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外国において、ある集団から瞬時に日本人を見分けるスキルについて

今年で、筆者の海外在住歴は6年になる。
それほど長いとは言えないが、あるスキルを会得してしまった。

それは、タイトルに掲げた「外国において、ある集団から瞬時に日本人を見分ける」スキルだ。

おそらく筆者だけでなく、海外在住邦人の中には、なぜだか分からないけどこのスキルをいつのまにかインストールしてしまった方もいるかも知れない。

筆者は、タイとマレーシアに滞在経験があるが、この両国は駐在者や移住者が少なくないので、街で日本人を見かけることが多い。

おぼろげだが、タイで暮らし初めて数ヶ月たった頃だろうか、ある日このスキルが開花したことに気がついた。

3、40人いるアジア系集団の中から、日本人を瞬時に見分けることができるようになっていた。
対象は、男性/女性/大人/子供に及び、カバー範囲は割と広い。

日本、韓国、中国などの東アジアの人々は、髪の色や背格好などが似通っているが、日本人は、ファッションや立ち居振る舞い、雰囲気で独特の日本人感を出すため分かってしまうのだ。

日本の友人の一人も、かなりの精度で日本人を見分ける。

「ファッションよ」と彼女は自信満々に言うが、タンクトップに象柄のタイパンツでも見分けられるので、きっと彼女はファッション以外のセンサーも発動してるのだろう。

じゃあ、日本人以外の場合はどうだろう。

オーストリア出身の知人に、EU内でオーストリア人かどうかを判別できるか聞いてみた。

答えは、ノーだ。

「もしかしたらオーストリアかな、と思うけどドイツかなとも思う」
「じゃあ、例えばEUでイタリア人だけ見分けられる?」
「ラテン系かな、とは思うけどイタリアかどうか分からないな。北欧系とかも、なんとなくそうかな、と思うけど例えばフィンランドかどうかまでは分からない」

なるほど。
全オーストリア人の総意ではないかも知れないが、興味深い話だ。

EUだと人の交流もさかんだし、何より言語が似ているので顔の骨格が似てくることもあるだろう。
その国ならではの雰囲気を、纏いにくいのかも知れない。

一方、何年海外で暮らしても、このスキルを持てない人もいる。
ある日本の友人は、「日本人を見分けるなんてぜんぜん無理」と言う。

エレベーターで、行き先ボタンの前にいる韓国人に向って、「8階お願いします」と日本語で言って怪訝な顔をされたことがあるが、彼女は、自分の子供の運動会では、瞬時に我が子を見つけられる。

一方、筆者は、運動会で我が子と別の子を見間違え、何枚か別人の写真を撮った経験があることを告白しなくてはならない。

いずれにせよ、ある集団から瞬時に日本人を見つけられる能力より、運動会のように大量に人がいる中で、秒で我が子を見つけられるスキルの方が、万が一災害が起きた場合などでは圧倒的に優位に違いない。

別の知人は、人混みから芸能人やイケメンを見つけるのが早い。
一緒にいても、筆者は通り過ぎてから結果報告を受けるだけで、まったく眼福にあやかれない。

こう考えると、考えてみるまでもないが、ある集団から日本人を判別できるスキルは、いったいどこで何の役に立つと言うのだろう?

6年ほど海外で暮らしているが、何かの役に立ったことは一度もない。
残念ながら。


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