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アニメを見た人にも!ヴァイオレット・エヴァーガーデン(小説版)を読んで欲しい3つの理由

京アニの名作アニメ。ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン。
原作小説があることをご存じでしょうか?

大まかなストーリーはアニメと一緒なのですが、小説版にのみ登場するエピソードやキャラクターも複数存在するため、『アニメを見たから十分』とスルーしてしまうにはもったいない作品になっています。

今回はアニメと小説版の違いを中心に『小説版』のヴァイオレット・エヴァ―ガーデンの魅力を紹介していきたいと思いますので。
気になった方は是非小説版のヴァイオレット・エヴァ―ガーデンも読んでみてください。

※尚、ここから先はアニメ版、映画版のヴァイオレット・エヴァーガーデンを見ている想定で進みます。
アニメ版、映画版のネタバレをガンガン含みますのでご容赦ください。



◆どんな話?

小説版のヴァイオレット・エヴァ―ガーデンも大まかなストーリーはアニメ版と変わりません。

『自動手記人形』と呼ばれる手紙の代筆業に従事する少女、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン。
彼女は、各地にいる依頼者の元を訪れながら手紙の代筆をおこなっていた。
元少女兵だった彼女は人形のように美しい少女だったが、感情が乏しく、また人の感情がわからない少女だった。

そんな彼女が依頼者の想いを手紙にする『自動手記人形』という仕事をしているのには理由があった。

『あいしてる』

彼女を救ってくれた恩人、ギルベルト少尉が告げた最後の言葉。

言葉としては知っている。
でも、今の彼女には本当の意味で理解できないその言葉の意味を、理解したい。

人の心に触れる『自動手記人形』を続けていればいつか本当の意味でその言葉を理解できる日が来ると信じて、ヴァイオレットは今日も依頼者の求めに応えて、各地に旅を続けていた。

……と言う話です。
基本的に小説版は、ヴァイオレットに代筆の依頼をした依頼者視点で進むオムニバス形式の短編集になっています。

アニメと同じエピソードも多いのですが、話の順番は違っており、
読み始めたら小説版の1話がアニメ7話の娘を亡くした小説家の話で、あまりの不意打ちにいきなり泣き崩れてしまったのも良い思い出です。

◆7話:

媒体が違う以上仕方ないのですが、アニメの魅力の一つだった美しい映像をそのまま小説版で味わうことは出来ませんが、その代わりに各シーンでヴァイオレットや依頼者の抱えていた気持ちがアニメ版よりも丁寧に描写されており、また違った美しさと切なさを感じました。

個人的に一番それを感じたのが、
アニメ6話。天文台の大図書館での古書の写本の仕事を終え、ペアで作業をしていたリオンと言う少年と別れるシーンにでした。

◆6話:

ヴァイオレットへ淡い想いを抱えていたリオンの告白の結果は、アニメと同じだったのですが。
小説版では彼の告白に対してヴァイオレットが何を想っていたのかが丁寧に描写されたことで、話していたセリフは全く同じでも、あのシーンとその後の二人の未来が小説版では少し違って見えました。

自分は6話のラストは、アニメ版では玉砕して一つ大人になったリオンが色々なものを吹っ切って天文台から出て行くような印象を受けたのですが、
小説版を読んでからは、あの告白から二人の関係が特別のになったように感じるようになりました。

◆アニメ版と小説版の違い

●登場人物

ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンでは、ヴァイオレットの務める郵便局の社長のクラウディア・ホッジンズをはじめとして、同じ『自動手記人形』のカトレアや、配達員のベネディクト等、魅力的な同僚が多数登場します。

アニメを見た人の中には他にも重要な同僚キャラがいたけど?と思った人がいるかもしれないのですが……、実はアニメに登場したエリカやアイリス、同じ郵便局の同僚ではないですがヴァイオレットの友達のルクリアは小説版には登場しません。

その代わり小説版には存在するのに、アニメ版に登場していないキャラもいます。実はその子が自分の一推しのキャラなんですが。
ホッジンズの社長秘書、ラックスちゃんです。

ラックスは14歳の紫色の髪と瞳を持った少女です。
ラックスはとあるきっかけでヴァイオレットと出会ったことで郵便局で社長秘書として働くようになるのですが、まだ若干十四歳にしてホッジンズ社長をしっかり尻に敷いてくれます。

割とひょうひょうと仕事をしたり、逃げたりしているホッジンズをいつもがっちりとっ捕まえて引っ張って仕事させてくれる頼もしい子で。小説見ながら何度も「ホッジンズは早くラックスちゃんに貰らってもらえ!」と思っていました(笑)

アニメでは残念ながら登場しませんでしたがとてもかわいい子なので、是非小説版で活躍を見て欲しいです。


●カトレアとベネディクト

アニメでは「喧嘩仲間のように見えるけど……、もしかしたらこの二人??」というぐらいの匂わせの関係性だったこの二人ですが、小説版ではがっつり深堀されています。

喧嘩友達のような関係性はそのままなのですが、小説版では二人らしい経緯で前に進む話がちゃんと書かれるので、この二人の関係性が好きな人にはぜひ、這ってでも小説版も読んで欲しいです。

ただ、注意としてカトレアはアニメ版と小説版で多少性格が違っています。
アニメでは頼りになるお姉さんと言う印象が強かった彼女ですが、小説版では少し我儘で子供っぽい面が強調された性格になっています。
序盤だけですが、ヴァイオレットに苦手意識を持っていて嫌がったり、ベネディクトとヴァイオレットの関係を訝しむようなシーンもあるので、
お姉さんでヴァイオレットの頼もしい理解者なカトレアが大好きと言う人は気を付けてください。

ベネディクトの方は自分は彼の性格はアニメ版も小説もあまり変わらない印象を受けました。
ただ、小説下巻に「ベネディクト・ブルー」という彼が主役の話があるのですが、ここではアニメ版では語られなかった彼の過去がしっかり書かれていて、そこに書かれている彼のバックボーンを見たら、「そういうキャラだったんだ……」と印象が大きく変わるかもしれないと思いました。
ネタバレになるのでここでは控えますが、ベネディクトファンは是非小説版も読んで欲しいです。

●ギルベルト少尉がヴァイオレットと離れた理由

最後の映画ファンの方には申し訳ないのですが…。
自分はヴァイオレット・エヴァ―ガーデン最後の映画を見て、ギルベルト少尉に対して「てめぇええ!!何ふざけたことを言ってるんだ!!そんなのでお前、ヴァイオレットちゃんを本当に幸せにできるだろうな!?!おい!!」……と、思ってしまった派なのですが。(そのあと泣きながら「それでもヴァイオレットちゃんが一緒にいたいのはギルベルトなんだよな。。。。仕方ない。。仕方ない。。」と諦めた)

小説版のギルベルトの『理由』にはストンと納得することが出来ました。
小説版だと、アニメ版の12話~13話の列車強盗事件が最後の話で、ここでヴァイオレットと少尉が再会することになるのですが。
何でギルベルト少尉がヴァイオレットの前から姿を消したのか、離れて何をしようとしていたのかについて、ある意味わかりやすい理由を提示してくれます。

自分の映画の読み込みが足りないだけかもしれないのですが。
映画版のギルベルトがヴァイオレットと別れた理由にもやもやとしたものを感じてしまった自分には小説版の王道。悪い言い方だとベタかもしれない理由のは方がすっと納得することができ、素直にヴァイオレットとギルベルト。二人の未来を応援することが出来ました。

また、小説版ではこの列車強盗事件を解決するために、影ながらホッジンズ達、郵便局メンバーも活躍してくれるので。
より総力戦で挑む最終決戦!!と言う雰囲気が出ていて、個人的には好きでした。

◆まとめ

また長々と書いてしまいましたが、
上記のように小説版ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンはアニメ版と同じエピソード、世界観を持ちながら少し違うパラレルワールドのような作品になっています。

細かい設定や登場人物は違いますが、ヴァイオレットエヴァ―ガーデンの持つ、胸を締め付けられるような切ない雰囲気は小説版でも変わりません。
アニメで見たこともがあるエピソードも、小説のみに入っているエピソードも、自分は読みながらボロボロと泣いてしまいました。

アニメ、ヴァイオレットエヴァ―ガーデンを見て、あの世界感が好きになった人は「アニメを見たから小説版まで読む必要はないでしょう」とスルーしてしまわずに、是非小説版も読んで欲しいです。

きっと、アニメを見た記憶を消してもう一度見返したい。
そんな気持ちが叶うと思います。

※いつもはkindle版を進めるのですが、、ヴァイオレットエヴァ―ガーデンは紙の小説しかないようなので、紙版を載せています。
本屋で探す時は通常の本屋よりもアニメイトとかの方が見つかりやすいみたいです。

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