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ずるい考え方

最近読んだ本の話、
木村尚義さんの「ずるい考え方」について書いていきます。
ここで言うずるいとは抜け駆けしたり、だましたりすることではなく、周りの人がその手があったか!と悔しがるような考え方のことです。
これを「ラテラルシンキング」と言います。
今回はラテラルシンキングについてまとめていきます。

ラテラルシンキングとは

いきなりですが問題です。
Q.あなたが家に帰ろうとすると、途中に移動販売の車が停まっている。売っているのは産地直送のオレンジ。お土産にしようと2山ほど購入し、家に着くと親戚の子どもが3人遊びにきていて、あなたは子どもたちに買ってきたオレンジを分けてあげようと考えた。数を数えると全部で13個。ケンカにならないように3人の子どもに13個のオレンジを分けるにはどうしたら良いか?

A.ジュースにして分ける


多くの人が「4個ずつ分けて余った1個を3等分する」という答えを思いついたのではないでしょうか?本書で言うずるい考え方とはこのような考え方でこれをラテラルシンキングと言います。「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、同時にいかに自分自身が思考に制約をつくっていたかわかる良い例ではないでしょうか?

ラテラルシンキングとは「思いがけない発想で周囲の人を悔しがらせる考え方」のことを言います。
この考え方ができるようになると、
・常識にとらわれない自由なアイディア
・最短ルートで問題を解決できる方法

が見つけられるようになります。

ラテラルシンキングの特徴

一般的な説明としては、イギリスのエドワード・デ・ボノ博士が1967年に提唱した考え方で「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」となります。
よりわかりやすくするためにロジカルシンキングについて触れておきます。
ロジカルシンキング=論理的な思考のことです。

ロジカルシンキング的思考 [A→B→C、、、GOAL]
上のように物事を順序よく積み上げながら正解に進んで行くイメージになります。途中で論理の運び方に問題があれば正解にたどり着けないため「過程」が大切になります。

ラテラルシンキング的思考 [A→GOAL]
これに対してラテラルシンキングは解決策を導くための順番や過程は問題になりません。筋道立てて考える必要がなくスタート地点からいきなり答えに到達してもいいため「結果」が大切になります。

上記の他にもラテラルシンキングの特徴として様々あげられます。
①あらゆる前提から自由になる
ラテラルシンキングを使えば、様々な前提や既存の枠組みにとらわれず、自由に発想できます。
例としてアーチェリーで矢を的にあてるためには、
・ロジカル=試行錯誤して徐々に的中率をあげていく
・ラテラル=的を大きくする、的を目の前に持ってくる
実際の競技ではラテラルシンキングの方法は認められませんが、当たり前を疑ってみることで、問題が一気に解決するケースもあります。

②お金/時間/手間が節約できる
あくまで結果的にですが、ラテラルシンキングを活用することでお金、時間、手間を大幅に節約することができる場合があります。
例として1970年に開催された大阪万博の話です。
主催者はある問題に悩まされていました。大阪万博は日本中を巻き込んだ一大イベントで開場前から早く入場しようとする人が入口に押し寄せました。ゲートが開くと来場者は人気のパビリオンに向かって一斉に走り出します。ところが、人の数に比べて入口付近のスペースが極端に狭くなっているため、急いでる人同士がぶつかって大変危険でした。警備員が「走らないで!」と怒鳴っても効果はなし。いつ事故が起きてもおかしくない状態です。
来場者の安全確保のため、解決策として
ロジカルシンキングの発想であれば、警備員を増員する/入口のスペースを大きくするなどがあげられると思います。
しかし、実際の解決策は全く違うものでした。
[解決=入場者が走らないようにすれば良い]と考え、主催者は入場者に小さな会場案内図を配りました。走りながらでは地図は読めないため、急ぐ人が大幅に減りました。これが、いわばラテラルシンキング的な解決策です。
もしゲートの拡張や警備員の増員を実施した場合、工事の手間や人件費など多くのお金が必要になったことでしょう。ただ、紙を配布するだけなら負担はグンと少なくなります。

ラテラルシンキングに必要な力

ラテラルシンキングができる「環境」をつくるためには、次の3つの能力がかかせません。


・疑う力
自由な発想の邪魔をするものは固定概念です。常識とか先入観がこれに当たります。これにとらわれると、ありきたりな発想しか生まれず間違った結論を導くこともあります。
固定概念を打ち破るには前提を疑うことが大切です。ここで疑う力を鍛えるマジックワードを紹介します。
【疑う力のマジックワード】
 なぜ?・・・固定概念を打ち破る最強の言葉
 本当?・・・前提となっている情報が本当とは限らない
 今はね・・・物事は時間とともに変化する

・抽象化する力
ここで言う抽象化とは、すでに存在するものを別のもので代用できないか考えることです。抽象化には次の3つのステップがあります。
 対象の特定→抽象化→具体化
例として、自動車王ヘンリー・フォードは起業する際、何を商売にするか考えました。まわりに話を聞くと誰もが「速い馬車」を開発すべきだといいます。当時の人達の移動手段は馬車が主流でした。しかしフォードは、当時まだ一部の富裕層の持ち物だった自動車に注目し自動車会社をつくりました。フォードは次の思考パターンで発想したと思われます。
 馬車→早く移動するもの→自動車
そして自動車を庶民にも供給できる安価なものににするため大量生産に取り組み自動車王と呼ばれるまでに成功したのです。速い馬車の開発に舵をきっていたらこうはなっていなかったでしょう。
抽象化するための練習として対象の使いみちを〇〇するものの公式に当てはめて複数通り考えてみると良いでしょう。
例 新聞紙は情報を伝えるものですが、見方を変えれば本質は変化します。
  包むもの(野菜・果物・皿)
  型崩れを防ぐもの(靴・かばん)
このように新聞紙を「情報」ととらえるか「物体」でとらえるかでも抽象化の部分は変化します。


・セレンディピティ
セレンディピティとは「偶然を無視しない力」「偶然をなにかに関連づける力」になります。偶然が起きたとき、何も感じない人とそれが何かに応用できると考える人がいます。偶然からインスピレーションを得るためには感性のレーダーを磨くことが大切です。そのためには何でも当たり前だと考えるのではなく驚くクセをつけると良いでしょう。セレンディピティは常に驚き、感動することで磨かれます。

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