見出し画像

死に至る争い

同種の動物同士が争うときには、相手を死に至らしめるまで攻撃することはない、と言われている。
しかし、私は金華山島で、複数のサルが1頭のサルを死ぬまで徹底的に攻撃するという事例を見聞した。

私が直接見たわけではないが、現場で観察した人から経過を聞き、その一部を撮影した映像を見せられた。
どうしてそのような行動が起きたか、という直接の原因は目撃できなかったようだ。
しかし、何頭ものオスザルが一頭のオスザルを執拗に追い回して攻撃し、噛み裂き、海岸に追い詰めた。

攻撃されたオスザルは波打ち際で倒れ、そのまま動かなくなったから、死んだのだろう。
犬では群れの中でそのような行動が起きることがある、というのは、作家の畑正憲氏が書いたもので見たことがある。 ニホンザルでこのような観察記録が他にあるかどうかについては、私は知らない。

普通、優位のサルがより下位のサルを攻撃したら、下位のサルは悲鳴を上げて逃げ出し、吠え返しては逃げる、を繰り返す。
力が拮抗しているときには激しい戦いになるかもしれないけど、いずれどちらかが負けを認めて抗争は終わる。そういう行動が根付いている。

死ぬまで攻撃されたサルは、何かの原因で相手に負けを認める行動のスイッチが入らなかったか、または相手の「殺害スイッチ」を入れてしまったのだと思う。
そういうスイッチが何なのかは判らない。しかし、通常では起きない行動があったというのは鮮明に記憶に残っている。

これを安易に人にあてはめて考えるのも憚られるけれど、関連する分野の専門家達なら、いろいろな考察ができるのだろうか?
(2024.3.20)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?