忍者と付き合いはじめて半年が経ちました。

忍者と出会った日のこと。

僕がバイトの休憩中に公園で煙草を吸っていたら、近くで遊んでいた小学生のサッカーボールが僕の顔面に飛んできて、本当に偶然なのだが、僕は咄嗟にそのボールをキャッチし前回り受け身を成功させた。

それを忍者が団地の角から見ていたらしく、僕に「甲賀流か?伊賀流か?」と話しかけてきた。

もちろん僕はただのフリーターだったので「僕は忍者ではなくてホームセンターでバイトしてるだけです」と答えると、そんなわけないやろといった風に2回首を振った。

次の日、ポストに矢文が刺さっていて何かと思って見ると『その身のこなし、素人とは思えぬ。心が惹かれてしまった』と書かれた手紙とLINEのQRコードが貼ってあった。

それから毎日やりとりをするようになり、何度がデートをした。僕はだんだんと忍者の不器用なところや忍び足の麗しさに惹かれていった。

3回目のデートで僕は告白することに決めて、一緒に遊園地に行った。その日の忍者はいつも以上に喋らないし、もちろんずっと顔が隠れているので表情がわからず楽しんでいるのかすごく不安だった。

しかし、ここまできたのだからと思い切って、ビームスで買った『手裏剣ポーチ』をプレゼントして告白したのだが、忍者は何も答えてくれなかった挙句、まきびしを舞いて立ち去ってしまった。僕は完全に振られたんだと思って、しょんぼりしながら周りの方々の迷惑にならないようにまきびしを集めようとすると、そのまきびしはハート型に散らされていて、それが忍者なりのOKの返答だった。


それから忍者と付き合うことになった。もう付き合って半年ほど経つが、僕は忍者と付き合うのが初めてなので、忍者のお茶目な一面にいつも驚かされる。

僕が残業で遅くなって帰ると、電気が消えていて、あれ?と思って探しまくると風呂の中ですいとんの術をしながらニヤニヤしていたこともあるし

初めて忍者とセックスしているときに突然「くせ者!!」と叫んだから何かと思ったら、ただ忍者がイキそうになっているだけだったこともある。それから僕もイキそうになると「くせ者!!」と叫ぶようになってしまった。


忍者と付き合っていると、ときどき喧嘩をして背後から殺されそうになることもあるが、それなりに楽しく暮らしている。






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