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TRAINING FOR BRAKING

雨が降った時、ブレーキパッドやタイヤを違う銘柄に変えた時、1人乗りと2人乗りの時、ブレーキを掛けた時の状況や状態によって止まり易さが違うのは皆さん少なからず誰しもが経験すると思います。ただ、ブレーキを掛けると止まるという認識ではなく、オフロードの視点でブレーキとは単に止まる為だけに掛ける訳ではないという事を説明していきます。

以前にも、オフロードでケガをするリスクが高い、下りでのブレーキに関してはCGC斑尾(長くて急な下りがあり、怪我する人が結構出たので…)の前に急いで書いた「How to 下り方」で説明した事があります(まだ読んでいない方は下記リンクから参照して貰えたらと思います)

今回は一歩踏み込んで、フロントとリアのブレーキによる違いは?実際にブレーキを掛けた時にどうサスペンションが縮んで車体が動くのか?実際にどう練習すれば良いのか?など、写真や動画などでもっと具体的に説明していきます。

初めに、初心者の方だとブレーキペダルの位置が座った状態で踏み易い位置のままで乗っている場合が多いので、下記のリンクの「オフ車は足元から」を参照にペダルの位置をスタンディングで踏み易いように調節する事から始めてください。

また、フロントブレーキもレバーをショートレバーに替えている場合はテコの原理から考えても指のチカラが必要となる為、コントロールがしづらかったり、しっかりと効かせられない場合が多いので、基本的には純正か純正と同じ長さのレバーが良いです。社外品のレバーの中にはマスターシリンダーのピストンをキチンと押せてなくて効きが悪い事もありますので見た目だけで選ばず、交換している場合は効きが悪くなっていないか確認を。

それ以前に、中古車や長く乗っているが一度もブレーキフルードやオイルシールなどを変えた事が無い場合も、新車の状態と比べて効きが悪くなっている事が考えられます。効くけど奥までしっかり握らないと効かないとか、唐突に効くという場合もマスターシリンダーやキャリパーのピストンの動きが渋くなっている事が考えられますので、一度オーバーホールした方が良いです。効きが悪い状態でブレーキの練習をしても上手くなるどころか危ないのでメンテナンスしてから始めましょう。

フロントとリアのブレーキの違い

フロントとリアのブレーキの違いですが、フロントブレーキが制動のメイン、リアブレーキがサブという役割なのは、教習所で習ったり、公道を走っている時など、知識や経験上でも分かっていると思います。では、何故フロントブレーキがメインで、リアブレーキがサブなのか?通常ブレーキを掛ける時は前後のブレーキを同時に掛けていると思いますが、原理を理解する為に片方づつ掛けてみましょう。(最近のABS付のバイクの場合は挙動が違ってきたりすると思いますけど…)

フロントブレーキだけを掛けた場合、最初にローターとパッドの摩擦によってタイヤが止まろうとし、タイヤと路面の摩擦が働き、前に進もうとしている慣性が止まろうとするフロントタイヤを軸にリアが斜め前に行こうとする動きとなり、ライダー自身の加重も合わさってフロントフォークを縮めます。縮み出す瞬間はフォークが動きを吸収しているのでスピード自体はほぼ減速しません。徐々に縮むに従ってフロントタイヤが押し付けられ、タイヤと路面の摩擦が増える事により減速し出します。縮む事で車体がピッチングを起こすので不安定となる。スピードや姿勢によっては前転やハンドルが切れ込んで転倒する事もある。

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リアブレーキだけを掛けた場合、最初にローターとパッドの摩擦によってタイヤが止まろうとし、タイヤと路面の摩擦が働き、リアタイヤが後ろに引っ張られる事でリアサスが縮みます(加速時にリアサスが伸びるアンチスクワットの逆)更に減速によって前に行こうとする慣性が止まろうとするリアタイヤを軸にして前加重となり、フロントフォークも少し縮む。なので、車体全体が下に沈む事で低重心となり、サスの動きが抑えられるので安定する。しかし、リアサスが縮むという事は減速による慣性がリアタイヤを押し付けるチカラとならない(押し付けてるのはバイクとライダーの重量だけ)のでロックしやすい。リアが流れて転倒することもある。

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これが両方を掛ける場合、まずリアブレーキを掛ける事でリアサスが縮まり、フロントフォークも少し縮まる。リアブレーキが掛かっているとリアサスが伸びるのも抑えられるので、その状態でフロントブレーキを掛けても前後のピッチングが少ない。つまり、安定してフロントブレーキをより強く掛ける事が出来る。もちろん、ロックするほど強く掛ければリアタイヤが浮いてしまうし、初めからガツンと掛けてしまうとフロントフォークが急に縮むので不安定になりやすい。フロントブレーキを掛ける時は最初は軽く掛けて減速の為というよりはフロントフォークを縮める為。縮んでからしっかりと掛けて減速するという風に2段階(だけどなるべく滑らかに素早く)で掛けると良いです。

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以上の理由から、リアブレーキはロックさせない程度に軽く掛けて安定させる為に使い、フロントブレーキでしっかりと止まるように操作する訳です。

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