第11章 母と娘 | セレウス&リムニク SF小説
ノエは電話で話すのが好きではなかった。幼い頃からしてきたことではないし、毎回気まずい思いをした。電流で音声をエンコードしデコードする必要があり、向こう側の幻影が自分のように聞こえるが自分ではないメッセージを送信してくるという一連のプロセスは、まるで成り代わられたように感じられた。まるで本当の自分ではなく、斑点模様のクロコッタのような偽物が、自分の声を盗んで回線の向こうの存在に話しかけているようだった。その苦痛のプロセスは不自然で嘘っぽく感じられた。本当の自分とはまったく違っ