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オリジナル曲「ガーベラ」について


構想・歌詞

AメロBメロサビまで出来たメロディのストックがあるのでそれで1曲作ろうと思ったのですが、イメージがなかなか湧きませんでした。

何となくデジタルJ-POPで行こうかなーと考えていたのですが、構想が全然浮かばなくて何も進まなかったので、一旦放置することにしました。

しばらくしてからロックならこのメロディに合うんじゃないか?と思って適当にドラムを合わせてみたらイイ感じだったので、その方向性で行くことにしました。

リファレンス曲はAriabl'eyeSの「悲哀共奏曲」です。

Ariabl'eyeSのアルバムの中でも涙想オートマタが好きで、特にこの曲は初めて聴いた時こんなイイ曲があるのか!!と衝撃を受けました。

聴いたのはDTM休止中の2021年でしたが、自分も作れるならこんな曲を作ってみたい!という思いがずっとあったので、今回思い切って参考にすることにしました。

作るにあたって最大の問題点は、ギターが弾けないのでギター音源を使う必要があるのですが、楽器の打ち込みの中でもギターはトップクラスに難しいのです。
どんなに良いギター音源でもベタ打ちだと「ベタ打ちの打ち込みギターの音」しか出ないので、リアルさを出すためには細かいピッチベンドの編集等の凄く面倒臭い手間がかかる上に、そこまで頑張っても初心者が実物で弾いた音の方がずっとマシという割に合わない楽器です。

今までの曲でもギター音源は使用していたものの、パワーコードを白玉で弾く程度なのでまだ問題になりませんでしたが、ロックで行くとなるとギターはメインになるので誤魔化しが通用しません。

おまけに自分はギターの音を聴き取るのが苦手なので、耳コピしてもどういうパターンで鳴らしているのかイマイチ掴めないので、こんなんでどうやって作るんだよ!と頭を抱えました。

ギターに限らず他の楽器や歌もそうですが、弾けない・歌えないからソフト音源を使っているのに、ちゃんと使えるようになるにはリアルで弾く・歌う知識と技術を持っていないと引き出しきれない、という矛盾に心を打ち砕かれるDTMerは多分自分だけではないと思います。

最終的にはもう何となくでブリッジミュートを混ぜてそれっぽいリズムでパワーコードを弾く、という感じで誤魔化すことにしました。
誤魔化しが通用しないんじゃねーのかよ。

バッキングはとりあえずそれで良いとしても、もっと問題なのがギターソロです。
この曲の間奏はどうしてもギターソロが無いと物足りないので外せないなと思っていたのですが、打ち込んでみるともう悶絶するくらいベタ打ちの音しか出せませんでした。

おまけに自分は基本的に鍵盤(midiキーボード)を使ってメロディを作ることが多いので、フレーズも何か鍵盤臭いしあーもうめちゃくちゃだよ!となりましたがもうどうにもならないのでそのまま行くことにしました。

伴奏はもう諦めて歌詞を作ることにしましたが、ブルーピリオドという漫画が凄く好きでその中の台詞を歌詞に入れてみたいと以前から思っていたので、それをモチーフにすることにしました。

これもDTM休止中に触れ始めた作品ですが、DTMを再開してから改めて読み直すと、美術に携わる人だけでなくクリエイター全般に刺さるところが凄く多くて、改めて大好きになった作品です。

その中でも「悔しいと思うならまだ戦えるね」と「好きなことをする努力家はね 最強なんですよ!」という台詞が特に好きなので、これをサビに持ってきて肉付けしていきました。

その結果創作活動で思ったことをぶつけるようなストレートな歌詞になって、これがロックに合っててイイ感じに出来たと思います。

曲名については日本語にすること以外全く思いつかなくて悩みました。

サビのフレーズを持ってくるのも何か違うなーとなって曲名の付け方を色々調べましたが、花言葉を連想させる花の名前にするという方法に思い至りました。

前向きな感じの花言葉を調べると、ガーベラが「希望」「常に前進」「チャレンジ」とイイ感じだったのでそれにしました。
なので今回もガンダムではないです。

コード進行

キーはF#メジャーでラストにGメジャーに転調しています。
当初はGメジャーで行く予定だったのですが、後述するNEUTRINOの音域が合わなくて止むを得ずキーを下げました。

イントロは前半が6-3-4-5-1-1#dim、後半が2-5-3-6-4-5となっています。
以前耳コピした曲で小室進行からの1-1dim#-2というコード進行があって響きが凄く刺さったので、イントロの掴みとして入れました。
正直この曲の中でここの進行が一番気に入っています。

Aメロは両パートとも前半6-1-4-5-3、後半6-1-4-5-6です。
これはリファレンス曲のをそのまま持ってきました。

Bメロは4-5-3-6からの4-4#dim-5-3(B-Cdim-C#-A#7)といういつもの進行です。

サビは最初の8小節が①前半6-3-4-5-2-1-7-3、②後半6-4-5-1-4-5-1Sus4-1、
次の8小節が③前半4-5-3-6-4-5-3-6、④後半4-5-5#dim-6-4-5-1Sus4-1です。

①は後半が平行調のD#マイナーの4-3-2-5で暗い感じになっていて、そこから②の小室進行からの4-5-1Sus4-1で盛り上げる感じにしています。

③は王道進行の繰り返しで、後半のは全てセブンスコードにしてエモさを増しています。
2番では後半を4-5-1-6(CM7-D7-G-E7)で6をメジャーにしています。これも以前耳コピした曲で刺さったので使ってみましたが、王道進行よりも後半が明るい展望を感じさせるのでイイですね。

④はいつものパッシングディミニッシュです。
いつもは4-5-6で締めてますが今回は明るい曲調なので4-5-1にしています。

音源・プラグイン

ボーカルは今回NEUTRINOの東北きりたんとめろうを採用しました。
Ariabl'eyeSのソフトな声とハードな声というツインボーカルがとても好きなのと、どちらも以前歌声を聞いてこれは絶対使ってみたい!と思っていたので今回使ってみました。

AIシンガーというだけあってベタ打ちでもそれなりに人間らしく歌ってくれるのですが、やはり調声しないと物足りなさがあります。

しかし実際触ってみるとまずソフトの導入から面倒で、調声も調声支援ツールを別途入れないと面倒過ぎる上にパラメータも歌詞入力・タイミング・ピッチと細かい調整とセンスが問われるので、これから合成音声ソフトを始めようという人にはだいぶ敷居が高いと感じました。

めろうはベタ打ちでも修正点がほとんどなく素直に歌ってくれましたが、きりたんはだいぶ歌い方のクセが強くて、タイミングとピッチを微調整する必要があるのでかなり苦労しました。

また、対応音域より上はかすれて発声されず、きりたんを高音担当にしたのにD5までしか対応していないのでキーを下げざるを得ませんでした。

色々な点で初音ミクってすごいんだなぁと改めて感じました。

エフェクトについて、良くも悪くもリアルなだけあってノイズが入っていたのでまずRX7 Voice De-noiseやDe-essで整えました。
その後~200あたりでローカットしてからNectar3に入れて、
WAVESのCLA-2Aで-3dBくらいまで圧縮、
iZotopeのVocal DoublerでAmout30%、Separation30%、Variation40%で厚みを出して、
WAVESのVocal Riderで整えました。
めろうはAメロで低音がこもるので210Hzくらいを-2dB削っています。

また、センドで30msのショートディレイ、ショートルームリバーブ、プレートリバーブの順に入れています。

イントロのストリングスはMiroslav Philharmonik 2 CEのEnsenble - Violins - 14 Violins Multiでアタックを最速にしています。
エフェクトはSaturation Knobで2.0にして倍音を追加し、~300でローカット、WAVESのCLA-2Aで-3dB圧縮しています。
本当はリバーブも入れようと思っていたのですが忘れてました。

ギターはHeavier7Stringsで、今回はダブリング機能を使わずに異なるプリセットのを1本ずつLR60に振ってダブリングしています。
LがRock Riffsの「Before Jump」、Rが「In My Town」です。
ギターソロはセンターで、プリセットはEpic Riffsの「Assult」です。
しかし思いっきり真ん中から鳴っててダブリング出来てないので、片方にショートディレイを入れるか、素直にダブリング機能を使えば良かったなと思います。

エフェクトは~250ローカットと3000~ハイカットで370Hzあたりがボーカルと被るのでダイナミックEQを-2dB入れています。
ギターソロはハイカットが5000~なのと、キンキンするので3500Hzあたりを-3dB削っています。
その後WAVESのH-Compの「Lead Guitar」のプリセットを入れて、センドでValhalla VintageVerbの「Large Wood Room」を入れています。
正直リバーブはもっと深くて良かったかもと思います。

ベースはEZbassの「Distoted Metal」で、エフェクトはWAVESのRenaissance Bassの「Basic Setup」のプリセット、キックが埋もれるので~68Hzローカット、ボーカルと被る300Hzくらいに-2dBダイナミックEQを入れています。
打ち込みパターンはリファレンス曲のものをそのまま参考にしています。

Aメロ以外にはシンセパッドをうっすら入れていて、いつものSpireの「PD Minich」です。
エフェクトはOzone Imagerの「Enhanced Space」で中音域と超高音域を広げて、~400ローカット、ギターと被る390Hzと710Hzに-2dBダイナミックEQ、WAVESのCLA-2Aで-3dB圧縮、インサートでValhalla VintageVerbの「A Plate」をMIX30%くらい、WAVES CenterでSideを+1dB上げています。

ドラムはAddictive Drums 2のMETALから「Crispy Clean」のプリセットで、スネアのPITCHを1.40stまで上げています。
ドラムパターンはほぼ音源内のパターンのツギハギです。
エフェクトはスネアを~95でローカットとハイハットを~500でローカットしているくらいしか手を付けてません。
生音源ドラムの音作りはまだ全然勉強出来てないのでもうちょっと学びたいですが、そもそもAddictive Drums 2の音自体があんまり生々しさを出す方向性じゃないのでどうしたもんかという感じです。

マスターエフェクトについて、バスコンプのShadow Hills Mastering Compressor Class AをOzoneの前段に入れています。
設定値は下記の動画を参考にしました。

これを入れるだけで全体の音のまとまりがグッと良くなってだいぶ素人っぽさが抜けるので、1万円前後にしてはコスパが良いと思います。

音圧について、リファレンス曲と同じにしようとすると-9LUFSくらいになるのですがだいぶのっぺりしてしまって、-14LUFSだとロックにしては音圧不足なので、ちょうど良いところを探した結果-10LUFSがイイ感じでした。

動画化

曲名がなかなか決まらなかったせいで絵のイメージも全然思いつかなかったので、とりあえず学生服の少女、拳を掲げる、夕日、という感じでまあ絵になるだろうという感じで作りました。
プロンプトは以下のとおりです。

プロンプト
((masterpiece, best quality)), (1 girl is looking up at the sky in the distance)++, Determined face, grin, closed mouth, The sun shines through the clouds, ponytail, She clenches her fist and holds it to her chest, school uniform, blazer, highres

ネガティブプロンプト
(worst quality)+, (low quality)+, (multiple arms)++, (multiple legs)++, EasyNegativeV2, negative_hand-neg, artist name, watermark, bushy eyebrows

また、海外の視聴者も少なくないようなので、毎回Youtubeの字幕に英語字幕をつけるようにしています。
そのおかげか前作には英語字幕をつけてくれたことへの感謝のコメントがあったので、細かいところだけどやっておいて良かったなと思いました。

翻訳はGoogle翻訳とDeepLを併用してイイ感じのニュアンスの方を採用しています。
インターネット老人なのでGoogle翻訳というと大した精度じゃないというイメージが残ったままでしたが、最近はむしろDeepLよりも意訳が上手いと感じます。

最後に

自分の客層として「初音ミクだから聴く」という層が多いと思うので、ギターソロがアレなこともあって正直再生回数や再生時間的な観点ではあまり期待出来ないと思いますが、やりたいことは全部出しきれたと思います。

また、今回の歌詞で「世界中の誰よりも 僕は僕に期待してる」という部分が我ながら気に入っています。

応援や期待というと他人が自分に・自分が他人にという視点になりがちですが、自己肯定感を高め維持するにはそうした他者依存の期待だけでなく、自分自身をもとにした期待が不可欠だと個人的に思っています。

自分大好き人間なので「自分だけはどこまでも自分についてきてくれるんだから、どんなに見放されても孤独でもドン底でも自分だけは自分のことを信じ続けてあげよう」と思って生きているので、そういうメッセージが誰かに刺されば良いなと思います。

というか近年自分が嫌いだの自分を信じられないだのという歌詞多くない?というのがしゃらくさいし気に食わないというアンチテーゼ的な意味も多少はあります。

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