見出し画像

底辺職業ランキング第3位「工場作業員」の実録

前段の話
私の職業である工場作業員が、巷で話題の底辺職業ランキングに堂々とランクインした。
よし、こうなったら工場作業員の実態をお伝えしよう。
職場は、東証プライム上場の製造企業が持つ工場である(以降O社と称す)。

一日の業務
O社の始業時間は朝8:15。
チャイムと共にラジオ体操を実施、その後朝ミーティング。
8:30から一斉に作業スタート。

工場は基本的にライン生産だ。
作業員は1サイクル15分程度の作業をひたすら繰り返す。
1サイクルの作業が終わった頃に次の製品が流れてくるから、また同じことを繰り返す。これの繰り返し。

作業は単純作業だ。誰でも出来る。マニュアル通り作業すれば良い。ここで注意。マニュアルと違う作業をすると怒られる。

例えば、良かれと思って接着剤の量を多めに塗るとか、効率的かと思って作業の順番を替えるとか、そんなことをしたら一大事。事件になる。

作業員は、何も考えずに単純作業を繰り返せば良い。

休憩
休憩は昼休み45分の他に、10時と15時にそれぞれ10分ある。常に休憩が待ち遠しい。
ちなみに、それ以外の時間にトイレに行きたくなったらどうすればいいか?
そんな場合、行灯と呼ばれるチャイムを鳴らすとラインリーダーがやってくる。
そこで「トイレに行きたいんです」と泣きそうな顔をして言えば、その間作業を代わってもらえるのだ。

定時・残業
単純作業をしていると、時間が流れるのが遅く感じる。
この全くやりがいのない作業を延々と17時まで繰り返す。実に苦痛だ。
そして、定時の段階でその日の生産台数未達の場合、残業となる。
ここで、「今日はちょっとお〜」などと言える雰囲気はない。
ラインが動くのだから、作業員は当然セットで動くのだ。

雇用形態・給料について
工場作業員のほとんどは期間工だ。
かつてはほとんどがハケンだったが、現在は企業が独自に求人募集・採用している。
O社の場合は、O社の子会社が採用業務を代行している。
期間工の基本給は月18万円程度。これに各種手当や残業代を含めると、だいたい月20〜23万円程度になる。
若者にとっては悪くないと感じるかもしれないが、歳を取れば取るほど厳しくなるだろう。

しかも、正社員と違って年次昇給がほぼない。ボーナスは寸志程度。福利厚生充実せず。
勿論、終身雇用ではない。つーか期間工だから、契約期間を経過すれば雇用終了の可能性大だ。

ちなみに求人には「正社員登用制度あり」と書いてあるのだが、いったいどこの会社の正社員に登用されるのだろうか。
少なくともO社本社に採用された人を見たことがない。

立場
工場では、管理する側と管理される側に明確に区分される。
作業員は、当然管理される側だ。管理する側の指示にただ従えばいい。
やりがいはないが、気が楽だ。
作業員の相手は人間ではない。部品という物だ。物は人と違って文句を言うことはない。
精神的プレッシャーは受けないし、作業中は自分の世界に没頭すればいいから、人によってはある意味最高かもしれない。

知識人らの綺麗事コメントについて
底辺職業ランキングを受けて、様々な知識人や芸能人がコメントしている。
彼らのコメントは総じてこんな感じだ。
「底辺と呼ばれる職業は社会になくてはならない職業。こういう仕事をしている人達に感謝したい」
こういうコメントって、訳すとこんな感じかな。
「社会に必要な仕事だけど、自分はやりたくない。これらの仕事に就いたことがないからわからないし興味ないけど、まあ適当に評価しておけば世間体がいいだろう」

格差是正
工場作業員が安い給料でロボットみたいな業務をしている一方で、O社の本社社員は高い給料でハイソサエティーな生活をしている。

この格差是正を進めなければいけない。
工場作業員に限らず、今回ランクインした職業はいずれも低賃金だ。
今回底辺職業ランキングを執筆した就職情報サイト「就活の教科書」は、世の人々に問題提起をしてくれた。


例えば、介護職が低賃金であることを知っていた人は多くても、工場作業員に関してはあまり知られていなかっのでは?
これを契機に格差是正が進めばいい。
私も微力ながら何か行動してみようかなーと思っている。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?