見出し画像

男爵Mとワタシ・第六話

ゴミ置き場のある地下室まで降りられる階段はふたつある。

私の使っている階段は、一階のギャラリースペースを通り抜けた先にある。グレーのペンキで塗られたコンクリートの床の先にはグレーのドアがある。そのドアを開けるとコンクリが剥き出しの壁に囲まれたボイラー室がある。この部屋に分別したプラスチックと紙と生ごみの袋を入れるための業務用の大型のゴミを入れる容器がある。あとは清掃用にの洗剤、スプレーやペーパーオルとゴミ袋などの備品が並んでいる棚がある。

地下には、VR映像の撮影をするグリーンルームもある。音響や照明などの機材を収納するエリアもあり、通路には所狭しとイベント用大型家具が並んでいる。その奥には男爵の持つ不動産の物件をレンタルするオフィスがある。

イベントの設営を担当するカルロスにそこで再会したので、改めての自己紹介と共に新年の挨拶を交わした。彼には「キミ日本人?」と聞かれた。

仕事を終える前、最後にもう一回地下の階へゴミを置きにいく。その時にはイベント企画を担当するオーガとジョンに会ったので、やはり「あけましておめでとう!」と笑顔で挨拶した。「あなたはいつもよく働いているわネ〜。」と彼女は声をかけてくれた。

こちらはブロンドのオーガがで、もう一人同名の黒髪の女性がいることを先に男爵から聞いていた。そのオーガもパートタイムのハウスキーパー。クリスマス直前の金曜にギャラリースペースの一角で彼女がツリーの飾り付けしている最中に見かけた。ワタシは彼女の居るところへ歩いていき、挨拶して自己紹介し、彼女は「足はどうしたの?」と医療用サンダルを片方履いているワタシを労ってくれた。


48歳から人生の本編スタート。「生きる」記録の断片を書く活動みならず、ポエム、版画、パフォーマンス、ビデオ編集、家政婦業、ねこシッター、モデル、そして新しくDJや巨匠とのコラボ等、トライ&エラーしつつ多動中。応援の方どうぞ宜しくお願いいたします。