見出し画像

「本阿弥光悦の大宇宙」と法華信仰

「本阿弥光悦の大宇宙」展は大盛況、同時に「中尊寺金色堂」「江戸城の天守」展もあって、雨模様もなんのその、東京国立博物館の入場券販売窓口は長蛇の列であった。

本展の〈第1章 本阿弥家の家職と法華信仰―光悦芸術の源泉〉には、「本阿弥光悦肖像」「本阿弥行状記」や国宝の「刀 無銘 正宗(名物 観世正宗)」などの刀類はもとより、重要文化財の光悦筆「立正安国論」――日蓮が北條時頼に奏進した建白書――や「始聞仏乗義」――門下の富木常忍の母の3回忌に際して送った書状――、さらに小野道風写経の「紫紙金字法華経幷開結」10巻が展示されていてビックリ仰天。はてさて、光悦の法華信仰を多少なりとも読み解く一助に、折りをみて「本阿弥行状記」を繙いてみたい。

つづいて、〈第2章 謡本と光悦蒔絵―炸裂する言葉とかたち〉に展示された光悦作「花唐草文螺鈿経箱」(重要文化財)の蓋には「法華経」の文字が鮮やかに刻まれていた。この経箱に納めるのは法華経なのである。

さらに、〈第3章 光悦の筆線と字姿―二次元空間の妙技〉においても、門下に送った日蓮の書状「四条金吾殿女房御返事」をはじめ、光悦筆の「法華題目抄」――五字七字の題目の功徳を説いた「法華経題目抄」のことか――や「如説修行抄」――日蓮が「人々御中へ」として修行の指針を説いた書――いずれも重要文化財、さらに先の「法華経」10巻の光悦による「寄進状」など、日蓮仏法にかかわる諸々の作品を目の当たりにして、光悦芸術の淵源に思いめぐらせた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?