高祖父

祖父から聞いた話。

高祖父(祖父の祖父)が死んだ日のこと。
我が家は玄関を入ると正面に茶の間があり、そこそこ大きめの神棚を祀っている。高祖父の最期が近いということで病院に行っていた祖父と父が一旦帰宅して茶の間に入ると、神棚にお供えしていた榊の葉がいっせいに散った。

そのとき祖父は、高祖父が亡くなったと直感した。
それと同時に電話がなり、高祖父が亡くなったと報せがきたという。

後日、高祖父の葬儀が行われた。
高祖父は神職だったため、葬儀は神葬祭で執り行われた。
納骨の前に、お墓があるお寺の本堂の前で納骨前の儀式があった(本家の墓地はお寺の境内にあり、そこだけ注連縄で囲い神式にしている。)。

高祖父は周囲の人々からかなり慕われていたらしく、そのお寺の住職も、最後に読経をさせてもらいたいと申し出てきたという。
本堂前に祭壇があり、祭壇前に住職、その後ろに参列者、山門があるという並び。
読経が始まって間もなく、祭壇の斜め後方のあたりに小さなつむじ風が起こった。

祖父は曽祖父と最前列に並んでいたが、曽祖父が祖父の耳元で、「今から面白いのが見れる」と言って、前方のつむじ風を示した。

つむじ風は祭壇に参列者の方に近づいてきて、参列者のまわりをぐるりと1周した後、読経する住職の方へ向かい、住職の周りをぐるぐるまわり始めたという。つむじ風が自分の周りを周りながらも読経を続ける住職。
やがて住職の読経が終わるとほぼ同時に、つむじ風も消えた。

それを見て曽祖父は忍び笑いをし、祖父がたしなめるも曽祖父はつむじ風が消えるまでクスクス笑っていたという。

「自分の父親の葬儀なのに喪主が笑ってるのがなんだかおかしかった」と祖父は懐かしそうに話してくれた。

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