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とけ合う上田の街とリベルテ

嬉々‼CREATIVEギャラリーでは2023年秋、一般社団法人ALTAM(オルタム)の主催で全国各地の表現活動を行っている福祉施設のアート作品を一堂に会する展覧会を開催予定です。
今回はその参加団体の一つ、長野県上田市で活動するNPO法人リベルテさんをご紹介します。

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3つあるリベルテの事業所の一つ「roji」は、その名の通り、“路地”にある。城下町らしい風情漂う住宅街を進み、民家の間を抜けた先にひっそりと佇んでいる。

画像① この路地を抜けた先に…
画像② リベルテの「roji」がある

「路地の開き」とは、この「roji」から街へ開いていこうという試みの総称だ。
昨年この「路地の開き」の一環として行われたパレードは、「roji」を出発し、街の中心部にある劇場兼ゲストハウス「犀の角」に向かいながら、リベルテのメンバー中心に結成されたちんどん軍団が、ドライフラワーを配りながら練り歩くというものだった。

画像③ パレードの様子
画像④ 上田の観光名所「北国街道・柳町」
画像⑤ 街の人に渡しているのは皆で作ったドライフラワー

パレードって何だろう?何のために?

「どの企画も、うちは個々の活動もしているけれど、いつの間にかリベルテ全体で動いている感じです。」というのは代表の武捨さんの言葉。
ひょんなきっかけから一つのアイデアが生まれた時、それが一体どんな形になるのか、何が起こるのか、ゴールは誰もわからない。けれど、とりあえずやってみようと、職員とメンバーが一緒に考え、進んでいく。パレードも、最初は庭づくりをやろうというアイデアから発展したものだった。

画像⑥ 職員とメンバーみんなで次回イベントの話し合い
画像⑦「roji」の庭。庭師の方に協力してもらい今の形になった。


ただ、すべての動きの目的は、「リベルテのメンバーの居場所を街につくること。メンバーが街の人として街の人に出会う。ケアとしてではなく、仲間として出会える人を増やすこと」だ。

パレード当日、最初は50人だった参加者が、ゴール地点では70人に膨れ上がっていたという。街の人々が「あらリベルテさん、何やってるの。犀の角に行くなら付いていこうかな。」と、ひとり、またひとりと仲間が増えていったというのだ。
リベルテが自然と街にとけ込んでいることが伺える。

画像⑧ パレードのゴール地点だった「犀の角」

こんな風にリベルテのメンバーが街に出ていると、街の人々がこっそり話しかけてくれるという。「実は私も、ちょっとここの調子が悪くてね」
メンバーと街の人の境界線がだんだんあいまいになっていくのを感じたという。
誰だって調子が悪いところがあれば元気なところもあるのだ。どこに境界線を引くのか?はたまた引く必要なんてないのか?

リベルテの3事業所はすべて上田の街中にあるが、上田には「犀の角」をはじめ様々な角度から人が集まる場づくりをしている団体が点在している。ある団体は家庭に居場所のない人の駆け込み寺として、ある団体は不登校の子どもたちに開いた場として。
その横のつながりの中にリベルテもあり、街全体を巻き込んだ動きが生まれやすい。「なんて居心地のよさそうな街だろう」というのが率直な感想だ。誰もが、“居場所”を見つけられそうな街。

秋からリベルテは新たに食堂を始める。メンバーの立ち寄れる場所として、そして働き場として。この食堂づくりも、もちろん街の人々に関わってもらいながら進めているところだ。

「roji」の庭から飛んで行った種子が、街に花を咲かせていた。

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ヘッダー写真、画像③④⑤⑧ 撮影:藤澤 智徳

★リベルテのHPはこちら★


★ALTAM(オルタム)のHPはこちら★


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