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青二才の「二才」とは? 意味や由来、英語表現を紹介

「この青二才が!」と、アニメなどでも時おり使われる「青二才」という言葉。

なんとなく意味はわかるって人は多いと思いますが、言葉の由来はご存じでしょうか?
そもそも「二才」って何から来ているのか、そのあたりのことを詳しく解説します。


青二才の意味

年が若く、経験に乏しい人を卑しめていうことば。

出典:コトバンク

現代社会で日常的に使われる言葉ではありませんが、時代劇やアニメなどで耳することがあると思います。

まだ経験の浅い若い人をあざけるニュアンスで使われる言葉で、多くの場合、相手を罵ったり、叱ったりするときに使われます。


また若者が自分のことを謙遜して、「まだまだ青二才が」といった感じに使う場合もあるようです。

青二才の由来

青二才の「青」は、まだ若く、成熟していない状態のことを指します。

「青春」「青臭い」といった表現がありますが、上記のような意味が含まれているのがわかるでしょう。


では、「二才」は何を意味しているのでしょうか?

「二才」程度の経験の浅い人間のことを比喩していった言葉でしょうか?
この「二才」という言葉の変遷は次のように考えられます。

ニイセ → ニイ(新しい)+セ(背 成長した男子)→ ニサイ

なぜ「背」が成長した男子のことを指すのかというと、かつて日本では夫や恋人など、親しい間柄の男性のことを「背」と呼んでいました。

この「背」に、新(=若い)をつけることで新背(青年のこと)となり、この「ニイセ」がなまって「二才」という漢字が当てられたと考えられています。


ちなみに、この背という言葉を用いた歌は、古くは『万葉集』の中にも残されています。

わが背子を 大和へやると さ夜ふけて
            暁露に わが立ちぬれし(巻2 105)


もう1つの説として伝わっているのが、「二才魚」です。

ボラという出世魚がいて、生まれて2年目の幼魚のことを「二才魚」と呼ばれていました。これに由来し、成長途中で未熟な魚と若者を重ね合わせて「青二才」となったという説があります。

青二才の「二才」は音の順番が入れ代わった!?

ニイセからニサイの変化は、専門用語になりますが、音位転換(metathesis)と考えていいでしょう。

ちなみに、音位転換とは、

音位転倒ともいう。1単語中の2つの音素が位置を交換する現象。偶発的なものは言いまちがいとか,滑稽な効果をねらう場合とかによくみられるが,なかには,それが固定して語形変化を引起す場合もある。たとえば,アラタシ→アタラシ,シタ+ツヅミ→シタヅツミ。中期英語 brid→近代英語 bird,ラテン語 parabola→スペイン語 palabraなどがあげられる。

出典:コトバンク

例えば、

秋葉原: アキバハラ → アキハバラ

も音位転換の一例で、もともとは「秋葉山」のあった原、という意味だったものが転換しています。


音位転換には、古語の

「あらたし(aratashi)」→「あたらしい(新しい)(atarashii)」

のように、「あらたし」のrataが「あたらしい」のtaraに交換したために生じた現象もあります。

この場合、「新たなる出発」のような言葉で、現在まで使用法が残っているのでわかりやすいですが、「青二才」の場合は漢字を当てると、元々の意味がまったくわからなくなってしまいます。

他の例では、「さんざか」→「さざんか(山茶花)」のように、「ん」と「ざ」が音位変換を起こした例もあります。

青二才の英語表現

「greenhorn」という言葉があります。

翻訳すると、「新米」「駆け出し」「ルーキー」「若造」といった意味になります。


「horn」は「角」という意味ですが、もともとの意味は「緑色の角をもった若い牛」のことを指す言葉で、転じて「未熟な若者」といったニュアンスの表現になったようです。

「若い」「未熟」というニュアンスを日本語では「青」が象徴していましたが、英語表現では「緑」(green)が表しているというのも面白いですね。


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