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カンボジアで人材開発に関わる幸せ

カンボジアで人事・組織に取り組むことは、これからの時代を生き抜くためのスキルを得られるというだけでなく、自分の人生の幸せにも繋がる大事なチャレンジなのではないか?ということについて考えてみました。

カンボジアでの人事で痛みを抱える方との対話

カンボジアで人材・組織開発についての無料セミナーを先日プノンペンにて2回実施しました。カンボジアで人材紹介企業を第一線で経営している方と共に、採用や配置、そして育成のことについて、日本人の方を中心に30名くらいお話ししたでしょうか。そこで聞こえてきたのは人材や組織に関する痛みでした。

カンボジアで組織を運営する上で必ずといっても良いほど遭遇する、スタッフの突然の退職、不正や不満。特に評価、報酬、代謝(= 退社)に関する部分には皆さん沢山の痛みを抱えていらっしゃる様子でした。

しかし、僕がそこで提案したこと、それはまさにその痛みこそが皆さんの人生にとって何者にも代えがたい学びをもたらしてはくれるのではないでしょうか?ということでした。僕がそうお話ししたのには背景があります。

この時代に求められる自分らしいリーダーシップ

やれVUCAだとか、若者がすぐに辞める時代だと言われはじめて久しいです。もはや日本の新卒で大企業に入社した若者の間でも転職は珍しいことではなく、一度は真剣に検討するものになってきています。

そもそも自分の人生の長さ、その中でも働くであろう期間にくらべて会社の寿命が短くなりつつあるのが現実です。一生同じ会社で勤めるとは逆に想像がしづらくなってきています。そうすると、「どんな理由があって自分はこの会社に残っているのか」と残っていることに理由が問われる時代へと変化していくでしょう。

また転職までせずとも、副業を持ち、仕事以外にも沢山のプロジェクトに関わる働き方も珍しくなくなってきています。自ら積極的にプロジェクトを選ぶ時代になったとき、これまで以上に仕事にタイして「成長」や「意義」や「大義」を求めるようになるでしょう。

そして、退職理由の多くが人間関係、しかも上司との人間関係に起因すると言われている今、より多くの人が「どんな人の下で働いてみたいか」という問いを真剣にとらえるようになっています。

つまりこれからの時代、部下をマネジメントしていくときには会社が一生面倒みるんだからやりたくない仕事も、一緒に働きたくない上司も我慢しろ、というのが通用しなくなっているという事です。権威権力ではなく「そのプロジェクトの意義」や、「この上司なら一緒に働いてみたい」と思わせる魅力が必要となっていくのです。

その時最も問われることは、上司であるあなた自身が働く喜びを感じているのか、そして、自分の人格を受け止めて、あなたらしいリーダーシップを発揮しているのか、ということです。そんなリーダーシップを、「authentic leadership」と呼び、全人格的なリーダーシップであり、スキルと言うよりはあり方と呼べるものだと思います。

多文化共生の中でのリーダーシップ

同時に、これから日本という国の力がどんどん相対的に弱まっていく中で、国内外で多文化の人たちと共生して生きていくという事が必須になってきます。つまり多文化共生におけるリーダーシップも大事となってくるでしょう。

相手の背景や特性に合わせてハイコンテクスト、ローコンテクストを調整したり、すり合わせていくための傾聴スキルがより問われることとなります。

そのリーダーシップはカンボジアで人材にチャレンジすることで養えるのではないか?

翻ってカンボジアで組織をマネジメントするということは、多文化・他文化の中で比較的裁量権を持って、そして日本での組織の名前が通じない場所で戦わなくてはいけないという状況です。

例え大きな会社に属していたとしても、日本の本社が作ってきた文化やブランドはカンボジアではほとんど通じず、一人の人間、一つの組織としてカンボジア人に判断されることになります。

また、3年も同じポジションにいたら「長すぎる」と感じてしまうほどのカンボジアという国の急成長についていくだけの「成長課題」や「仕事の意義」を提示できなければ人がどんどんと辞めていきます。

まさにチャレンジャーとして挑まなくてはいけないこの状況こそが、これからの世界を生き抜いていくために必要なスキルを身につけるための最も良い修行、いや修羅場になるのではないでしょうか。

ここで組織を立て直したり、ゼロから組織を育てる経験。もっと具体的に言うと、事業を作り、その後組織を拡大していくように自分の役割を変更していくような体験。それは自分自身の癖や人格と向き合い、内省を繰り返す旅。まさに経営者として、人間として一皮むけるような挑戦でしょう。

そもそも組織の意義は雇用にあり、人生の意義は人間関係にある

最後に何故組織が存続し続けるのかについて考えてみます。なぜならそれこそが人材・組織作りに取り組む理由になるからです。

組織の存続、その最も大きな理由は、より良い雇用を作るためではないでしょうか。雇用を通じて地域社会や経済に貢献することが組織がもたらす最も大きな社会貢献です。

そして働き手からみても、1日8時間もの時間を投じる「仕事」という人生の一側面が、より幸せで充実した時間であることは、その人の人生にとって本当に意義があることです。

また、人間の幸福の多くは、良質な人間関係によってもたらされます。組織やそれを超えた人間関係が育めるような働き方、組織のあり方、組織内外との関わり方が自分の人生をより豊かにしてくれることは間違いありません。

こうして考えてみると、より職場に愛があふれ、人が喜んで働きながら関係性を紡いでいくことを支援することはまさに働く意義や自分自身の幸せに直結した非常に大事な活動です。

その苦しみは無駄じゃない

改めて、カンボジアで日本人が経営者として組織の問題に取り組むことはスキルだけではなく、自分自身のためにも大事なことではないか、と申し上げたい。その苦しみが無駄になることはないのです。

人材に関する投資は費用対効果が事前にわかりづらく、長期的な投資になることも少なくありません。時にどうしてこちらの思いがわかってくれないのか、と嘆きたくなることもあります。でも、だからこそ、経営として粘り強く投資する意思がないと一貫した人事を行うことは難しい。人事に任せっぱなしではもったいない。

しかし、もしかしたら僕がここで力説するまでもないかもしれません。人事・組織開発に関わることは辛いことと同じくらいに楽しいことも沢山待ち構えています。

僕自身も、この地で責任のある立場を任せてもらえる喜びと責任をかみしめながら、カンボジアの人のために、そして自分のために頑張っていきたいです。

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