街ですれ違う他人の母性本能を擽る為に、わざと靴紐を解けた状態で歩いてみる。
この街は街づくりが下手くそだ。排気口から匂うあのなんとも臭いとは言い切れない、汚い飲み屋商店街の方がよっぽど好きだった。子綺麗な福祉施設しか入ってない駅ビルなんて新作のゴミゲーと同義である。この街に小さな頃から住んでいると、自分のキッチンで勝手に料理されている気分になる。
 街ゆく人の過半数は後期高齢者だろうか。その中で歩く自分は過半数より大きな希望を背負っている。いや、背負わされている。
まだまだ選択肢はたくさんある。その眼差しにうんざりする。
20代ならなんでもできるよ、と言う60代。
あなたの希望を僕に乗っけてこないでほしい。僕は僕だけの希望を背負う。
ここは掃き溜め。

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