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球体派とハサミは使いよう

僕がTwitterのフラットアース界隈に参戦した理由はまずはじめに「ここにも支持者がひとりいます」ということを表明しておくためだったのだけれども、それは次第に「自分もまた広めるための何かをしたい」という気持ちになっていった。2020年当初はそもそもフラットアースという単語でさえ目にすることは珍しかったので、まずはそういうトピックがあるということだけは絶対に知られなくてはいけないと思った。もちろんその状況と気持ちは大きくは今でも変わってはいないけれども、2024年現在では少なくともTwitterでは人目に触れる機会は当時よりも格段に増えてはいるはずだ。これはフラットアーサー全員のひとつの小さな達成である。完全に嬉しい。そしてこの達成に、球体派もちょっとは寄与しているはずだと僕は思っている。

どういうことかというと、なにをかくそう球体派はフラットアースだけではなくコロ茶界隈にも顔を出してアンチプレーをカマすことがあるが、そのときにこそ彼らはコロ茶界隈に集まっている人たちに発見され、ときにはプロフィール画面からタイムラインをチェックされ、それを通じてフラットアースを紹介することもあるのではないか。まったくのところ花にとっての虫みたいなものである。おそらく彼らが飛び付くのはコロ茶界隈だけではあるまい。なんらかの"陰謀論的"なトピックなら、彼らは喜んでその蜜を吸いたがるかもしれない。そのようにしてゆっくりとフラットアースは運ばれる可能性もある。だからこそ球体派を黙らせてはいけないというのはある。球体派がフラットアーサーというゾンビを黙らせたい(それは彼らが彼ら自身をかつて殺した方法である)のとは反対である。彼らが喋れば喋るほど、フラットアースは風に乗って運ばれ、受粉する可能性が出てくるのだ。そしてその風の通り道は、フラットアーサーには通れない道である。球体派にしか吹かない風があり、通れない道があり、触れないめしべがある。さあゆけ球体派。おまえの風に乗り、平面説を運んでおくれ。まったく球体派は恥だが役に立つ。球体派とハサミは使いようである。

使いようと言うなら、まだある。それは球体派とのやりとりの中でトピックに関連した情報や知識を請えば教えてくれたり、時には勝手に向こうから持ってきてくれることである。もう完全に虫である。こんなに便利なことは無い。わざわざググってリストを繰る必要もない。キーワードを知っていなくても良い。彼らが自分なりに厳選したものをちゃんと用意してきてくれる。完全にソムリエである。こちらはテーブルで待っているだけでいい。もちろんハズすこともあるが、しばしば参考になる資料や、一周回って新鮮な知識を披露してくれたりする。それを基にして、あとは改めて自分で取り組めば良いだけのことだ。ひと手間省けてこんなに便利なことはない。それによくわからない部分があれば尋ねれば良い。彼らはたいてい喜んで質問に答えてくれる。喋りすぎて鬱陶しいこともあるが、そういうタイプのソムリエだと思えば良い。実際のところ、通常の科学知識やトリビアが市井の科学愛好家などの間ではおおよそどのようなニュアンスで受け入れられているかの実情を知るには球体派に聞くのが良いというのは、これは確実に言えることであると思う。素晴らしい。まったく球体派とハサミは使いようなのである。後者は研げばちゃんと切れるが前者は研いでもキレが出ない、というだけの違いでしかない。あとは区別がつかない。だからもしも球体派に遭遇したならブロックかミュートをお勧めする。あなたがわざわざハサミと会話したがるような物好きではない限り。

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