見出し画像

映画「犬王」を見タ

映画「犬王」を見た。

今の実写の時代劇では実現できないことをアニメで描写している。それは「主役の歯並びが悪い」ことです。私は過剰な白さでなければ歯を気にしないのだが、気にする人もいますよね。どちらかというと歯並びが悪すぎる方が気になる。琵琶法師の友魚の歯並びが悪い!口のアップのアングルが多いから印象に残る。絶対に今の実写では見えません。
”芸能人は歯が命!”

琵琶のベンベケベン音と太鼓のポンポン音の世界からエレキギターとドラムで溢れるロックの世界へ連れていかれる。この時代に無い楽器が登場し、しかもドラムの音と太鼓を叩くタイミングが全く合っていない…。”どっから聞こえるんだ!”とツッコミを入れようとしたら、”いえいえ、そもそも化け物が生まれたこと自体がフィクションなんだから”と、もう一人の自分が水を差してきた。もう一人の自分の言葉に冷静になりスクリーンで展開される時代考証が滅茶苦茶な演出を見ていると、「湯浅政明監督、はっちゃけてるな…」と感じていた。そこから変なスイッチをポチっと押される。
”そっちがはっちゃけるなら、それに全力で乗っかってやろうやないか!”
映画を見ている観客ではなく、犬王の舞台を鑑賞している民衆のつもりで見てやろうと思った。
私は、あの時代の民衆。ベンベケベン音とポンポン音しか知らない世界で、急にロックを聞かされたら、どうなるのだろう?
最初は戸惑うだろうけど、リズムに乗って体が動き出すよね…。
派手な舞台の仕掛けを見たら興奮するよね…。
気が付くと、演奏されている音楽に取り込まれ、舞台の演出に魅了され、すごく体を動かしたい願望が湧いていた。完全に一人の民衆となり、あっちの世界へトリップしていた。
でも、現実の体は映画館にあるのよ!リズムに合わせて体を動かせれんのよ!
普段は映画を見ていると主役のヒーローになってみたいという気持ちが湧くけど、モブキャラになりたいとは思わない。
だけど、今作では舞台を見て興奮して踊っている民衆のモブキャラになりたいと思った。モブキャラになって彼等と一緒に体を動かして音楽に身を任せたかった。
圧倒的な音楽と奇抜な舞台に、すっかり引き込まれちゃった。
主役になりたいと思わなかった理由は、あの舞台に立つのは無理っていうのと、顔が美形でないんだよな…。普通なら美形の主役が可憐に歌って舞うのだが、全然違って美形ではない。むしろ、バックで演奏してる人や民衆などのモブキャラの方が美形だったりする。面を付けて踊る能楽だから、あえて美形にしなかったのかもしれない。でも、そのおかげでキャラに集中するのではなく舞台全体を見れていたような気がする。

一人の民衆となって楽しんだから、家に帰りサントラを聞くよね。家だから自由に体を動かし放題だぜ。
だけど、違うのよ!
映画館の音響と違うから音楽の迫力が少し物足りないの…。
そして、スクリーンで一緒に踊っていた仲間がいないの…。
彼らがいないところに一人で踊るのは寂しいの…。
ここで改めてライブとして犬王の舞台を楽しんでいたんだなと実感したのでした。
どこかの映画館で手拍子や声出しをOKにして上映してくれないか…。リアルな人ともライブの一体感を共有したいな。

パンフレットの脚本の野木亜紀子さんが湯浅政明監督について語っているのを読んで、「やっぱり、監督が、はっちゃけてたんだな」と確信できた。野田さんのイメージと違う作品が出来上がっているというのがよくわかるインタビューで読んでて面白かった。二人の攻防戦を遠くから見たかった。直接、関わると大変そうだけどね…。

今作を見て解けた謎がある。
犬王を見る一週間前からスマホのYouTubeが、手塚プロダクション公式チャンネルの「どろろ」をやたらと勧めてきた。検索した記憶もないの急に出てくるようになり不思議だった。そして、犬王を見て「どろろ」と繋がったことに、”マジか!”と驚いていた。
犬王についても検索していないのに、「どろろ」が出てきたことに何か違う恐怖を感じている。私の思考はスマホに完全に読まれているようだ。コンピュータに支配されるときは近いな…。
みなさんもスマホに支配されないように注意してね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?