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『アーカイブズ通信』#6「文書館の目的」

 安藤正人『草の根文書館の思想』(岩田書院、1998年)によると、文書館の目的は次の3つだといわれています。

1. 文化遺産の保存
2. 市民の権利の保障
3. 行政あるいは経営の効率化・高度化

1. 文化遺産の保存
 公文書、企業文書などの記録文書は、年月がたつと人間の活動の歴史をあとづける貴重な知的文化遺産になります。
 知的文化遺産を保存し利用に供する施設としては、他に博物館や図書館がありますが、文書館は「記録遺産」という特定のジャンルを守備範囲にした文化遺産保存施設です。

2. 市民の権利の保障
 行政というのは、市民の代表が市民全体の委託を受けて行っているのだから、そこで作られる公文書は市民の共有財産として公開され、市民の様々な権利を擁護するために利用されなければならない、ということです。
 公共性が高く市民の権利に関わるものについては、一定の原則のもとに保存・公開されるべきです。

3. 行政あるいは経営の効率化・高度化
 過去の文書記録に記された情報を現実の行政運営や企業経営のために活用するということです。    
 1、2と違って、所属組織の内部的な情報サービスを意味します。

≪次回≫
『アーカイブズ通信』#7
「文書館は図書館・博物館とはどう違うの?」

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