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振られてできなくなったこと

先日、恋人に振られた。

振られるんじゃないかという雰囲気はあった。振られる2週間くらい前に彼女から「距離を置きたい」ということを言われていた。

だけど、距離を置きたいと言われてから私にできることはもうほとんどなくて、それでさらに不安に襲われ、自分も恋人も信じられなくなってしまっていた。


そんな中での別れ話だったから、振られたことへの驚きはなかった。
でも、別れたほうがいいと思うと言われて、それを鵜呑みにできるはずもなく、抗った。

2〜3時間話していく中で、もう別れる決心をしたから別れ話をされたんだなということがやっとわかって、別れようという話に「わかった」と返すことができた。


恋人と距離を置いていた期間、私は泣いていた。会えない、話せないということが辛かった。
元々遠距離恋愛だったから、会えないことは仕方がない。でも、近くにいない恋人とLINEすらできないというのは、私にとって辛い以外の何でもなかった。

だけど、別れ話をされて振られた自分は、泣くことすらできなくなっていた。

なんだか心にぽっかりと穴が空いてしまったようで、そこには喪失感があるのみだった。

泣くことができたらもっと楽になるんじゃないか、ということを思っている。でも、泣けない。

失ったものの大きさに気づいた私にできることはもう何も無くなっていた。



恋人に振られたショックから立ち直らなければならないと思った私は友人たちに相談した。

そこで言われたことは、「ひとりになるな」「おいしいご飯を食べろ」「時間が解決してくれるからそれを待て」ということだった。

焦ってもどうにもならないんだということに気付かされた。

ただいろいろと問題があった。

まず、食欲が湧かない。おいしいご飯と言われても、それが一体なんなのか想像がつかなかった。

次に、部屋から出る元気がなかった。ひとりになると考えちゃうだろうから周りに人がいる環境に行けと言われたが、部屋から出ること自体が私にとって難しくなっていた。

それから、お風呂に入れない。お風呂といってもシャワーを浴びるだけだけど、それがとにかく面倒になっていた。面倒というのは違うかもしれない。湯船に浸かる、シャワーを浴びるという行為をなぜか体が拒否していた。

そんなこんなのせいで、振られてしばらくはほとんどの時間をベッドの上で過ごし、気づいたら一日が終わってしまっていた。

朝起きて、意識が覚醒する頃にはもうお昼になっていた。そこから動き出せるようになる頃には日が暮れていた。


振られたとかどうとか関係なく時間は進んでいき、送らなければいけない生活があるという事実に私は無力だった。


それでもやらなければならないことがあった。それが不幸なのか幸いなのかは今の私にはわからない。

だけど、できることから手をつけないともう取り返しがつかなくなるという恐怖があるのだ。


もうこれ以上大きなものを失わないようにできることからやっていこうと心に決め、今日残された数時間を過ごしていく。

本を読んだり、舞台や演劇の鑑賞をしたり、ちょっとした旅行をしたりして、刺激を受けていきたいです。