きいろ

日曜作家。文章を書くのは呼吸と排泄。AC、毒親持ち、元解離性障害、場面緘黙症。カルト宗…

きいろ

日曜作家。文章を書くのは呼吸と排泄。AC、毒親持ち、元解離性障害、場面緘黙症。カルト宗教に関るも脱退。絵画音楽文学漫画好き、ややオタク。

マガジン

  • 夢のあしあと

    印象的な夢をみたとき、忘れないように記録しています。セルフ夢分析を試みています。

  • Bread&Butterを読んで考えた。

    芦原妃名子先生の傑作マンガ。あまりにも気付かされたこと、考えさせられたことが多い。

  • たましひの三島由紀夫

    曲解されがちな三島由紀夫氏について。 これだ! という強度で感服した記事をセレクト。 彼は真の意味でゲイやホモではなく、男性からも女性からも阻害されたためにどちらにもなれなかった孤独な人だと思います。

  • 烏の婿取り

    三話完結のおとぎばなし。

  • 王国のあさ

    虐待の実体験を下敷きにしたフィクションです。 ココロを惨殺されたコドモは、大人になってすべてに絶望した時どうするのか。自分自身のシミュレーションでもあります。

最近の記事

  • 固定された記事

ラストダンジョン―砂の城が崩壊するとき

noteをはじめた理由を、思い出しました。 私は記憶に問題があるので、節目になる私的事件などを書きつけておこうと思ったのでした。 取引先の電話番号などは暗記しているくせに、自分ごとはきれいに忘れてしまいます。 記憶が欠け落ちる感じでしょうか。 先日も友人と話していて、大事なできごとを忘れていました。 今年に入ってから、私は性格が変わったらしいのです。 たしかにnoteをさかのぼると、ある時を境にしてトーンがちがいます。地底を這い回るような暗さから、脱している気がします。 自分

    • 許せる、と思った。

      たぶん、4月中旬から下旬ぐらいに見た夢。 明晰で印象的だったので記録したかったが、忙しくて忘れてしまっていた。 私は誰かの家の中にいる。 アパートと部屋ではなく、あまり新しくない一軒家だった。 よく見てみれば、ずいぶん訪れていない私の実家だった。 台所には母がいて、料理をしていた。 食材や皿が出しっぱなしになっていたので、片付けを少し手伝った。 珍しいことに母は不機嫌ではなく、家の中には平和な空気が流れている。 私はどうも高校生のようである。 朝食の後、学校に行くために紺色

      • たったひとつの愛

        私の母は、子供が何をしたら喜ぶのかわからない人だった。 他人の子供はまっとうに可愛がることができても、自分の子供となるとどうしていいかわからなかったようだ。 母は知らない。私が好きな食べものを、なにひとつ。 冷めた翌日の湯豆腐。同様に、冷めた翌日のサヤエンドウの味噌汁。 それらを冷めたまま貪り食っている私を見ても、好きな食べものだとは気づかなかったようだ。 それとも、見ていなかったのかもしれない。 子供に無関心である母が、唯一子供のために買ってくれたものがたった一つある。 地

        • 自分の悪口を聞いてしまった時。

          …あ。自分の悪口、聞いてしまった。 いや、悪口じゃないのか。 相手は、からかってるつもりだったのかな。 そういう時、みなさんはどうしますか。 私ですか? 思いっきりモヤモヤですよ(笑) イラっと来てやけ食いしてもおさまらず、言動が荒くなります。 人に嫌な思いをさせたりして、サイテーです。 やっちゃったもんは、いまさら取り繕ってもなあ。 凹んでました。 他人から攻撃されたと感じた時、反射的に臨戦体制のスイッチを入れてしまいます。 自動的に報復の手段を考えてました。証拠をとるとか

        • 固定された記事

        ラストダンジョン―砂の城が崩壊するとき

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        • 夢のあしあと
          6本
        • Bread&Butterを読んで考えた。
          3本
        • たましひの三島由紀夫
          4本
        • 烏の婿取り
          3本
        • 王国のあさ
          7本
        • 薄絹の朝
          3本

        記事

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(2)〜育てること、信頼すること

          "育てる"とは、一体なんなのか。 パン作りに対する柚季の姿勢を、元教え子の赤沢すみれが語ります。 母親のネグレクトに傷つき「期待して待つのが嫌い」というすみれに対して、柚季の考えは違いました。 育てることは、待つこと…見守ること。 たとえ自分の思い通りにならなくても、結果としての現実を受け入れることです。 もう一度挑戦するか、あきらめて他のことをはじめるか。 その判断さえ当事者にゆだねられる、自由な世界です。 肉親である両親は、私をこの世に生み出し養育してくれましたが、真の

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(2)〜育てること、信頼すること

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(1)〜 自尊心の適正値

          自尊心には、適切な水位というものがあるようです。 高すぎると王子王女のようにふるまって、まわりのひとをパシリにしようとします。 反対に、あまりに低い場合も問題です。 ことあるごとに「自分なんかいない方がいいんだあ!!」的な心境に陥って暴れたり、べそべそ泣いたりします。 自分の場合はコレです。 きっかけは病気とケガですが、気分は落ちこむし病院代はかさむし。 元気になりかかっていたのに、けっこうな短期間で沈んでゆきました。 だって、体調が悪かったんでしょう。 思うように体を動か

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(1)〜 自尊心の適正値

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(0) 〜まえがき

          テンションが低い時期は、文章がまとまりません。 ひとりごと日記をボソボソ書くのはいいけど、内容が暗ーくなってしまいがちです。 そんな内容を人前に公開するのはためらわれて、つい下書きのまま放置したり。 しばらくマンガなどを読んで、ごろごろしていました。 芦原妃名子先生の作品に触れたのも、そんな頃でした。『セクシー田中さん』を読んだら、ちょっと救われたのです。 きわめて繊細に、ひとの心の機微をすくいあげる方でした。 ひとつのエピソードに、かならず読者の心に響く大事な核心を織りこん

          『Bread&Butter』を読んで考えた。(0) 〜まえがき

          少女は夢をみる…

          少女には必要なのだ。 あまい夢が。 カラい現実をすこしの間忘れさせてくれる、優しいおとぎばなしが。 …少女でいたかった。少女でいられなかった。 150万円の借金を負った。 毒親から逃げだすために遠方に進学した奨学金と、軽自動車のローン。 そもそも、少女マンガを読むことは許されなかった。男子に生まれなかった私は、母の「失敗作」だったから。 親戚からおさがりでもらった雑誌を、むさぼり読む。 みんなが話題にするマンガを、リアルタイムに読むことはできなかった。 図書館で、古い少女マ

          少女は夢をみる…

          その時の瞬間風速で、自己の価値を採点してはいけない。 書けない間、存在価値を証明できない間にも横たわっている潜在能力を、理解者に買ってもらえていたのだから。芦原妃名子先生の『Bread&Butter』を読んでそれがわかった。

          その時の瞬間風速で、自己の価値を採点してはいけない。 書けない間、存在価値を証明できない間にも横たわっている潜在能力を、理解者に買ってもらえていたのだから。芦原妃名子先生の『Bread&Butter』を読んでそれがわかった。

          自分に点数をつけるとする。書けない間は20点ぐらいのような気がする。うまく書けた時は120点とか200点ぐらいつけたくなる。極端だ。だから、体を壊してなにもできない間に点数がさがる。

          自分に点数をつけるとする。書けない間は20点ぐらいのような気がする。うまく書けた時は120点とか200点ぐらいつけたくなる。極端だ。だから、体を壊してなにもできない間に点数がさがる。

          しかも、ぶっ続けで証明し続けないといけないと思っていた。誰がOKをくれるわけでもないのに。そして自分の体が答えを出した。もういいよ。もう充分。これ以上ムリ。そういうこと。

          しかも、ぶっ続けで証明し続けないといけないと思っていた。誰がOKをくれるわけでもないのに。そして自分の体が答えを出した。もういいよ。もう充分。これ以上ムリ。そういうこと。

          体を壊してまで働いちゃう理由。私は自分の存在価値を証明し続けようとしていた。働けなくて書けないと、どんどん沈んでく。生きてるだけでいいのに。

          体を壊してまで働いちゃう理由。私は自分の存在価値を証明し続けようとしていた。働けなくて書けないと、どんどん沈んでく。生きてるだけでいいのに。

          夜が明けたのかもしれません。

          今年はまっこと、不思議な年でありました。 こちらが記事を読みに通っているお方にサポートをいただいたり。詳細な小説の感想までいただいてしまい、恐縮です。ありがたいかぎりです。 自分にとっては常にどん底なのが当たり前な感じで、日々が過ぎていました。 何十年でもこれが続くのかと思っていたら、すこーし光が見えてきているよーな気がします。 その光が何になるのかは、まだわかりませんが。 ブツブツとつぶやいたり、小説らしきものをのろのろと公開したりするかもしれません。 来年もまた、よろしか

          夜が明けたのかもしれません。

          夜明け前に、リンゴを買いに

          一箱1500円のリンゴを買いに、朝6時前に起きた。 普通のお店なら、4個で900円ぐらいする。 超ジューシィで、濃淡ある甘みに酸味がキュッと爽やかで、ザクっとした歯触りも心地よい美味しいリンゴ。 ずいぶん前に青森に旅行して真に美味しいリンゴを食べてから、その幻に悩まされる。 たまでいいから、すごーく美味しいリンゴが食べたい。 だいたい、二年に一度ぐらい当たりがくる。 普通の店で箱買いする安いやつで、めちゃくちゃ美味しいのに当たる。 10個で1500円は、こたえられねえな。旨す

          夜明け前に、リンゴを買いに

          魂の三島由紀夫

          三島由紀夫という作家について、長年モヤモヤした気持ちを抱えていました。 自分が生まれる前に活動し、亡くなった作家のことが、なんでこんなに気になるんだろう? 彼がジェンダーと、自己の存在にかかわる問題をかかえていたからだと思います。 男として生まれながら、華族の栄華に憑かれた祖母に嫋やかさを期待され、育てられた三島由紀夫。 女として生まれながら、家業の後継とすべく長男的ふるまいを期待され、失望され続けた自分。 男女反転の鏡像は、私自身の屈折を覗き見る良き鏡でありました。 他人事

          魂の三島由紀夫

          冬華

          その日の朝…地表は粉砂糖に覆われ、一切の音を消していた。 ひとひら、ひとひら…。 呼吸のように、羽毛のように。 たちまちに消えてしまうに違いないと思えたそれは、今もさりさりと続いている。 時に躍りあがり、陽に透ける。 他に伏したそれは無言のうちに、綿衣と化して黒土を覆っている。 冬の、生まれた日に。 生まれてくる、生まれてくる…。 多くの冬が、生まれてくる。 年々に表情をかえて。 わたしの前に、立ちあらわれる。 つま先に止まる羽根を壊さぬよう、濡れた土を踏んでゆく。 小さな庭