身体障がい者手帳と療育手帳などの取得についての相談
外来で障がいをもつ子どもさんを担当しているときに,相談を受けることが多かった一つに,
「身体障がい者手帳 や 療育手帳 を取得した方がいいですか?」
という質問があります.
この相談への返答について,私がどうしているかというと,
結論から述べますが,
・取得する方がいい場合と,取得しなくてもいい場合とある
※取得しなくてよい場合は,手帳をとっても経済的メリットがないという場合です.
※経済的メリット以外には,保育園や学校に通うときに加配の先生をつけていただけることもありますので,必要性がある場合は取得される方もいらっしゃいます.
・取得する場合は,その時期をどうするかなど,具体的に一緒に考える
ということです.
このような手帳取得についての相談は,取得自体に迷っているから聞いてこられる方が多いです.
手帳の取得をすると,補装具や日常生活用具の給付が受けられるようになり,生活が楽にできるようになったり,経済的メリットがあります.
しかし一方では,これは実話ですが,ご家族の心理状況として,手帳の取得ということになると,
「自分の子どもに障がい者というラベルをはることになり,この先,保育園就園や学校入学時に,子どもの将来に傷がつくのではないかと思って,悩むんですよね.」
といった話を保護者の方からお聞きすることもありました.
私がまだまだ若いころの返答は,「取得した方がいいです」といった安易な返答をしていたと思いますが,時代は,当事者が選択する時代となっているということです.
私たちが話をするべきなのは,当事者の方やご家族がその選択をするにあたり,
✔手帳を取得してよかったという話
✔逆に取得したことで困難に直面したといった話
を集めて伝えることかなと思っているんですね.
私の経験からすると,経済的な面では取得して楽になったという話が断然多いです.
逆に取得して困難に直面したという話では,
就園や学校の入学時に,保育園や幼稚園の先生,学校の先生が受け入れ後に,ケガをさせてしまったりするかもしれないということや,どのように育児や学習場面を提供していったらよいか不安だという気持ちを抱かれて,その決定には話し合いの時間が必要となったということがあります.
ただ,最終的には加配の先生や通級学級などの対応策を考えていくことで解決する場合もありますので,手帳の有無が人生を変えるということは,正直,聞いたことがありませんね.
受け入れが困難となる場合は,手帳の取得有無というよりも,「医療的ケア」が必要な子ども達では,看護師が常駐していないと痰の吸引や経管栄養の対応ができないケースが多いです.
もし,皆さんの周りに手帳の取得について悩まれた方がいらっしゃる場合には,取得するか,しないかといった話の前に,
まずは当事者のご家族が,
✔何を不安に思っているのか
✔取得を躊躇する理由は何か
について,まずは話を聴いてください.
この話が,何かお役に立てると幸いです(^^)/
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