するウルトラ警備隊。
テペト星人が現れ、それを撃つアマギ隊員。
でもね、ただ泳いでるだけのテペト星人を殺さなくたっていいのにと思ってしまう。
だって、その泳ぎ方が背泳ぎでなんかカワイイんだもん。

湖の中で捕まってしまったダン。
その上の湖面には、気絶したアンヌがボートに揺られている。
そんな状態なのにセブンに変身し、怪獣と戦うセブン。
当然、水面は大荒れ状態。
アンヌは大丈夫か?

戦い終わりダンはアンヌのボートに戻ってきた。
ダンの運転で湖面を行くボート。
なんか良いムード。
ダンなんか、口笛まで吹いてる。
ちょっと、うらやましい(笑)

第42話「ノンマルトの使者」

全49話のセブンの話の中で、最もセブンのテーマを表現している作品がこれだ。
同時に、この話は日本の特撮史上で最も優れた作品の一つといっても過言ではないだろう。

この話は、侵略するもの、されるもの、その両者の立場を見事に描き、考えさせている。
しかも、人間は正義か、ウルトラセブンは正義なのか、という問いかけまで投げかけている。
この問いかけは30年後、ウルトラマンガイアで再びテーマとして取り上げられる事となる。

この話はとてもおもしろいので、ストーリー紹介も交えてコメントしていこう。

物語は休暇で海にやって来てるダンとアンヌの前に不思議な少年が現れるところから始まる。
海底開発センターのシーホース号が行っている海底開発研究を止めないと大変なことになると警告し立ち去る少年。
その直後、シーホース号は謎の大爆発をおこしてしまう。

二人だけの休暇を楽しむダンとアンヌ。
二人の関係は回を追う毎に親密になっているようだ。
この関係描写が、最終回への序曲となっていく。

謎の少年の消息を聞き込みするアンヌ。
ダンはただついてまわってるだけみたいに見える。
もし、この二人が結婚したら尻に敷かれるな。ダンは(笑)

そんな中、地球防衛軍基地に同じ少年から電話がかかってくる。
「海底はノンマルトのものなんだ!」
それを聞いたダンは「あのノンマルトのことなのだろうか?」とひとり考えるのだった。
M78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいたのだ。
地球人でないノンマルトがいるのか?

必死の捜索でようやく真市と名乗る謎の少年を発見するダンとアンヌ。
そこで真市から意外な事実を告げられるアンヌ。
ノンマルトこそ本当の地球人で、人間は侵略者なんだと。

アンヌ「海底は人間にとって重要な資源よ。」
真市「ノンマルトには、もっともっと大切なんだ!」
アンヌ「私は人間だから人間の味方よ。」

ここでの真市とアンヌの会話は、すれ違いに終わる。
ノンマルト側の真市。人間側のアンヌ。
しかし、アンヌの「私は人間だから人間の見方」という意見には誰も反論できないだろう。

そんな中、ノンマルトはイギリスの原潜グローリア号で攻撃を開始する。
彼らほどの科学力があれば、自分たちの兵器を開発できるのだろうが、彼らは人間の兵器を奪い、攻撃してきている。

実は、ノンマルトとは、戦いの神マルスの変形であるマルトに、否定のノンをくっつけた造語である。
戦いを否定した種族。それがノンマルトなのだ。
そんなノンマルトでも、人間のしたことには耐えられなかったということだろう。
もともと住んでいた地上を、侵略者である人間に海に追いやられ、さらにその海からも追い出されようとしている。
ノンマルトでなくても人間の身勝手さにはうんざりするだろう。

セブンに変身しようとするダン。
しかしその前には真市が現れ、必死に「ノンマルトは人間より強くないんだ!攻撃は止めて!」と訴える。
が、「僕は戦わなければならないんだ!」と変身してしまうダン。
ダンはノンマルトではなく人間の味方なのだ。

第11話「魔の山へ飛べ」、第12話「遊星より愛をこめて」、第14話・15話「ウルトラ警備隊西へ」、第26話「超兵器R1号」等でテーマにされてきた『正義とは何か?』の集大成がここに現れている。
結局は自分が信じていることが正義であり、逆の立場から見ればそれは正義ではないのだ。

ノンマルトの海底都市を発見したウルトラ警備隊。
「我々人間より先に地球人がいたなんて・・・。そんなバカな。やっぱり攻撃だ!」
キリヤマ隊長は苦悩の末、攻撃を指示する。
そして、引きつった笑顔を浮かべながら「海底も我々人間のものだ!」と言う。
それを、浮かない表情で聞くアンヌ。

キリヤマ隊長の引きつった笑顔は、自己正当化の現れであり、もはや笑うしかなかったのだ。

事件が終了し、海辺ではしゃいでいるウルトラ警備隊員たち。
しかし、ダンとアンヌは何か考えている表情で海を見つめている。
そんなダンとアンヌの耳に、あの真市の声が聞こえてきた。
その方向に走りだしたダンとアンヌは、衝撃的なものを発見する。

「真市、安らかに・・・」と書かれた墓標。

2年前に海で死んだ清らかな少年の魂だけが、ノンマルトの悲しみを知っていたのだった。

観た後に余韻を残す名作だ。

ドラマ「私が愛したウルトラセブン」の中で、実名で登場した上原正三がこんな事を言っている。
「宇宙人を書いてると沖縄人になってしまう。ウルトラ警備隊は自衛隊で、セブンはアメリカの第7艦隊って図式になってしまうんだ。」
あくまでドラマの中のセリフだが、当時の円谷プロにこういった空気が流れていたのは事実だろう。
特に、この「ノンマルトの使者」ではノンマルト=沖縄人というイメージをひしひしと感じてしまう。

太古、日本にいたのは現在の日本民族ではなく、そこに縄文人が大陸からやって来たという説がある。
今の日本民族(我々)もいわば侵略者なのだ。
また琉球民族に対しても、様々な迫害を繰り返してきた。
沖縄に追いやられた琉球民族は、日本の都合によって日本という国に入れられたり、排除されたりしてきた。
とどめは、第2次大戦での沖縄決戦だ。
大本営の中では沖縄でなら構わないという意識があったはずだ。同じ日本のハズなのに。

そういう歴史を歩んできた沖縄で産まれた金城哲夫氏の脚本が本作なのである。

本当にいろいろな事を考えさせられる作品だ。

第43話「第四惑星の悪夢」

この話は完全にSFです。

長期の宇宙飛行で人工睡眠が取り入れられ、知らない間にコースを外れ、地球らしいが地球とは違う惑星にたどり着き、そこで人間以外のものに支配されている人間に出会う・・・・。

このシチュエーションは、SF映画の名作「猿の惑星」そっくりだ。
猿の惑星は、猿が進化し人間が退化した話だったが、この回は人間が作り出したロボットが人間を支配してしまう話だ。

車にはねられる人間。
そこに現れた警官は「人間が避ければ事故はおこらなかった。よって人間が悪い!」と言い切る。
価値観が違えば、常識も違う。
地球に侵略してくる宇宙人たちにもそれぞれの価値観での理由があることを暗に示しているかのようだ。

第四惑星の長官にダンとソガ隊員が会うシーン。
長官は目の部分と頭の後ろを外し、メンテナンスする。
外した内部では歯車がまわってる。
今見ると、歯車で計算してるのかよって突っ込みたくなるけど、当時としてはそれらしかったんでしょうね。

この長官、秘書に人間を使っている。
コーヒーを入れさすが、毎日味が違うと怒る。
そんなにイヤならなんで人間を秘書に使っているんだろう?
しかも、長官秘書ってかなり重要なポストなのに。

逃げる途中で撃たれるソガ隊員。
その前で変身するダン。
ちょっと、ソガ隊員が見てるんじゃ?

地球に戻ってきたダンとソガ隊員は、みんなに夢でも見ていたんじゃないのかと言われる。
ソガ隊員のけがは残ってないのか?

第44話「恐怖の超猿人」

これもヒントは「猿の惑星」から得た話。
第38話「勇気ある戦い」のラストシーンといい、第43話「第四惑星の悪夢」といい「猿の惑星」にヒントを得た話が多い。

ゴーロン星人に操られていた助手にムチで打たれるアンヌ。
別のことを想像しちゃいけません(笑)

猿人間に連れ去られるアンヌを助けるため、銃を投げつけるダン。
銃の使い方知ってる?ダン?(笑)

ポインターの故障で、仕方なく川を下るアンヌ。
川に止まってる川下りの手漕ぎ船に乗り込んだアンヌ。
この辺は、時代を感じてしまう。

しかし、セブンのアイスラッガーって何なんだろう。
体の一部なのか、単なる武器なのか。
体の一部としたら取り外せるのは、すごい構造だし、武器だとしたら、セブンは素顔じゃないって事か。

ゴーロン星人をやっつけたセブン。
ゴーロン星人は爆発してしまったが、頭の部分だけ残っているのは、ちょっとイヤだなぁ。

後始末、大変そう。

第45話「円盤が来た」

この回の宇宙人は、ペガッサ星雲にあるペロリンガ星から来たペロリンガ星人だ。
ペガッサといえば、第6話「ダーク・ゾーン」に登場したあのペガッサ星人を思い出す。
このペロリンガ星人と同じ宇宙域に住んでいる宇宙人なのであろう。

しかし、ふざけた名前だ。ペロリンガとは。
しかもサイケ宇宙人という通称だし。たしかにサイケだけど(笑)

連日、円盤を見たと通報してくるアマチュア天文家のフクシンさん。
そのうちにウルトラ警備隊にも相手にされなくなってしまう。
オオカミ少年のように。

専門家は常にアマチュアより正しいと思っている人間心理を巧みについたペロリンガ星人。
やるな!ペロリンガ星人!

また、メトロン星人のようにちゃぶ台には座らないが、普通の家で入り込んでいる。
こういった日常風景に入り込んだ宇宙人の映像はおもしろい。

この回での戦闘シーンは映像的に凝っている。
直接の戦闘シーンは描かず、イメージ的な映像表現だけで現している。

第46話「ダン対セブンの決闘」

とうとう出てきた。偽セブン(笑)

怪現象調査のために、私服姿で行動するウルトラ警備隊員たち。
フルハシは土木作業員の格好だが、似合いすぎ(笑)

偽セブンはサロメ星人が作り上げたロボットだ。
サロメ星人はウルトラビームの秘密をダンから聞き出す。

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これが、ウルトラビームの秘密だって。
これが何の事か解るとは、サロメ星人。やるな!(笑)

偽セブンの体には変な模様が入っている。
どうせ作るならそんなの付けずに、もっとそっくりにすればいいのに。

第47話「あなたはだぁれ?」

科学特捜隊のムラマツキャップ登場(笑)
これで、ムラマツ、イデ(ノンマルトの使者)、アキコ(遊星より愛をこめて)が登場したことになる。
この回では、ムラマツとアラシの夢の競演が実現した(笑)
最終回直前でのファンサービスだ。

マンモス団地をそっくり夜だけ入れ替えて宇宙人居住区を作ったフック星人。
珍しくフック星人3人とセブンは戦う。
今まで、敵は一人というのが変といえば、変だったような気がする。

その3人のフック星人と円盤群をやっつけたはいいが、それで地球に来ていたフック星人は全員なんだろうか。
マンモス団地に1万5千人はいたハズだが・・・

高度経済成長による団地の急増と、残業による帰宅時間の遅れによる近所とのコミュニケーション不足を危惧した作品と言える。

第48話「史上最大の侵略 前編」

至高の特撮、ウルトラセブンの物語も終わろうとしている。

具合の悪そうなダン。
なんと、脈拍360、血圧400、熱が90度近くもある!
人間なら間違いなく死んでる。
そんな体調を押してのパトロール。

運悪く、宇宙人の円盤が飛来した。
宇宙ステーションV3クラタ隊長からその連絡を受け迎撃に向かうが、そんな体調では打ち落とせるわけもなく、逆に撃墜されてしまう。
撃墜されたダンはメディカルセンターに運ばれた。
熱が90度もあるダンに触って火傷しないのかアンヌ、ってのは言い尽くされた話だ。

自室でベットに横たわるダンの横にM78星雲のセブン上司が現れ、ダンの身体にはエネルギーが残っておらず、再び戦えば命はないと警告する。

そんなダンが当番の日に、宇宙船の進入を許してしまう。
V3からの連絡を聞き漏らしてしまったためだ。

ダンはセブン上司の警告にも関わらずセブンに変身してしまう。
なんとか怪獣バンドンを倒したものの、ダンは重傷を負ってしまった。

病室で横たわるダンの横で、宇宙人の進入を許したのは本部か宇宙ステーションかという責任問題が議論される。
「クラタ!V3は何をやってたんだ!V3の責任だぞ!」というキリヤマ隊長。
「こっちはちゃんと連絡を取ったぞ!当番が居眠りでもしてたんだろ!」とクラタ隊長。
「「そんなバカな!誰だ昨日の当番は。」と問うキリヤマ隊長。
「ぼ、僕です・・」ダンは答えた。
クラタ隊長は怒りながら「自業自得だ!」と言い放ち病室を後にする。

その後、ダンはひどくうなされ、急に力尽きたまま、後編へ続くのだ。
ダンはセブン上司の警告通り、死んでしまうのか?!

第49話「史上最大の侵略 後編」

ダンは死んでなかった。
アンヌは言う。「大丈夫!峠は越したようだわ。」
何だよ。まったく、紛らわしい!

手術の必要があるかもしれないから、念のためレントゲンを撮ってみようという医師。
普通、病院に運び込まれた段階で撮らないか?
それを聞いたダンは病室を抜け出してしまう。
レントゲンを撮られたら人間でないことがばれてしまうらしい。
今まで、何回か重傷を負って治療してるけど、1回もレントゲン撮られてないのかな。

ダンが逃げ出したのを聞いたクラタ隊長は、ウルトラ警備隊の恥さらしだと言う。
確か、「V3から来た男」で「モロボシ・ダン、やるなぁ!」って言ってなかったっけ?

ゴース星人は30億全人類を人質にとったも同然の、地底ミサイルによる攻撃を示唆してきた。
これが、「史上最大の侵略」といわれる由縁だ。

基地をポインターで抜け出したダンは、道ばたに車を止め苦しんでいた。
そこに少年とそのお姉さんが現れ、家に連れていき看病しようとする。
この少年、かなりのマニアだ(笑)
部屋にはウルトラホーク1号、2号、3号とポインターが、そして秘密基地にはウルトラ警備隊の旗まである。
欲しい!!(笑)

ついに始まったゴース星人の各都市への地底ミサイル攻撃。
世界中の主要都市は壊滅状態となってしまった。
かつて、地球がここまでやられた事はなかった。

TVではアナウンサーが「人類はゴース星人の奴隷になってしまうのでしょうか?それとも人類の誇りとともに滅亡するのでしょうか?」と悲壮な表情で伝えていた。

ゴース星人の秘密基地が解り、そこに爆弾をセットしたマグマライザーを突っ込ませる計画が実行されようとしていた。
しかし、敵基地にはアマギ隊員が捕らえられている。
クラタ隊長は「彼だってウルトラ警備隊だ。自分の命より、人類全てのことを大事に思うだろう。」と言う。
キリヤマ隊長は、マグマライザーの出動スタンバイを命令した。
それを、ビデオシーバーで見ていたダンは、自分の命が危険なことが解っていながらセブンに変身し、アマギ隊員を助け出そうとする。
ダンにとっては自分のミスでアマギ隊員が敵に捕らわれてしまったから、特に「助けなくてはいけない」という使命感があったのだろう。

と、そこに少年からの通報を受けたアンヌがやってくる。
そこで、ついにダンはアンヌに衝撃の告白をする。

「僕は、人間じゃないんだ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだよ!」

それに対し、アンヌはこう答える。
「人間であろうと、宇宙人であろうとダンはダンに変わりないじゃないの。例えウルトラセブンでも!」

ちなみに、アンヌに正体をばらしたとき、ダンとアンヌの後ろでは光がキラキラ光っているが、これは光学的な特撮でも何でもなく、実は銀紙を貼った板をスタッフが揺すっていたものだ。
特撮なんかを使わなくても、立派に良い映像が撮れる見本ですね。

「西の空に明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んでいく。それが僕なんだよ。」
というと、ダンはアンヌの目の前でセブンに変身しアマギ隊員を助けに飛んでいってしまう。

ダンの告白は、まるでウルトラセブンであることが恥のようにも聞こえる。
「今まで黙ってきたけど、本当は弁護士じゃないんだ!」
嘘をついて恋人と付き合ってた男のセリフに似ている。
アンヌの答えは「例え弁護士じゃなくても、ダンはダンじゃない!」と言ってるのと同じだ。
それは、アンヌの想いがそれだけ強いことの現れであるが、それだけであろうか?
もともとダンという名前は、セブンが地球で生きていくための架空の名前である。
もちろん、その姿や性格も「地底GO!GO!GO!」で判明したように薩摩次郎という人間をモデルに創られているだけである。
そんなダンにとってアンヌの「ダンはダンじゃない!」と言うセリフはどう聞こえていたのだろうか。

アンヌからセブンの正体を聞いたウルトラ警備隊員たち。
ここで、初めてダン=セブンだったことを理解し、セブンに対して思わず「ダン!」と呼びかける隊員たち。
ダンが自らの命を削ってまで地球のために戦っているのを見たキリヤマ隊長は
「地球は、我々人類自らの手で守り抜かなければならないんだ!」
と悟る。
これは、初代ウルトラマンの最終回と見事にリンクする。

サイボーグ化された怪獣パンドンを何とか倒したセブンが、夜の闇が薄れていく空をバックによろよろと立ち上がる。
このシーンは、最高にカッコいい映像で魅せてます。
数あるセブンのカットの中でも、僕の最も好きなカットです。

「ダンは死んで帰っていくのだろうか・・・」
西の空に飛んでいく一つの光を見つめながらソガ隊員がつぶやく。

「そんなバカな!ダンが死んでたまるか!」
フルハシ隊員は自分に言い聞かせるようにつぶやくのだった。

しかし、この時点ではどう考えてもダンは死んで帰っていったとしか思えないし、その方が物語的にもスッキリ(?)する。
だが、その後のウルトラシリーズにおいて、ダンが生きていたことが判明しているので、ダンは何とか生きてM78星雲に帰ったのだろう。

でもなぁ・・・。
セブンの物語は好きだし、セブンもダンも好きだけど、だからこそ、この最終回ではダンは死んで帰っていくことにして欲しかった。

 
これで、セブンの物語は終了する。
確かに、その後、平成ウルトラセブンシリーズをリリースしているが、セブンは1967年の放送で完結すべきだった。
それ以外のセブンはM78星雲でいうところの「恒星観測員340号」ではないヤツのハズだ!
僕らのダンはあの時死んだのだから。

と、いうのが僕の持論です。


ウルトラセブン全話紹介
Part1:第1話~第12話
Part2:第13話~第24話
Part3:第25話~第36話
Part4:第37話~第48話

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