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アメリカの美大で学んだこと03:リファレンス写真

設定画やコンセプトを描くときに、リファレンス写真を調べることって多いですよね。リファレンスってすごく大事だし、なくてはならないものなんですが、調べ方や使い方が意外と難しい。リファレンスにこだわりすぎて絵がつまらなくなったり、的確な写真を探すのに時間がかかりすぎてしまったり。

効率よく必要なリファレンス写真を探し、うまく使うにはどうしたらいいんだろうと自分でも悩むことが多かったので、今回はリファレンスについて大学で教えてもらったことをシェアしたいと思います。

Googleで画像検索したらいいだけじゃないの?

大学時代にリファレンスの集め方で注意されたことがありました。授業では集めたリファレンスも課題と一緒に提出するのですが、そのとき教授から「この写真はどーやって集めたの?」と突然聞かれたんですね。

僕は素直に「Googleで検索しました」と答えました、当たり前でしょ?みたいな顔してましたね、多分、、、

教授曰く、それは時間の無駄だそうです。なぜならば「直接Googleで検索したら、膨大な数の写真が出てくるけど、その中から探したの?もっとまとめてあるサイトを使ったらリサーチ時間も減るし、絵を描くことに時間をさけるんじゃないの?」と。

その通り過ぎてぐうの音も出なかったですね。笑 なので、リファレンス写真を探す際はあらかじめまとめてあるサイトを使うとかなり便利です。

リファレンス写真の調べ場所

さて、Googleで直接がダメならどこで調べるんだってことで、リファレンス写真集めに僕がよく使うサイトをあげときます。もちろんここで紹介する物の他にもたくさんあると思うので、自分はこんなとこ使ってるよーってのがあればコメントで教えてもらえたらと!

ebay https://www.ebay.com/
骨董品など古い物を調べるときに意外と便利なのがこのショッピングサイト。基本中古品の売買なので、いろんな角度から商品を撮影して載せている出品者が多いのでありがたい。

Flickr https://www.flickr.com/
綺麗な自然風景からインスピレーションを得たい時はFlickrをよく使います。出てくる写真の数が結構多め(それでもGoogle直接よりは絞られてますが)なので、検索ワードを具体的にすることがコツ。※綺麗な島→屋久島

Reference.Pictures https://reference.pictures/
こちらは絵描き用のリファレンスまとめサイト。テーマ別にリファレンスが保存してありダウンロードもできるので欲しいテーマがあるならおすすめ。
更新情報は以下Art CampのTwitterから
https://twitter.com/ArtCampOfficial?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

Instagram https://www.instagram.com/
インスタはみなさん見てると思いますが、あらかじめ目的別にフォローしておくと便利だし、定期的にインスピレーションを得るのにもおすすめです。
絵描き以外で僕がフォローしてる人たちを何人か紹介。

●Robh Ruppel https://www.instagram.com/robh_ruppel/
写真家。街中で撮ったシネマティックな写真が多く、構図のインスピレーションが必要なときによく見る。
●Austinxc04 https://www.instagram.com/austinxc04/
廃墟や古びた建物のリファレンス写真に。
●Awake the Soul https://www.instagram.com/awakethesoul/
個人的にキャンプがテーマのイラストをよく描くので。

自分で撮影するリファレンス写真

もちろん可能ならば自分で撮影しちゃうのもありです。スマホさえあれば簡単にできますし、ポージングのリファレンスなんかは自分でポーズした方が構造も理解しやすいです。小さい卓上三脚を仕事場の机に入れておくとさくっと撮影できておすすめです。

リファレンス集めすぎ、囚われすぎ注意

リファレンスを集めるのは大事なのですが、リファレンスの使い方がうまくいかずにデザイン作業が滞ることがあります。

個人的によくやってしまう失敗は以下の2つ

1.リファレンスを集めすぎて何を伝えたかったのかを見失うこと

いいなと思うリファレンス写真をたくさん集めて作業していると、何を伝えたくて描いているのかボヤっとしてくることがあります。例えば本棚のプロップデザインをしていて、いい本棚の写真をたくさん集めたとします。おそらく一枚一枚いいと思ったポイントが違うはずなのですが、それらの写真を全部スクリーンに表示して見ながら描くとこういった状況になります。なので最近は目的をはっきりさせるために、事前に各写真の何がよくて何をデザインに反映したかったかをメモし、必要最低限の写真だけひらいて作業するようにしています。(それでもたまにやってしまう、、)

2.リファレンスに囚われすぎること
これも未だによくやってしまうのですが、リファレンスに忠実にと思ってしまうあまり、デザイン的につまらなくなることがあります。リファレンスはあくまでも参考資料であって、ある程度資料の要素を理解したら途中で手放すことも大事です。なのに最後まで写真を見ながら作業しようとしてしまう。作業の中でこのタイミングでリファレンスから離れるぞとしっかり意識しないとダメだなぁと思っています。教授はこの状態をslave of reference(リファレンスの奴隷)と言ってましたね。笑 

作業例

大した例ではないですが、リファレンスを使ったスタディを経て完成させたデザインを見つけたのでプロセスを載せておきます。何かの参考になれば。

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1.このおっちゃんのスケッチからキャラクターを作りました。彼は小さな口で美味しそうにパフェを食べていた様子が印象的で、なんか森にいそうだなと感じました。

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2.アイデアを色々描き出した中からこのスケッチが気に入りました。頭がキノコになっているんですが、自分がキノコの構造をしっかり理解できていないことに気づいます。このタイミングでリファレンスが活躍します。

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3.リファレンスの写真を観察しスケッチしていきます(スタディ)。よく観察していくと発見がたくさんあります。笠の部分は色むらが多い、キノコの生えている木には苔も多い、など。観察した内容が頭に入ったら、この先は写真は見ません。リファレンスに囚われるのではなく、リファレンスから学んだ内容を使ってデザインすることが大事だからです。

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4.先ほどのスタディから発見した要素を絡めて描き直します。ここまできたら持ってるアイデアは全部紙の上に出したので後は塗る作業だけ。

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5.色を塗って完成!


リファレンスは製作の際に欠かせない物なので、うまく使ってレベルアップしたいなーといつも思っています。

それと、リファレンスは頼りになるけど実物を観察して描くのが一番(詳しくは"アメリカの美大で学んだこと01:知ると良く描ける"を参照)なので、普段から観察しておくことも忘れずにいたいなと僕は思います。日々勉強ですね!

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