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放射性ヨウ素の造影剤

小さい手術をするために事前検査をしたところ、血栓の存在を示すマーカーの数字が高いと言われて、急きょ各種の検査をした。

・そけい部の超音波診断で、下肢静脈に血栓を発見。この時点で車椅子に乗せられ、動かないように言われる。
・心臓にも超音波検査を実施。心臓と肺血管系を見た?
・放射性ヨウ素の造影剤を注入したCT検査で、血栓の位置と大きさを確定。

幸いにも他臓器への影響はなく、内科的療法を実施後、経過を見ることに。

突然のことで、入院の用意も何もない。すぐ緊急手術だなんてことになったら、いろいろなことが頓挫するところだった。

原因もよくわからないし、内科治療中は普通に生活し、労働もしてよいと言われて「狐につままれた」。

不測のことに備えようといっても、どこから矢が飛んでくるのかわからないのでは手の打ちようがない。

資産の状況と、万が一の場合それらの処分を、相続の可能性がある親族に頼んでおくぐらいかなあ。

日常のなかにこそ、黒闇への裂谷は潜んでいる。私もいつ墜ちてもいいように身辺整理をしておかなければ、と思った。


造影剤を使ったCT検査では放射性ヨウ素の注入量(ヨウ化カリウムとして入れる)は一般に体重1kg当り2.0mlだという記述を見つけた。
一般に用いられる濃度が300mgI/mlだとして、体重50kgの場合30g。

¹³¹Iの単位重量あたりBq数を記した資料を見つけられなかったけれど、CT検査で使われた分量からの放射線量は、さんざん問題にされてきた環境や食品中の放射線量に比べてとても大きいものであると思う。

バセドウ氏病の治療に使う場合、1回の治療で使う放射性ヨウ素の投与量は370MBqだと。メガだメガw。

そりゃあ、尿や糞便を経て下水道に流れたものも検出されたりするわけだ。

昨日身体に入れた放射性ヨウ素(¹³¹I)って半減期8日なので、蓄えておくわけにはいかないはず。
毎日検査があるから、それを見越して定期的に一定量ずつ購入しておくのだろうか。供給元はどこだろう。製造方法は?

日本語版Wikiの記述だと、安定同位体のテルル(¹³⁰Te)に原子炉からの中性子線を照射して製造する、という。

公益社団法人日本アイソトープ協会のHPには、海外のサプライヤーが放射性ヨウ化カリウムの原料を供給しているという記載がある。

PDRファーマ株式会社のHPを見ると、海外の原子炉で製造された原料を輸入し、千葉県内の工場で製品化しているらしい。
「薬剤を注射用シリンジにあらかじめ充填したプレフィルドシリンジ製品が主流になっています」というが、確かに昨日見たCT装置にもそんなものを取り付けていた。

半減期の短いRIを供給するために、医療機関から製品の注文を受けてから迅速に届けるための、専用の受注・配送体制(RIOS-NET)を整えているという。
そのサイトを見ようと思ったら、登録ユーザーしかログインできなかった。

公益社団法人日本放射線腫瘍学会では、「我が国における放射性同位元素の安定供給体制について」と題する資料を公開している。2008年のもので古いけれど、概況を知るには役に立つ。kohyo-20-t60-5.pdf (jastro.or.jp)

放射性ヨウ素の供給元であるポーランドのPOLATOM社が2022年9月から2023年7月まで原子炉のメインテナンスを行ったため、全世界的に供給不足になっていたらしい。

こうした不安定な情勢に対応するため、2023年5月17日に開催された第19回原子力委員会には、「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進 アクションプラン」の案文(資料)が提出された。http://aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2022/siryo19/5-1_haifu.pdf

この中では、医療検査(画像診断)に多用されるモリブデン-99/テクネチウム-99mの一部国産化が提言されている。

以上、放射性同位元素を利用するため様々な関係者が努力していることを知った。

そういえば、こういった分野に対して、放射能反対と言って牙を剥く者たちがいるという話は、寡聞にして聞いたことがないな。
(2023.7.23)


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