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フランスに移住して気づいた、パリジャン流の人生を謳歌する暮らしかた

これは海外で暮らし始めたばかりの頃を、いつか未来のわたしが懐かしむためのnote🇫🇷

今からちょうど1年前の2022年10月22日、夫が海外のMBAに合格した。結婚するよりも前から「いずれ海外で勉強したい」と聞いていたし、受験勉強する彼をずっと見ていたので、受かったら一緒についていくんだよなぁと頭で理解はしていたけれど、いざ合格通知がきても本当に移住するの?と実感は持てずにいた。

わたしは留学もホームステイも経験がないし、海外旅行もあまり興味がなく数えるくらいしかしていない。家にいるのが好きだし、知らない土地に行ってみたい欲があまりない。
フランスに行ったことがあるのは2回だけ。当時はフランス語はおろか英語もまったく話せなかったので、現地の人との交流はなかった。話しかけるのも、話しかけられるのも怖くて、レストランのオーダーすら誰かに代わってもらっていた。

パリジャンを観察して気づいたこと

しかし今年の夏から夫と猫と私でパリに暮らしはじめ、この国の人の暮らしぶりから気づいたことや、もともと持っていた印象とのいいギャップがたくさん出てきて、想像以上にたのしい毎日を送ることができている。

大袈裟にいうと、パリに来てから「人生謳歌してるなぁ」と感じる瞬間が増えた。自分の心の持ちようや生活スタイルも変わりつつある。何がそうさせるのか?を思いつくままに書いてみます。

食事は権利であり楽しむもの

パリを歩いていると、どの曜日どの時間帯であろうとテラス席でおしゃべりを楽しむ人たちがいる。平日の昼間からお酒を飲んで語り合っている人たちもたくさんいて、最初こそ「普段は何をして生活してるんだろう…」と気になったものの、スーツを着てる人同士もいたりして、仕事中でも食べる!と決めたら切り替えてしっかり食べるものなのかな、と思っている。

また、昼間にふらりと薬局に行くと閉まっていて、営業時間のうち2時間くらいランチ休憩だったなんてこともある。

レストランやカフェで席に着いたら、10分15分は一緒にきた人とお話しするのが普通。こちらから店員さんを🖐️すみません!と呼ぶことはなくて、そのうち「注文どうする?」と聞きに来るまでオーダーはしない。
ゆっくり話してオーダーして、食べながらも話すので、誰かと約束して外食をしようとすると2〜3時間は必要になるのがおどろきだった。なんならごはんもデザートも食後のカフェも終えて、テーブルに空のカップしかないのに話し続けている人もいる。

この「食事をゆっくりたのしむことは当然の権利🥂」というムードに乗って食事をしてみると、とても自然体というか、いつもよりおいしいような、なんだかマインドフルネスな感じになれる。
一緒にきた人と向き合って目を見て話し、食べたものの味をどう表現するか思案し、店にいる人やインテリアや食器を見る。この瞬間だけは片付いてないあれやこれやの問題については考えない。今この時間に集中する!という感じ。

マインドフルネス状態に入るためのルーティンが食事という行為なのかも。PCやスマホを見ながらとか、仕事をしながら作業のようにかきこむ「ながらご飯」でこの境地にいくのは難しいので、せめてパリで暮らしているあいだは見直そうと思った。
わたしはフランスで働いたことがないから会社員の食事のリアルは分からないけど、食事の長さや質の高さ×生産性の高さとか、幸福度の高さには相関があるんじゃないかな。

「なにもしない」をする時間

テュイルリー、リュクサンブール、ブローニュ、ヴァンセンヌ…パリ周辺は素敵な公園や森が多い。それ以外の場所でも、ちょっとした空間には必ずベンチや噴水があって、いつ何時に来ようと自由にくつろいでいる人たちがいる。
読書する人、散歩する人、日焼けする人、寝てる人、ランチする人、犬を遊ばせている人、池で船を浮かべる人…などなど。休職中で仕事をしていないわたしには、この誰も周りを気にしない空間が心地よく、たまに公園に行ってはゆっくり漫画や本を読んでいる。この前は友達と並んで座って、葉っぱの色とかカラスとか目に入るものの話をただする平和な時間もあった笑。

この「特になにもしない」時間があるからこそ、次どこに行こうとかどうしたいとかなにが好きとか考えが浮かんでくるのかなと思う。

パリの公園は大昔からある宮殿に囲まれていたりして風景がとてもきれいなのに、無料でいつでも来られるのもいい。わたしがとくに好きなのはリュクサンブール公園!

ちなみにパリといえば「目線より上の街並みはきれいだけど、足元に目を向けるとやばい。あと臭い」みたいなことをいろんな人が言うけど、来てみたらそんなこともない、と思う。
道路を清掃する専用の車に乗ってやってくる人がゴミ箱を換えたり、道の細かいゴミを集めてくれているのをよく見かける。ゴミ箱はとにかくたくさん設置されているので、ポイ捨てもあまりないような。ただし歩きタバコは問題がない国なので、タバコはよく落ちてはいる。

困っている人を助ける

最近の嬉しかったこと:知らない人がおすすめの動物病院の場所を教えてくれた!

特にカルチャーショックだったのは、困っていると周りの人が助けてくれることが多いこと!なんとなく固定概念として、フランスの人は冷たいとか、英語で話しかけてもフランス語でわざと返してくると言うけど、幸いにもわたしはいい人に出会う確率の方が高い。フランスで暮らしている日本人と話すと、同じような所感を持つ人が多い。

  • 動物病院でしか買えないキャットフードのことをペットグッズ屋さんで質問していたら、近くにいたお兄さんが徒歩圏内にある動物病院を教えてくれる。住所を見せてくれて「ここなら絶対買えると思うよ!それじゃあ、いい一日を」。そして本当に買えた!

  • カフェで菓子パンを食べて手がベタベタになり、紙ナプキンをそれとなく探していたら、近くの席にいたムッシュがおもむろに紙ナプキンを持ってきてくれる。

  • スーパーの肉売り場であまりの種類の多さに圧倒されてると、お買い物中のマダムが「手伝いましょうか?」と声をかけてきてくれる。

  • 混んでいる電車で降り口と反対にいたとき「おりますー」と言うと、ドア近くのお姉さんが周囲にめっちゃ声をかけて降りられるように助けてくれる。

こんな感じで、みんな周囲を気にせずマイペースなようでいて、困っている人がいたらすぐに声をかけたり手助けをするのが当たり前。
フランスに移住された俳優の杏さんが「フランスは子育てをみんなでする感じ、例えばベビーカーを押していて階段を上がらないといけない時は、どこからともなくサッと助けてくれる人がいる」とこの動画でお話しされていたが、本当にそんな感じ。

引っ越してきたばかりの頃は、どこへ行くにも「分からないことがあったらどうしよう」とかなり身構えていた。
今では「まあ誰かに聞けばいっか」「どうにかなるか」と肩の力を抜いて外出できるようになったし、わたしも困っている人を見かけたら、自分がされて嬉しかったように助けてあげたいなと思っている。


パリに住んでまだたったの3ヶ月だけど、ちがう文化に触れて自分の生活も変わっていく体験は、新鮮でとても楽しい。

食事を大切に味わい、なにもしない時間があって、困ってる人を見かけたら手を差し伸べる。いきなり全部取り入れるのは難しくても、ひとつでもやってみると気持ちが満たされるのでおすすめしたい。

新しい環境に身を置いたら1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月で定点観測をすることがあるけど、半年間暮らした時に見えてくるものもまた言語化したいなと思う📝


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