見出し画像

「すみません」は、日本特有のユニークな挨拶

日本文化には、何も悪いことをしていないのに「すみません」と言う習慣があります。一見、これは自己否定的な態度に見えるかもしれませんが、実はもっと深い意味があります。たとえば、僕が仕事で同業者と電話で話す際、多くの場合、彼らの第一声は「すみません」という言葉です。これは、彼らが本当に謝罪しているわけではなく、むしろコミュニケーションをスムーズに図るための一種の挨拶として使われています。

また、僕が顧客に電話で商品を説明する際、話が長引くと無意識のうちに「すみません」と言ってしまうことがあります。この小さな言葉が相手の態度を柔らかく変え、より親しみやすい雰囲気を作り出すことがあります。特に、僕から見て何ら非がない場合でも、この言葉を使うことで相手の反応が変わるのを感じることがあります。会話の中で「すみません」というフレーズは、コミュニケーションの中で柔らかなクッションの役割を果たし、相手にリラックスしてもらう効果があるのかもしれません。

さらに、取引先とのやり取りで、別れ際に「またお願いします」とともに「すみません」と言われることもあります。

これらの例から、「すみません」という言葉は、日本特有の挨拶の表現としての役割を持っていると言えます。したがって、「すみません」を頻繁に使うことは、決して自分を責めることではなく、むしろ「おはよう」のような日常的な挨拶の一部と考えることができます。

ただし、興味深いエピソードがあります。以前、クレジットカードの勧誘のアルバイトをしていたとき、難しい内容を外国の人に説明している際に思わず「すみません」と言ってしまったことがありました。そのとき、その外国の人から「なぜ謝るのですか?不思議ですね」と指摘されたのです。これは、日本独自の文化や表現が、国際的な場面では異なる解釈をされることがある、という興味深い例です。このような文化的な違いは、国際コミュニケーションの面白い側面の一つです。

最近では、「『すみません』は自己肯定感を下げるので『ありがとう』と言ったほうが良い」という意見も聞かれます。確かにその考え方には一理ありますが、日本の社会では「すみません」が自然なコミュニケーションの流れを作り出す重要な役割を持っていることも事実です。このため、無理に「ありがとう」に切り替える必要はないかもしれません。

結局のところ、自然体で言葉を選ぶことが、ストレスフリーで効果的なコミュニケーションに繋がるのではないでしょうか。「すみません」と「ありがとう」のどちらを使うかは、個人の好みや、その場の雰囲気に応じて柔軟に選ぶことが肝心です。相手との関係や状況を読み取りながら使い分けることで、より円滑なコミュニケーションが実現できるでしょう。このような文化的な特徴を理解し、受け入れることが、多様なコミュニケーションスタイルを豊かにする鍵と言えるでしょう。


ーー kindle出版しています --


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?