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久しぶりのサイクリングデート

私と彼が出会ったのは約1年ほど前。
外国で生まれ育った私は2年前頃日本にやってきて、二子玉川駅近くの二階建ての建物に住んでいた。

彼はある日突然やってきて、私をみて一言「これ下さい」と家主に伝える。
そのまま私は彼の住む家に引っ越すこととなった。

出会った当初彼はよく私を誘った。
夜2,3時間あてもなく街を彷徨ったり、立った1杯のラーメンを食べるだけのために片道1時間私に乗り、店に向かったりした。

愛されてると感じたし、彼にペダルを漕がれるのが好きだった。
その気持ちは今でも変わらないが、最近は彼が目的もなくただ私に乗ることを楽しむことはほとんど無くなった。
ただの移動手段としてしか私をみなくなった。

そんな彼が今日、休日にもかかわらず朝から私にまたがった。外の気温は30℃を超え、普段冷房の効いた室内にしかいないオフィスワーカーが外出するには厳しい環境にも関わらずだ。
私はというと、普段から雨避けも何もない場所に放置されているので暑さも雨風も何も感じない。走ると風を感じられる分、人に漕がれているほうが気持ちいい。

ワクワクした。
久しぶりのデートだ。

多摩川沿いの河原道を直走り向かった先は多摩湖自転車道だった。

この自転車道は湖に通じており、車道に自転車専用レーンが用意されているので、自転車乗りがよく走りにくる場所らしい。


多摩湖は西武ドーム、西武遊園地の近くにある貯水池であり、周囲17kmと琵琶湖の1/10以下程度の大きさ。
この日は快晴で綺麗な青空が水面に映っていた。

35km近くの道のりを走り湖にたどり着いたものの、疲れた彼は近くの温泉に向かった。

湖を一望できるホテルだが、日帰り入浴もやってる中国割烹旅館さん。

また私はホテル前に置いてかれて彼の入浴を待つことに。
日陰だったことがせめてもの救いだ。

彼曰く、人がほとんどいなくて快適すぎた。湯船からはお茶の良い香りがただよいリラックスでき、8名ほど入れるサウナも完備されており最高だったとのこと。

帰路は太陽が真上に登ったお昼下がり。
私も流石にチェーンが疲労したが、彼と共にまた数十キロの道を無事に帰るのであった。

次はどこへ連れてってくれるのか。まずはメンテナンスがいいなあ。

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