ちいさな恋のほにゃらら(1)

もうすぐ5歳になる長男には、好きな女の子が7人いるのだという。

先日“7人め”ができた場に居合わせたのだが、そのメンバーたちには共通項があるような、ないような。
しいて言えば、長男をかまってくれる女子たちなのであろう。

その“ラブメイト”のなかに必ず私を混ぜてくれるやさしい子であるが、それもいつまで続くのだろうか。
小学校入学が見えてきた今、男児が男子になっていく姿に立ち会おうとしている。

 
子どもが初恋を認識するのは、早い子では4歳くらいだろうか。
男女差があるといわれているけれど、長男を見ているとおませな子は男女関係なくませているような気もする。

自分を思い起こせば、やはり幼稚園の年中さんだっただろうか。

ああ、思い出してきた。
同じように「すきな、おとこのこが、3にんいるの」と言っていたような気がする。

そのうちのひとり、仮に名前をケンちゃんとしよう。
ケンちゃんはあまり愛想のないクールガイなのであった。

女の子など、小さいうちは男性をビジュアル以外の要素で判断しないので、きりっとしているか、かわいいタイプか。私の年代で言えば『しょうゆ顔、ソース顔』のような、『かっこいい男の子』に当てはまるテンプレボーイにみんなの関心が行くのが常だった。

ケンちゃんに変化が出てきたのは小学校の中学年、10歳を過ぎたあたりだったろうか。

どことなく陰気な感じをまとい、ファッションも、いいとこの子というきちんとした身なりだったところが、“地味”と形容すべきものになって行き、どちらかというと、今でいうオタクのカテゴリに入り始めた。

聞けば、ご両親が離婚していたのだという。
名字を変えないままだったのでその事実は卒業まで伏せられていたのだが、なぜ卒業後にその事実が開示されたのか。

ケンちゃんのお母さんが、当時の担任と再婚したことが発表されたからである。
再婚相手となる先生、年のころ、どう見ても50代後半……。

中学校は別だったので、その後の彼の様子は知らない。
どうか、今は明るく元気に暮らしていて欲しいと願う。

そういえば私は、ケンちゃんが思い切り笑っている姿を、まったく覚えていない。


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