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詩 雨(2004年)

降っている雨が窓辺をぬらす夜には
人工のひなたで影絵遊びを繰り返している
やってくる水の群集は地面を激しく叩きつけている
そういう風に雨は地上と会話する
お互いに自分たちの歌を歌い上げると
そこから新しい音楽が生まれでていく

きみにはそれが聴こえないから
一秒ごとに感じ続けていることができる
影の国からの歪んだ幻のアラベスクが
白い空想の表面に刺繍されていく
音のない歌が口をついては飛んでいく
どんな色をも反射することができる透明でできた生き物が
複雑に織られた街角の上で曲線を描いて滑っていくとき
古い真鍮色の感覚が
倦怠感のヴェールに銀色に混ざりこんでいく

(2004年)

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