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令和6年4月の朝礼

 全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。本日から令和6年度がスタートしました。引き続きの職場で勤務される方も新しい職場で心機一転勤務される方も、それぞれ職場には新しい仲間が加わり、これまでにないフレッシュな気分で仕事に向き合えるのではないでしょうか。

 今日から大きく社会が変わりますが、その最大の影響は労働基準法における時間外労働の上限規制の見直しでしょう。
 平成31年4月からスタートした「働き方改革」については、建設業や自動車運転業、医師、鹿児島と沖縄の製糖事業者については猶予がされていましたが、それがいよいよ上限規制がかかることとなりました。
 いわゆる「2024年問題」ですが、建設業者は能登半島地震のような災害の復旧復興は例外となるものの、大阪・関西万博のパビリオン建設やようやくデフレ脱却を視野に入れつつある経済の底支えのような建設ラッシュに対応できるのか不安視されています。
 また、全国の首長たちが大慌てしていたライドシェアがタクシー運転手確保の困難さから逆算されていたように、運転事業ではバスや長距離トラックなどヒトやモノの移動の困難さが地域生活や地域経済に対する厳しさをもたらすという恐れが残っています。
 さらには、医師の働き方改革が現実のものとなり、国民健康保険直営診療施設や自治体立病院だけでなく、地域の民間医療機関においても医療者の確保が難しくなり、地域医療構想の実現に向けた調整や地域包括ケアシステムを通じた介護事業所との連携などに真剣に向き合わなければならない事態に直面している地域もあるのではないかと思います。
 
 今、やらなくてもいいけれどもいつかはやってくるかもしれなかった危機に対して、いかに予め準備できるかでこれからは生き残ることができる自治体かどうかが差別化されてしまいます。
 自治体間競争という積極性の課題ではなく、他の自治体に取り残されて自壊自滅していくことをいかに防ぐか、そのためにはいったい自分たちは何の貢献が所属自治体に対してできるのかということを地方公務員はひとり一人が常に自問自答しなければいけない時期に至ったのではないかと思います。

 若い職員が次々に辞めていくのも、昭和、平成の感覚では理解ができないことかもしれませんが、令和では普通のことなのだと「常識」の前提を総入れ替えし、新しい時代システムに適応できるようにしていただきたいと思います。
 そのことは、先日からネットで話題になっているように、障害者差別解消法の合理的配慮が本日から民間事業者についても義務化されるということからも言えます。公民ともにこれまでの常識では乗り切れない時代になったということを理解したうえで、新しい時代に順応して行ければと思います。
 
 さて、春アニメで注目されるのは「怪獣8号」です。主人公は怪獣大国である日本で倒された怪獣の死骸を掃除するモンスタースイーパーです。B級映画として名高い『大怪獣のあとしまつ』の漫画版かというとそうではなく、モンスタースイーパーをしながらようやくあこがれの日本防衛隊員に合格した主人公が怪獣に侵食されて怪獣化してしまい、討伐される怪獣でありながら怪獣と戦う、同僚も主人公が怪獣でありながら討伐できずに一緒に戦うという矛盾に満ちた作品となっています。
 詳しくは漫画ならびにアニメを見ていただければと思いますが、私たち公務員も活動ドメインを決める政治家たちがまさに怪獣のようなものであり討伐してやりたいにもかかわらず、それに従って職務を遂行しなければならないという矛盾に直面しているのは、まさに時代性があると言えます。
 とりわけ税務部局においてはこれから税務調査の現場で納税者のみなさんの怒りを一手に引き受けなければならない理不尽に直面すると思いますが、天網恢恢疎にして漏らさず、因果応報ということを信じつつ、ぜひ他の部局においても税務当局を支えていただき、自治体が一丸となってこの無能な政治が招来した理不尽な状況を何とか乗り切って未来に希望をつなげていただきたいとお願いし、年度初めの朝礼を終わります。

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