見出し画像

沖縄の神事=ノロじゃないの!?

”沖縄県での祈祷=ノロ”という思い込み

尊敬する人は? と尋ねられたら、岡本太郎と柳宗悦、そして平良敏子さんと答える私。岡本太郎の著書『沖縄文化論 -忘れられた日本』(中公文庫)も読了。太郎氏が大宜味村を訪れたときの記述も興味深いですが、久高島で見た”イザイホーの神事”のくだりが印象強く。機会があれば拝見してみたいと願っております。

そんな矢先、大宜味村役場の新庁舎が完成した記念の神事があるとのこと。
え? 移住してきて1カ月も経ってませんが。あの神事がもう拝見できちゃうんですか??
せっかくの機会なので、カメラ片手にお邪魔させていただくことに。

大宜味村役場・新庁舎の竣工式は神式でした

竣工式の会場にお邪魔すると、どこかで見たことがあるような……。

デジャヴュを覚えるお供物

うん、これは神式ですね。
生まれも育ちも大宜味村という生粋の(元)大宜味っ子に尋ねてみたところ「今回は神式ですね。いろいろあるんですよ〜」とのこと。

そうですよね、本州でも、いろいろなパターンがありますものね……。

前方上部に見える追悼碑(背面)は、戦没者のお名前が刻まれた「霊魂之塔」。太平洋戦争の終結から50年を経た平成7年に、平和への祈りを込めて改修されたそう

自分の思い込みの強さを恥じつつ、感謝の気持ちを込めてお写真を撮らせていただいたのでした。



入り口横に作られたレリーフの除幕式もありました

大宜味小学校第7期生が製作したというレリーフ「大宜味の自然」。
精霊・ぶながやも描かれています。

神人の「家造いの神事」とは?

では、この竣工式を、もしもノロ=神人(カミンチュ)が取り仕切ったらどうなったのか。大宜味村教育委員会が発行している『大宜味村史「民俗編」』をひもといてみましょう。

役場がある大兼久(おおがねく)について書かれた章のなかから「家造いの神事」を参照。

家を新築した場合、(中略)人間が住みよい環境にするための悪魔払いをする。(中略)新家の祓いの神事には三人の神人が必要で、一人でも出席できない場合はアサギ神が臨時に代役を務める。お供物は三皿か四皿くらい用意して置く。神人が家の周囲を回り終えるまで、男性は禁制で入れない。

『大宜味村史「民俗編」』(発行:大宜味村教育委員会)P383

そして神人がオモロという歌?祈り?を捧げ、最後は親戚一同が「手を叩いたり踊ったりする」とのこと。きっとみんなでカチャーシーを踊ることでしょう。なんとも楽しそうですね。

果たして令和の今日、上記のような神事が取り行われることがあるのでしょうか? 機会があれば、ぜひ参加してみたいものです。



さて、大宜味村役場の新庁舎ですが、芭蕉布好きなら見逃せない意匠が随所に。あくまで「役場」であって、観光スポットではありませんが、うっとりすること間違いなしのポイントは後日ご紹介します!

もしもお気持ちが向きましたら、サポートいただけますと大変有り難いです。頂戴した費用は、芭蕉布をはじめとする伝統工芸品の魅力を発信するための取材活動などに使用させていただきます。ご検討くださいませ。