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いびき

【2種類のいびき】

いびきは、睡眠時の呼吸に伴う雑音のことです。睡眠中は全身の筋肉が緩みます。舌を含む、のどの周りの筋肉も同様に緩んでいきます。寝ることで重力により舌が下に落ち込んでいき、気道が狭くなり、そこに空気が通ると周囲の組織が振動し、いびきが起こります。

■単純性いびき
鼻づまりや疲労、飲酒、風邪などが原因の一時的ないびきです。原因を取り除けばいびきは解消していきます。

■睡眠時無呼吸を伴ういびき
常にいびきがあり、他人から指摘されるほどの騒音であることが多いいびきです。放置しておくと睡眠時無呼吸は悪化していき、様々な重病を合併します。交通事故を起こしやすくもなります。寿命にも関係するといわれています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が停止してしまう状態、つまり無呼吸、や止まりかける状態が何度も繰り返される病気です。一般に、無呼吸や低呼吸が1時間に5回以上あります。呼吸が止まるたびに短時間でも覚醒してしまうため、眠りが浅くなってしまうのです。

その結果、起床時に頭痛をおこしたり、日中の強い眠気や疲労感、集中力・記憶力の低下などの自覚症状がおきてきます。不眠、夜間頻尿、寝相が悪いなどもあります。

睡眠時無呼吸症候群の原因は、肥満からくる首回りの脂肪の沈着、扁桃腺肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込んでしまう、舌が大きい、鼻が曲がっているなどです。欧米人では肥満者が多い一方、日本人ではやせ型の患者さんも多いのです。これは、顎が小さいという骨格の影響があるといわれています。

【睡眠時無呼吸症候群は怖い病気】

重症の睡眠時無呼吸症候群は死亡率を約4倍になると言われるほど、寿命に関係しています。

日中の強い眠気が、居眠り運転や労働災害につながります。2003年に起きた新幹線の運転士の居眠り運転事故は、睡眠時無呼吸症候群が原因であることがわかっています。

さらに、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の関係が明らかになっています。

また睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素が不足、動脈硬化や不整脈の原因となります。さらに熟睡できないことで血圧や血糖値の上昇を招いたり、新陳代謝に異常をきたします。肥満する傾向があり、結果として生活習慣病のリスクが高まっていきます。実際、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などを合併していることが多いのです。

【睡眠時無呼吸症候群以外の病気】

睡眠時に無呼吸を伴わないいびきの中にも、治療を必要とする病気が隠れていることがあります。いびきに悩む人は耳鼻科の受診をおすすめします。
鼻の真ん中の仕切りが曲がる「鼻中隔彎曲症」や、副鼻腔の中に膿がたまっている「副鼻腔炎」、扁桃腺の腫れである「習慣性扁桃炎」、アデノイド肥大などです。これらの病気を治療することでいびきは改善します。放置しておくと睡眠時無呼吸症候群の原因になることがあります。

【いびき改善の工夫】

■肥満の人は減量
肥満の人は食事療法や運動を行い、減量します。肥満は、いびきや睡眠時無呼吸症候群の大きな原因になります。

■横向きに寝る
仰向けに寝ると重力で気道がふさがりやすくなってしまいます。体を横向きにしたまま寝ます。

■寝酒は止める
お酒はのどの筋肉をゆるめ、気道の閉塞を起こしやすくします。また水分で舌も大きくなり、鼻づまりになりやすくなります。

■寝室の湿度を保つ
いびきをかくと口呼吸になります。のどが乾燥したり、ホコリが侵入したりして炎症の原因になります。炎症を起こすと、気道が狭り、さらにいびきをかきやすくなります。乾燥する季節は、寝室に加湿器をおすすめします。

■いびき体操を行う
いびき体操は、かなり効果があります。口の中の筋肉を鍛えるので小顔効果もあります。まずは、顎をいためない程度に行います。

〈いびき体操のやり方〉
①舌を前に出す
②舌を回転する
③舌を持ち上げる
④舌をそり返す
⑤のどちんこを上げる
⑥口をすぼめる
⑦口に指を入れてすぼめる
⑧口をつり上げる

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