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器を育てる

 

毎日決まったお茶碗で

お茶を立てていると

風合いというか色味というか

かすかにお茶碗が変化してゆき

少しづつ育っているのがわかる。



やはり使うほどに味わいの出るお茶碗の方が

愛着がわく。


どんなに高価な茶碗でも使わなくて

ただの収集品だったらつまらないなと思う。

それはただのモノに過ぎないから。



どちらかというと若い頃は奇抜な感じが好きだった。

カッコイイと思っていた。

ファッションの好みもそうだ。


今も新しいものには敏感だけれど

器については、あまり重くなく

手のひらにすっきりと収まって

飲み口が厚すぎないものがいい。


好みというのはだんだん変化して

最終的に落ち着くところに落ち着くのだろう。


手のひらの上に器を乗せて

ゆっくりお茶を味わうひとときは

静かに自分と向き合う一瞬。


茶碗と一緒に

自分という器も育てていきたいなあと思う。


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