「言葉における習慣で差別が世代を超えて伝わるということ」

保育士や幼稚園教諭を目指す学生さんへの授業で、言葉を使う際の習慣を真似することから子ども達は差別的バイアスを身につけたりするので気をつけようという話をします。


例えば、幼稚園でも年中さんくらいから、子ども達は自分の性別を意識し、男の子は語尾が「~だ」等の断定が多くなり、女の子は「~かも」「~じゃない?」という判断を保留したり、曖昧にしたものが多くなります。しかしながら、これは『男性は自分の判断や意見をはっきり主張してもよいが、女性はしてはならない』というジェンダー差別を反映した使い分けですので、あまり望ましくありません。


このように、現代日本で男性らしいとされる言葉の使い方は、権力を握った側のしゃべり方が多く、女性らしいとされる言葉の使い方は従属する側のしゃべり方が多いので、それを子ども達が真似して身につけてしまうと、ジェンダー差別が世代を超えて伝わってしまいます。使用している言葉の習慣は意識に影響を与えるからです。


しかしながら、無意識に私達は女の子が強い口調でしゃべると注意しがちなのに、男の子が強い口調でしゃべったときは「元気だね」くらいですましてしまったりしますので、かなり意識して直さないとなかなか自分の中にある習慣化された差別意識はなくせませんし、子ども達にもそれを教えてしまいます。


そんなわけで、私も、自分が使っている言葉の習慣の中に差別につながるものはないかときどきチェックするのですが、この間、アメリカで黒人差別と闘ったマルコムXについて調べていた時に「英語ではBLACKに悪い意味を持たせている、言葉を使って黒人差別を無意識に刷り込んでいるんだ」という言葉が出てきて、ちょっと考え込んでしまいました(ちなみに英語ではYellowにもあまり良い意味はありません)


日本語でも、黒歴史とか、相撲の黒星、犯罪者を意味する「あいつはクロだ」という言い方があり、黒に良くない意味を持たせているように見える一方で、未熟さを表す「しろうと」と熟練を表す「くろうと」、武道で強さを表す「黒帯」等、良い意味も持たせていたりもします(これはこれで、白に良くない意味を持たせてますから、白人の方々からしたら、あまり望ましくないと感じられるかもしれませんね…)。


今後、日本の労働人口の減少を補うために、外国人労働者の方々の受け入れも増えていくでしょうから、そんななかで、上記のような言い方はあまり望ましくないものとなっていくと思われます。


うーん…ではどう言い換えたらいいんでしょうね…
黒歴史は思い出すと叫びたくなるので「ぎゃー歴史」かな…

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