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育成イネーブルメントってなに?


皆さん、お久しぶりです。
今日から新シーズンに入ったことになるので、新シーズンからの取り組みについてぜひ書いていこうと思います。

ご存知でない方もいるかもしれないですが、今シーズンの私はFリーグ Div.1「ぺスカドーラ町田」にて

  • トップチームテクニカルコーチ

  • 育成イネーブルメントコーディネーター

  • U18 コーチ

という役割を担わせていただきます。

https://x.com/pescadola2007/status/1772888813859446925?s=46&t=MzVxWuqgSb8hmXAhAWKDqA

なかなかに聞き馴染みのない「育成イネーブルメント」という言葉に、なんやそれ!ってなった方も多いと思うので、今回は育成イネーブルメントってなんぞや?なにするん??について書いていきたいと思います。

育成イネーブルメントってどういう意味?

今季僕が取り組もうとしている育成イネーブルメント。これを端的に表現しようとすると

育成組織が継続的に成果を出し続けるための人材育成・育成プロセス改善のための取り組み

となります。

''Enablement(イネーブルメント)''という言葉が「有効化すること、できるようにすること」というような意味ですので、''(組織として)育成できるようにすること''みたいな狙いです。

ぺスカドーラの育成組織といえば、これまでも何人ものFリーガーを輩出しており、「町田の育成は強い」そう思ってくださっている方も多いのではないでしょうか?

U18出身の選手に絞っても、日本代表の山中翔斗をはじめとして高橋裕大、倉科亮佑、雲切啓太、中村心之佑、青島竣平、クラブの外をみても毛利元亮、原田快、甲斐稜人など多くの選手が活躍していますし、このような下部組織出身メンバーが多くを占めるメンバーで優勝争いをするまでに至っています。

しかし、これだけの素晴らしい成果を上げている町田の育成組織でありますが、唯一弱点がありました。それが「属人性が高いこと」でした。属人性が高すぎると継続的に成果をあげることは難しい。とはいえ町田のクラブのヴィジョンを考えた時に「強力な下部組織」の存在は絶対に外せません。

だから今、継続してこの成果を挙げられる仕組みを作っていかなければならない。そう考えたわけです。

セールスイネーブルメントの概念

そこで私が着目したのがセールスイネーブルメントの概念です。

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、営業組織が継続的に成果を上げていくために行われる、人材の育成・改善に向けた取り組みです。

イネーブルメント(Enablement)とは、enable(~ができるようにする)という意味を持ちますが、セールス・イネーブルメントにぴったり当てはまる日本語訳が存在しません。

『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』著者で、イネーブルメント分野の日本での第一人者と言われる山下 貴宏氏はこの言葉を以下のように定義しています。

成果を輩出し続ける人材育成の仕組み

かつて、営業組織の強化は担当任せでした。最終的には一人ひとりの営業社員の経験と勘次第だったという企業は少なくありません。

セールス・イネーブルメントがもたらすのは、そうした一部の優秀な営業担当の能力に依存せず、数字に裏付けられたデータに基づく営業組織の底上げです。

出典:https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/sales/sales-enablement/

短いながら私も社会人として営業活動に向き合って来ましたが、育成組織と営業組織は同じような課題を持つことが多いです。私の所属する会社でも同じように営業組織の底上げを目指す取り組みが行われています。

自分がクラブにどうやって貢献するかを考えた時、自分の背景、特徴、強みを考えてもこのセールスイネーブルメントの概念を育成組織に持ち込んでいけば必ず力になれる、そう思ったわけです。

実際に何をするのか?

やること

「イネーブルメント」の概念はご理解いただけたかと思いますが、じゃあ実際は何やるのということで簡単にではありますが僕が取り組もうとしていることをご紹介します。

実際に起案時に作成した資料より抜粋

1.我々の理念(ビジョン、ミッション、バリュー)の浸透

ぺスカドーラ町田の町田のクラブ理念のひとつに「町田市から世界で戦えるクラブへ」というものがあります。つまり我々育成組織では「世界で戦える選手になる/育成する」ことがミッションとなります。ですので、まず我々指導者としては「世界で戦える選手を育てる」ために何が必要かを常に考え、世界で戦うためのマインドセットを常に選手に説く事が求められます。

これまで何人もの「世界で戦う選手」を送り出してきたこのぺスカドーラでずっと大事にされてきた価値観を浸透させ、それを選手に伝えていく。そしてその価値観を「ぺスカドーラの文化」にする。それが僕の役割の1つ目になります。

2.育成プロセスの可視化と最適化

1つ目の理念の浸透を前提にしつつも、世界で戦うためにどの年代でどんな要素が必要なのか?を議論し、目に見える形にしていきます。
現状はU12,U15A・B,U18,Aspiranteという形ですが、このカテゴリーわけが適切なのかも含めて検討します。

既にアカデミーの監督方とは議論が始まっていてなかなか楽しみな領域です。

3.ナレッジの体系化と共有知化

組織として最も大事なのは、トッププレイヤーの行動をしっかりと体系化し、共有することです。

そういった意味で、既に町田の下部組織はトッププレイヤーが集まっているので彼らのこれまでのナレッジを組織に蓄積させる。そしてそれを体系化して、今後のコーチングスタッフの育成に活かしていくことが必要です。


まずはデータを溜める、そのデータを活用するという意味でぺスカドーラ町田アカデミーとしてのデータ基盤の一元化からスタートし、それらを蓄積していくところからスタートしていきます。

具体的にはTRメニューやスケジュール、選手のRPEデータ、スカウティング動画などこれまでバラバラに点在していたものを集約し、簡単に取り出せる状態にしていくことから初めて行きます。

今のところやらないこと

反対に今のところやらない事として

  • プレーモデルの作成

  • 画一的なカリキュラム作成

  • コーチングスタッフへの研修

など一般的によく行われるような施策は実施しない想定で考えています。
上のようなものは、指導者選手ともにある程度''型に嵌める''ような側面を持っているためです。
サッカーフットサルと一緒である程度のセオリーはありつつも、その時の指導者や選手の特性に合わせて柔軟性をもたせ、変化させる前提で考えています。

まとめ

今回僕が取り組む育成のイネーブルメントはそんなに目新しいことではないと思います。
とはいえ時間がかかり、そしてなおかつ非常に難しいことであるのは理解しているので折れずに頑張って行こうと思います。

今回のnoteをみてイネーブルメントに興味を持ったとか、もっと詳しく聞いてみたいと感じた方はぜひ話しましょう。ご連絡お待ちしてます。

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