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詩)桜の木の下

桜の木の下には死体が埋まっているそうで
何も戦争の事を嘆いてそんな事を言った訳でも
流行り病を嘆いてそんな事を言った訳でも
ただ、満開の桜に目を奪われて
こんなに狂ったように咲くのなら
足元の事など、いっさい忘れて
この匂いと淡い桃色に飲み込まれるのも
決して悪くはない訳で
自分もどうせいつかは死んで
土へと生まれ変わるなら
こんな桜の木の下で…
きっとそんな風に思った人が
死んだら桜の木の下にと
残された者に頼んだのかも知れないなと
桃色の花弁の隙間から見える青い空を見ながら
ふっと思った訳で

今日もあの日と同じ様に
桜は綺麗に咲いていました
きっとこの先も
何度も何度でも
桜は綺麗に咲くのでしょう
世界に何があったとしても
私が土に還ったとしても

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