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半クラについて

現在、バイクを修理に出している為、noteの執筆活動に精が出ていますw

TRAINING FOR ~シリーズ第2段、STAIRCASEの原稿も時間を掛けてるのでより濃密な物となっております…あとは動画のみ。早くバイクが復活して撮影したいです。というか、もう1か月以上乗っていないので普通に走りたいですね~

とはいえ、もう暫くバイクの復活には時間も掛かりそうなので、TRAINING FOR STAIRCASEの前に1本記事を書きました。オフロードの基本の基本、半クラです。なんで今までちゃんと書かなかったのか?と思います。慣れてくると当たり前過ぎて無意識にやっている事だからかもしれませんね。

普段から半クラ、半クラとシンプルに言ってますが、実際の所どれだけ上手くクラッチが使えるか?ヒルクライムは勿論の事、ステアケースにしてもそうだし、もっと言えばリエゾン区間の移動ですら、半クラの上手い下手が出ますしね。クラッチ板を焼きまくっている人は特に目を通して頂けたらと思います。

半クラをざっくりと説明したのが下のイラストです。クラッチが繋がっている状態と握り込んで完全にクラッチが離れている状態の中間だから半クラ。

いわゆる一般的なバイク(オフロードバイクも含めて)は湿式多板クラッチと言って、複数枚の2種類のクラッチ板(フリクションプレートとクラッチプレート)がバネのチカラで押し合わされて、その摩擦力で動力が伝達するのだけど、クラッチレバーを握ればバネが縮まり板同士の隙間が空いて動力が伝達しなくなる。半クラはバネが縮まり、板同士の押さえつけるチカラが弱まる事で滑りながらも動力を伝えている状態となっている。なんで半クラを使うかと言えば、仮に0か1かの出力を伝えるのだとしたらクラッチ繋いだ瞬間にガツンと急発進!って事になり兼ねないので、スムーズに動力を伝える為にも半クラは重要という訳。

で、教習所で教わる内容(まあ、自分は教習所に行ってないので分からないけど)だとか一般道を走るだけだと、クラッチを使うなんて発進とギアチェンジ位だし、半クラについてのイメージはこんなものかと思います。

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ですが、初めてオフロードバイクに乗った途端に、経験者から「半クラ当てて~」と言われたり、「クラッチワークって何なんだ?」と思ったりしたはずです。オフロードとは如何にバイクのパワーを上手く地面に伝えられるかが肝です。まあ、勿論オンロードでもそうなんですけど、基本的に地面はアスファルトでグリップが良いですし、体重移動やタイヤ、サスペンション、電子制御…とか色々あるかもしれませんが、オフロードほどクラッチを使ってコントロールする事は無いのではないでしょうか?

そこで半分だから半クラ、というアバウトな言い方をSLORIDE流に少し言い替えて説明したいと思います。まず、レバーを握っていない状態~半クラになる前の遊び部分が完全に繋がっている状態(全繋ぎ)、レバーを握り込んでいくと後輪に動力が全く伝わらなくなる部分~更にこれ以上握り込めないという状態が完全に切れている状態(全切れ)。全繋ぎと全切れの間が半クラですが、その半クラ区間を3分割して、全繋ぎからちょっと切れている状態(小クラ)、全切れからちょっと繋がっている状態(大クラ)、その間を(中クラ)とします。

トップ選手だとそれを更に3分割して9分割で表現したりするらしいですが、まあ自分は無理ですし、レバーの動き自体シームレスで具体的に○○%でとか言っても分からないので、3分割で説明させて頂きます。

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実際の走るシーンでの話になる前に一つお伝えしたい事があります。それは初心者に多いパターンなのですが、クラッチレバーの遊びの調整が出来ていないで乗っている人が意外と多いという事ですね。このnoteを始めた時に自己紹介の次に一番最初に書いた記事です。

簡単に説明すると、レバーはテコの原理で支点となるボルトから遠いレバーの端により近い部分を握ると軽くなる→なので、レバーホルダー自体をハンドルの内側に移動させる(レバーを握ると当たるスイッチボックスも一緒に内側へ、ハンドルのリブも当たるなら前側だけ切り取る)→レバーの端を握れるがそのままでは遠い為、遊びの調節をして手前に持ってくる(油圧式はレバー自体の調整ボルトで手前に来るように調節を)

それでどれ位手前に持ってくるかと言えば、自分のセッティングとしては「完全に握り込んでクラッチが切れる状態からほんの少しだけ指を緩めたら繋がり出すような状態」だと疲れず操作性も良いです。もちろん人によってそれぞれ好みもあると思いますので参考までに。トラ車だとクラッチ自体がとても軽い為わざわざレバーの端を握る必要が無いのと、端だとストロークが長くてパッと繋げられないから内側を握ると思いますし。

ちなみにエンデューロレーサーのクラッチ板と違い、SL230のクラッチ板同士の接触面積が狭く、「トレールバイクでハードに半クラを多用するとレーサーと違い、すぐにダメになります」。ヒルクライムの時に2速で溜めて、半クラで引っ張っていくという乗り方をレーサーと同じようにすると消耗が激しいです。SLだとなるべく「スタート時の半クラの時間を短くして、アクセル全開固定、クラッチはほぼ全繋ぎ」で登っています。「途中で半クラ当てる時はパワーを引き出すというよりはむしろ抜く時に使う感じ」です。なので、SLでのクラッチの消耗を抑えたアクセル全開固定全繋ぎ走法だとどうしてもそれ以上伸びようがないので、限界ギリギリのヒルクライムの時だけは半クラを当ててますけどね。

気をつけて乗っていますが、それでも半年位でクラッチ板は交換しています(KTMの時は5年間換えませんでした。まあ、乗る頻度も少なかったですが)当然、SLは強化スプリングやジャダースプリング除去、クラッチバスケットの穴開け加工によるオイル潤滑向上も行っていますし、日頃の整備でレバーとボルトの部分やワイヤーに注油して軽い操作感を維持するのも大事ですね。

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逆に遊びが少なく、ちょっとでも握ったらすぐにクラッチが切れるような状態(オンロードだとギアチェンジの時に指先チョン掛けでチェンジ出来るから~という人も居るかもしれませんが)だとオフロードだと下記のイラストの通りクラッチを焼くトラブルの元にもなります。また、オフロードでは操作的に「クラッチを切る(握る)というよりも、繋ぐ(離す)方向でコントロール」するのでクラッチの繋がる位置というのはとても大事になります。

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それでは、実際の走るシーンでどのように半クラを使うのか?という部分の説明に入ろうと思います。

ハードエンデューロでは一番の目玉であるヒルクライムでのクラッチワークです。基本的な考え方としては、「クラッチは回転数をキープする為に使う」という事です。クラッチを使い、回転数が高いまま=エンジンの出力が高い状態をキープするという事がポイントで、つまり坂に入ってからアクセル開けて後から回転を高めるのではなく、スタート時からアクセル開けて溜めておいて、スタートした後もクラッチでその回転数をキープしたまま登るというのがヒルクライムでの走り方という訳です。

クラッチで調節して高い回転でスタートする事で、発進時からパワーが出ている回転数を使うのでスピードの乗りが良く、坂に入っても回転数が一定にする事で捲れたり空転したりせずに安定して登る事が出来ます。回転が落ちたからとアクセルで調節するのは不正解。最初からアクセルはしっかりと開けて固定、回転落ちしそうな時にクラッチ当てて調節しましょう。

もちろん、クラッチを当てるという事はエンジンの出力全部を後輪に伝えてないので、その損失分はクラッチ板の摩擦による熱という形になっています。なので、半クラを多用すればエンジンが熱を持って冷却水が吹いたり、最悪ならクラッチ板が焼けて滑ったりする事もあります。「アクセルを全開にするならクラッチもしっかりと繋ぐ」というのは「エンジンの出力を後輪に伝える」のと「クラッチを消耗させない」為には頭に入れておくべきかと思います。2st125とかトルクやパワーないと半クラ当てないと斜度の負荷でヒルクライム登らないとかは当然ありますが、全開し切らないのに微妙な半クラしていると焼けますよ。

アクセルのオンオフだと、低回転時はツキが悪く、パワーバンドに入ったら途端にチカラが出過ぎたり、開けた時にパワーが出るのにタイムラグがあったり、閉じて回転落ちした時に再度開けてもすぐに回転が戻らなかったりとコントロールがしづらいです。クラッチを使うのは回転数を維持し、欲しい出力がダイレクトかつリニアに引き出せるという事です。

逆に初心者でありがちな、ゆっくりスタートして斜面に合わせて段々とアクセルを開け足していくやり方はどうなのか?というと、まず助走区間でスピードが乗せられないのと、スピードが無いのに更に開け足していく事でより捲れる動きに繋がります。斜面は急になればなるほど、スピードが遅いとアクセルを開けても前に進まず、フロントが浮いてきます。

「序盤~中盤で登れるだけの勢いを付けて、後半はアクセルを戻しても登れるスピードを作っておく」のがヒルクライムでは大事です。ヒルクライムの登り方については過去にも幾つか記事をアップしていますが、いずれちゃんとまとめてTRAINING FOR HILLCLIMBとして書こうと思います。

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フロントアップも過去に何度も書いており、このnoteで一番書いている内容であり、SLORIDEでも時間を掛けている部分です。当然ながらフロントアップするには体重移動や姿勢が最も大事ですが、今回はクラッチに焦点を当てて書きます。

クラッチをどう繋げるのか?どのタイミングで繋げれば良いのか?というのが一番知りたいと思いますので、その為にも軽くフロントアップの説明をしますと、

体重移動(ボディーアクションで前後に体重移動をする事で運動エネルギーによるリアへの加重と、前後サスペンションの伸縮による車体のピッチング(ブレーキ掛けるのは伸縮させる為の補助))
アクセル(タイヤを回転させる事は車体を逆回転させるという作用反作用)クラッチ(急激な後輪への出力の伝達)

で、フロントタイヤが上がる事になります。リアタイヤが地面とガッチリ固定されていたと仮定してアクセル開けたらどうなるか?タイヤは動かないので固定されていない車体が逆回転しますよね。つまり、リアへの加重=地面とグリップ(固定)させる。そして、クラッチはその固定された一瞬の間に出力を加えるって事になります。なので、車体が逆回転してフロントタイヤが浮くって寸法です。(走るスピードが遅い方が速いスピードの時よりも固定された一瞬が長いから上がり易い。早いスピードだとよりパワーが必要となる=同じスピードならパワーがあるバイクの方が上がり易い)

ここまで書けば分かりますよね。「フロントアップするには瞬間的にバチッと繋げる」必要がある。怖いからとじんわりと繋いでいる限りは上がらずに前に進んでしまいます。そして、上がらないからとアクセルを開けるからスピードは出るし、後からパワーが出て加速するから余計怖い。アクセルは上げるのに最低限必要な分だけ溜めておいてクラッチを離す時に戻しておけば、溜めた分以上は絶対に進みません。上がらない時は、回転が少なくないかというのもありますが、ボディーアクションや繋ぐタイミングが間違っていないかを先に見直してみてください。

クラッチを繋ぐタイミングとしては「ボディーアクションでカラダが後ろに戻ってリア加重されている時」に繋ぎます。クラッチを繋いで出力が伝わるのはホント一瞬ですので、ボディーアクションの動き自体が早くやろうとして縮こまった動きだとタイミング取りづらいです。ゆっくりでも良いので大きく動いてリアサスが縮むのを感じとって繋いでみてください。

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ポンポンと繋ぐクラッチは、ガレ場とか斜面を利用したフロントを振る向き変えの時や、ヒルクライムのスタート時の地均し、斜面での再スタートでバックする時に前後に振り子で動かす為に良く使います。「小刻みに素早く全切り~大、中クラを繰り返す」事でフロントを少しだけ上げて振ったり、前後に動かしたりしています。

普通のフロントアップする時は、SLORIDEでは中途半端な半クラ状態にならないように「デコピンの要領で指はしっかりとピーンと真っすぐに伸ばして完全に繋がるように!」って伝えているのですが、実際に自分がやる時には全繋ぎの⑩と少クラ⑨の境位に指を残しています。完全に離してしまうと再度クラッチ当てたい時に難しいですからね。ピボットターンでフロントを吊ったままキープするみたいな事も上げてからの半クラですね。

とはいえ、そういったテクニックもどこからクラッチが切れて、どこから繋がるのかというのがしっかりと分かっていないと出来ないですし、事前のレバーの遊びや位置の調整と、その距離感をカラダに覚え込ませるというがとても大事だと思っています。

SLORIDEではただやり方を教えたり、走ったりするだけでなく、参加者のバイクを見て、軽い調整をしたりもしています(未調整で練習しても上達は遠いので)初心者の方で分からない事やどうしたら良いか気になっていたら是非一度SLORIDEへ来てみてください。

noteの記事による知識だけではなく、定期的に開催しているSLORIDE(twitterで随時告知していますhttps://twitter.com/SL230_Enduro)に参加して頂けると基礎の部分や、実際の走るシーンを想定した内容を練習する事が出来ます。またページ下の「サポートをする」ボタンを押して貰えると活動を続けていくモチベーションが上がりますw
今後も宜しくお願いします!


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