図書館の利用者登録と性的マイノリティ

私が働いている地域では、登録時に性別を男性か女性かを選んでもらって登録をしている

で、昨今の社会の流れ的に性別の選択肢が
男性女性の二つしかないというのはダメだろう
という意見が出て来るのは当たり前だと思うし、私も選択肢はもっと多くて良いのではないかと思う

が、そう簡単にはいかないのだ
というのが今回書きたい話題

なにがどうしてそう簡単にいかないか
理由はいくつかあって、まず性別を追加するためにはそのシステムを開発した会社に依頼をして変更してもらう必要があるのでお金がかかるということ

「それぐらいのお金出せや」
と言われそうだが、図書館という施設はその特性的に基本的にお金を生み出さないので、もちろん全て税金で賄われることになる
ただでさえ普段の運営からして「節約しろ」と言われているのにお金がかかることをやろうとする自治体はなかなかないのではないか
酷な言い方ではあるが、性的マイノリティ当事者以外には男性と女性しかないことの不便さを感じることはないので、誰かがそれを言わないかぎり、大きな声にならない限りそこに手を出そうとする人はいないと思われる

という「お金+手間」という理由が一つ目

そして二つ目の大きな理由、これが私が懸念している大きな問題点なのだが、
カードの二重登録ができてしまう
という問題がある

どういうことかというと、
(私は全ての地域の図書館システムを把握しているわけではないから例外もあるとは思うが…)
例えば、図書館でAさんが新しく登録をしようとしたとする
その時、その人の名前、生年月日、性別を現在登録済みの全登録者データを参照して同じものがないか(二重登録)にならないかを確認している
もし、同じ内容があった場合、その人は過去にカードを作ったことがあるので、その過去のデータを使い、新規登録ではなく、カードを紛失してしまったので「再度登録をする」という形になる
古いカード(データ)に上書きするので、古いカードは使えなくなり、新しいカードでのみ貸出しができる

ここまで書けばなにが問題かわかった人も多いと思う
もし、今から「性別無し」や「LGBTQ」で登録できますよ
という形になった場合、今までは男性と女性しか選べなかったために無理やりどちらかを選んでいた人が新しく正しい自分の性別でカードを作る時に2枚目のカードを作れてしまうことになる
「Aさん+男性+1月1日生まれ」と
「Aさん+別の性別+1月1日生まれ」は別の人と判断されるのである
住所で確認しろと言われそうだが、引越し前の住所のままだったり、その証明書だけ実家の住所、というような証明書を持っている人は存外に多いのである
そして言わずもがな同姓同名はいくらでもいる

問題なのは
「性的マイノリティの人がカードを2枚作れる状況になること」ではなく
「性的マイノリティの人がカードを2枚作れる状況を悪用する人が出る可能性があること」である

悪用しようと思えば、例えば元々男性として登録している私が性的マイノリティとして性別を偽って新しくカードを作ることもできるだろうと思う
私の精神や内面が男性であるもしくは男性でないことを誰がどうやって確かめられるのだろうか?

現状として証明書での証明も難しく、見た目での判断もできないとなると、登録をするその場でその人が本当にそうであるのかそうでないのかという判断をできる人というのはいないのではないか

これは公共のトイレでもよく話題…というか問題になっているものと同じで結局のところ本人しかわからないのである

全国的に共通した公的な証明書が発行されないとこの問題は解決されないのではないかと思うが、そもそもその公的な証明もどうやって判断するのだろうか、というところもある

この問題はおそらく近いうちに表面化するんじゃないかと予想している、というか今までよく表面化していないなとすら思う

誰もがある程度納得できる答えを出せるまで、もう少し猶予が欲しい問題である

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