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男爵Mとワタシ・第四話

さあ、ワタシの技量が試される時がキタ!

今年は仕事はじめの日。豪邸到着後、脱いだジャケットをコートラックにかけ、洗濯しようとベッドシーツを既にはがしはじめていたワタシ。

男爵さまの好みに応じたディテールを含み、これまで教えられてきたコトを踏まえて、今から3時間でどの程度こなせるのかは未知だった。

それというのも、クリスマスイブの日に柱へぶつけ打撲した左足小指は、まだ曲げることができず痛みがあり医療用サンダルを片方履いての作業。

そういえば、12月の二週間目から男爵さまと脚本家は、ニュージャージー州のホーボーケンへのロケハンへ出かけたのをきっかけに、留守中にほぼひとりで作業を任されるようになった。そして、この2ヶ月間で、ほかの部屋の掃除も急速にカバーし始めた。

三階のロフトの男爵さまのクロゼット以外には、ベッドルーム、キッチン、バスから、二階へとつながっている螺旋階段を降りた『マンション』と呼ばれる天上の高い大きな暖炉のある部屋まで。ここには、深めの流しを完備した小さなキッチンとバスルームがある。20畳弱の部屋から一段上がるとピアノやギターやコンガと一緒にマイクが置いてあるおどり場があり、そこからガラスドアを開け屋上へと出ることができる。

洗濯機は既に回っていたので、バスケットの中に一旦シーツ類を入れ、コードレスの小型掃除機を持ってキッチンへ向かった。所々に散乱している使用済みグラスや湯呑みや皿を集め、食器洗剤をつけて濯ぎ、上下二段になっている食洗機の中の上の段へ、フライパンやなべ等の大きめの器は下の段へ入れ、これは確認済み。ドア内側にある小口にいっぱいに粉末洗剤を入れ、そのふたとドアを閉めてスイッチをオンにした。

映画撮影用のアイディアがぎっしりマーカーで書かれているホワイトボード2枚とダークウォルナット色のバースツールもキッチンの外へ出してから、床のタイルの脇に落ちている野菜や食べカスを小型掃除機で先に吸い込んだ。床掃除は、まず洗剤をかけモップがけ、そして次に水拭きで仕上げ乾かす。すでに分別が完了しているプラスチック類、紙類、生ごみをゴミ箱から取り出し、地下のゴミ置き場へのちに持って降りる。

48歳から人生の本編スタート。「生きる」記録の断片を書く活動みならず、ポエム、版画、パフォーマンス、ビデオ編集、家政婦業、ねこシッター、モデル、そして新しくDJや巨匠とのコラボ等、トライ&エラーしつつ多動中。応援の方どうぞ宜しくお願いいたします。