観劇すると心の中の大切な「誰か」と再会できるかもしれません

「自分の演技が『真実』と一致しているかどうかは身体感覚で分かります。たとえ自分のこの身体が経験したことのないことや経験し得ないこと、例えば『死』や『動物』の演技、あるいは現在には存在しない『空想上の生物』の演技であっても、それが『真実』と一致したならば、その演技は正しいという身体感覚があります。」と、ある俳優さんが言ってました。

これはおそらく、長期間の練習や学習、様々な経験や観察等による膨大なインプットを材料として心の中に構築された「真実」と、自分が今している表現(アウトプット)が一致したときに起こる「表現したかったものはこれだ!」という身体感覚により、実生活で自分が経験したことのない役を演じた場合にも「その演技は正しい」と感じるということではないかと思います。

(こういった身体感覚のことを心理学ではフェルトシフトと呼びます。「はっきりと意識出来ないけれども、正解を知っている気がする…」とモヤモヤしているときに、正解をみつけると「そう!これだよ!」ってすっきりした感覚がありますよね。あのときの身体感覚です。そしてこのフェルトシフトが具体的には身体のどこでどんなふうに起こるかは人によって違います。あなたは身体のどこでどんなふうに感じますか?)

そしてその演技(アウトプット)は他の役者さんにとってのインプットとなり、次のアウトプットを構成する要素になります。

役者さんに限らず、私達はこのようなインプットとアウトプットによって世界中とつながりあい、ネットワークを作っています。

例えば、職場で社会人としてふるまったり、家庭で親の役割をすることができるのは、これまでの長期間の学習や練習そして、様々な経験や観察というインプットにより心の中に社会人や親のお手本が出来ており、それをアウトプットするときの参考にできるからです。

私達が観客として、役者さんの演技を観たとき「ああ、これは真実を表している!」と感じるのは私達の心の中にあるけれどもはっきりとは意識できない「真実」が、役者さんの演技を観て「そうだ!それだよ!」とフェルトシフトを起こしていると思われます。

観劇の感動は、あなたが心の中に「真実」を形成するときに、その材料を提供してくれた大切な「誰か」達との再会の感動かもしれません。

ときどき観劇に行ってみましょう(*^^*)

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